4章 第31話
ユンバラがそんな提案をするなり、ドルチェが首を傾げて呟く。
「いいけどぉ……どうやって、チームを決めるのぉ??」
すると、ユンバラは微かな笑い声を漏らしながら答える。
「それはなぁ……『ジャンケン』で、決めるんだ!!」
ジャンケン。それは、片手で石・紙・はさみの形をまねて、それを互いに出し合い……勝負するモノ。
ジャンケンは時に、人生を大きく左右する賭け事になる……まさに、現在とか。
途端に場が静まり返る中……ユンバラだけが声を発し続ける。
「ジャンケンで、どのようにチーム分けするのかを簡単に説明すると……石・紙・はさみ、どれかの相子になった人同士でチームを組み……二人一組の三グループをつくる。ちょうど六人いるし、キリ良く決まるな!!」
説明が終わるなり……皆は無言で輪の隊形をつくり、片腕を前へと差しむける。
……どうする、どうすれば良いんだ。
俺が物凄く思考を働かせている最中に……ユンバラの掛け声で、それは開始する――
「最初は、ぐぅぅううう……ジャンケンッ、ホイィィッッ!!!!!!」
掛け声が止むなり、俺は……皆の手先が、どのような形になったのか見渡す。
まず、シュティレドは……石だ。
次に、イリビィートは……紙。
続いて、ユンバラは……石。
ドルチェは……はさみ。
ベジッサは……紙。
ちなみに俺は……はさみ。
一発の勝負で、アッサリとチーム分けが終わった。
結果は、【『シュティレド』と『ユンバラ』】【『イリビィート』と『ベジッサ』】【『俺』と『ドルチェ』】の二人一組で、三組に分かれる事となる。
……そうか、こういう結果になったのか。
そんな事を何気無く思っていると……ドルチェが、生き生きとした笑い声を漏らしながら、俺の真横へと近付いて言ってくる。
「同じチームだねっ!! 指輪を探すの、一緒に頑張ろうねぇ!!」
「お、おう!!」
不意に言われたので、多少に困惑しつつも……俺は前向きな一言を返答した。
と、
「それじゃあ……あたし達は、出発するわね」
イリビィートは、俺たちに告げてくるなり……ドルチェと共に、場を離れて行ってしまった。
続いて、シュティレドが穏やかな口調で声を発する。
「それじゃあ、ユンバラ……僕たちも、そろそろ町を探索するとしようか」
「おう! そうしよう!!」
ユンバラが返答するなり……シュティレド達も、この場を去って行く。
残された俺たちは……お互いに無言で顔を見合わせてみる。
その後、すぐに俺はドルチェへ言う。
「それじゃあ……俺たちも、出発するか」
「うんっ!!」
ドルチェは頷くと、町の整備された道を元気良く走りはじめた。
「ちょ、おい……待てよっ!!」
俺もドルチェを追って、町中を駆け進みはじめる。
と、
「ダ、ダレカ……助ケ……テ……」
耳元で……知らない誰かの助けを求めてくる声が、微かに響く。
……え? この感じは……幻聴、じゃないよな??
「おい、ドルチェ!! なんか今……誰かが助けを求める声、聴こえて来なかったか??」
すぐさま俺は、目前のドルチェへ問い掛けてみた。
するとドルチェは……途端に立ち止まり、落ち着きのある声で返答してくる。
「う、うん……なんか、こっち側から、聴こえてきた」
ドルチェは言い終えるなり、急に何処かへと向かって歩きはじめた。
すぐに俺も、ドルチェの背後を追って道を進む。




