4章 第34話
――しばらくの時間が経過し、部品集めを終わりにした俺たちは……アスモリの目前へと、沢山の使えそうな部品をドッサリと置いた。
瞬間に、ドルチェが首を傾げて問う。
「コレで、部品は足りるぅ??」
「おう、充分だと思うぞっ!」
アスモリは笑顔で答えると、生首をドルチェから受け取る。
その後すぐに生首を地面へ置くと、地面に散らばっている金属な部品を拾って……
「よし、少し待っててくれ! すぐに身体をつくってやるよっ!!」
そんな事を言いながら、集めたクズ鉄で……身体らしきモノを懸命につくりはじめる。
と、
「……アリガトウ」
突然に……生首な機械少女が、お礼の言葉を呟いた。
そんなお礼が鼓膜にジンワリと伝わった俺は、すぐさま答える。
「おう、そんな気にするな!!」
すると……生首は突然、鋭い眼光で俺を睨み付けながら口を開く。
「……ナゼ、オマエ……返答シテクル??」
……なんだコイツ。俺だって、部品集めとか頑張ったのに!!
はかとなく、俺が悲しみを抱いている中……ドルチェが不意に声を発する。
「ねぇ!! そういえば……生首さんは、どうして、こんな姿になっちゃったの??」
「……クソ王、ノ……所為ダ」
瞬時に生首は、小さく口を動かして答えてきた。
すると、もう一度……ドルチェが首を傾げて質問する。
「クソ王という人の所為で、生首になっちゃったの?? どうしてぇ??」
「私ガ……心ヲ持ッタ、機械ダカラダ」
……心を持った、機械だから??
生首の言葉を聴いて、俺がそんなことを思っていると……アスモリは、鉄クズを弄りながら、唐突に驚き声を上げる。
「えっ!? 心を持った機械!?!?」
「うおっ、急になんだよっ!? 心を持った機械について、知っている事でも有るのか??」
突然の驚愕にビックリしながら、俺はアスモリへ問い掛けてみた。
刹那、アスモリの唇が再び開閉する。
「この国の有名な物語の一つに、『心を持った機械』というモノが存在していてな……。俺は、物語に出てくる心を持った機械少女の『メロ』って子が、幼い頃から物凄く好きだったんだよっ!!」
「……お、おう。そうなのか」
俺が、アスモリの発言に興味なく相槌をしていると……生首が突然言う。
「私ノ、名前モ『メロ』……ダ」
「え? メロ??」
アスモリは目を見開きながら、メロへと聞き返した。
すると、再びメロは唇を小さく動かして……、
「私ノ、名前ハ『メロ』……。博士カラ貰ッタ、大切ナ名前……」
……貰った名前?? 博士って誰だよ。
そんな疑問を抱いてしまった俺は……アスモリとメロの会話へ割り込むように、色々と問い掛けてみる。
「なぁ、メロは……その博士って人に、機械として生み出されたのか??」
「ソウダ……」
メロは一言で言い切った後も、続けて口を動かす。
「博士ハ……コノ国デ、随一ノ科学者ダッタガ…………私ニ、心ヲクレタ所為デ、国ヲ……追イ出サレタ」
……心をくれた? 国を追い出された??
俺の脳内で、更なる疑問が発生してしまっている中でも……メロは、御構い無しに喋るのをやめない。
「私ハ……博士カラ心ト、モウヒトツ……大切ナモノヲ、貰ッタ……」
「なんか、機械でも……いろいろ事情が有るんだな」
俺がメロと話し込んでしまっていたら、アスモリが元気な声で言ってくる。
「おい、身体が出来たぞ! あとは、頭を取り付けるだけだなっ!!」
アスモリは、そう伝えてくる同時に……金属で出来上がった女性の様な身体へ、生首を取り付けはじめる。
そして数分後……メロは、生首姿ではなくなった。




