4章 第35話
「……感謝スル。……アリガトウ」
メロは……与えられた身体でペコリと軽く頭を下げて、お礼の言葉を述べてきた。
すぐに俺は、照れくさいながらも返答する。
「おう! いくらでも感謝しろっ!!」
すると……メロは額に皺を寄せて、俺を睨み付けてきながら呟く。
「イヤ…………オマエ、ニハ……言ッテイナイ」
……なんで!? 俺、身体をつくる為の部品を集めたよ!? ……さっきから心無い発言ばかりしてくるんだが……本当に心なんて持っているのか!?
俺がメロの発言に苛立ちを覚えはじめていると、突然にアスモリが質問してくる。
「そういえば……カナヤは、どうして此処に居るんだ??」
……えっ、此処に居る理由?? あ……忘れてた。指輪な鍵を探していたんだ。
忘れかけていた事を思い出した俺は、スグにアスモリへ言う。
「俺、こんな事をしている場合じゃないんだ。早く、王宮の鍵を探しに行かないと……」
と、
「私……持ッテル。博士カラ……貰ッタ、大切ナ、二ツノモノ……ソレハ、『心』ト『王宮ヲ開ク指輪』」
突然に、メロがそんな事を呟いた。
……え!? メロ、王宮の鍵を持っているの!?
心中で俺が驚愕していたら、ドルチェが元気な口調で声を発する。
「んね! それじゃあ、メロも一緒に王宮へ行こう!!」
「了解シタ……」
メロが軽く了承するなり、アスモリが慌てた感じで口を開く。
「ちょっと待ってくれっ! なんか申し訳ないが……俺も一緒に、付いて行っても良いか!? 巨鳥は、此処で留守番をさせておくから!!」
瞬間に、俺の視界端で身を隠す様に佇む巨鳥が『ピョォォオオオオッ!!』っと、大きく鳴き声をあげた。
……え? ユンバラ、急にどうした?? てか、なんか巨鳥が寂しがってないか? ……え、なに? 巨鳥は、ユンバラに懐いちゃっているの??
俺が色々と困惑する中、ドルチェは元気な様子で言う。
「良いよっ! 一緒に行こうっ!!」
「ありがとうっ!!」
アスモリは……満面の笑みを浮かべながら、ドルチェに一言で感謝をした。
……何故アスモリは、王宮に行こうとしているんだ??
理由が気になり過ぎてしまう俺は、アスモリへ問うことを決める。
「なぁ……アスモリ。王宮には、どんな用事が有るんだ??」
すると……アスモリは、顔に多少の笑みを浮かべて口を開く。
「いや……えっと。理由は、監獄島に入れられる前、王宮内に忍び込んだ事があってな。その時に、忘れ物をしてしまったんだ。まぁ……もう結構な昔の事だし、忘れた物が存在しているのかも怪しいが、一応探しに行ってみたくてな」
……そういう事だったのか。
内心で呟きながら、俺が納得していると……突然にドルチェが、大きな声で言う。
「それじゃあ、鍵も見つかった事だし……ボスやユンバラ達を探しながら、王宮に行こぉ!!」
「おう、そうするか!!」
俺が返答するや否や……ドルチェは一人先走って、王宮に続く道を駆けて行く。
……凄い元気だな。
ドルチェの背中を見て、そんな事を思っていたら……隣にいた筈のメロやアスモリの背中も、視界に飛び込んできた。
……うわぁ!? 一人だけ、置いて行かれてるんじゃん!?
俺は、孤独感に近いモノを感じるなり……全力で脚を動かして、ドルチェ達を追い駆ける。




