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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第4章 魔王よりも先に、世界征服!!
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4章 第27話



 ――夜明け前の天空に浮かぶ満月に照らされ、雲海の上を飛行すること……数分が経過した。


 セリカ達の姿は、完全に視界から消えてしまっている。


 雲海にできた小さな隙間から、下界の景色を確認してみるが……ペフニーズィの大地はもう見えない。代わりに、荒れ狂う大海が確認できる。


 ……カジノという娯楽を体験してみたかったなぁ。


 ドルチェの右腕にしがみ付く俺が、心憂い思いを抱いていると、


「そういえば、今回は作戦が無いからね!!」


 突然シュティレドが、大きな声で言った。


 ……今回は作戦が無い? いやいや、ペフニーズィの時も、作戦が有って無かったようなもんだったろ。


 俺が色々と感じている中……ユンバラが突然に目を見開いて、驚き声を上げる。


「え、作戦が無いっ!? そんなの……不安すぎる!!」


 ……いやいや、不安とか本当に感じているのか??


 俺が再び内心ツッコミをしていたら……シュティレドが残念そうに、ユンバラへ言葉を返す。


「申し訳ない……。アージニエンは、自国の大切な宝である『オーブ』についての情報を死守していてね。まぁ……オーブが王宮内の何処かに有るというのは、分かっているんだけれど……」


 この発言に対してユンバラは、納得した様子で頷き呟く。


「そうか……。まぁ、情報量が少ないと……作戦を立てるのは困難だよな」


 と、


 ドルチェが唐突に……明るい声で、シュティレドへと問い掛ける。


「んねぇ! もう少ししたら、朝になるよ? アージニエンって、何処にあるのぉ??」


 ……ペフニーズィを出発する時に、シュティレドが『夜明けまでに、アージニエンに到着するよう頑張ろう』とか、言っていたな。


 そんな思い出が頭に過った俺は……ドルチェに続いてシュティレドへと質問してみる事にした。


「なぁ……今の調子のままで、宣言した夜明け前に到着できるのか? 夜が明けるまで、あと三十分ぐらいしか残されていないと思うが……??」


 俺が言い終えるなり、シュティレドは冷静な口調で返答してくる。


「安心して……あと数分で、到着すると思うから。ペフニーズィとアージニエンは、とても近い距離に在るんだよね」


「そうだったのか!?」


 俺が知らなかった事実に驚いていると、イリビィートが不意に語りだす。


「距離が近いならば……ペフィニーズィで宝を盗難された事件のことが、他の国よりも早く伝わってしまうわね」


 推測な発言を耳にしたシュティレドは、瞬時に言う。


「もしも、話が伝わってしまったら……アージニエンは、自国の宝である『オーブ』を全力で守る為に、国全体の警備を現在より強固にするだろう」


 ……そうなってしまうと、宝を盗む難易度が結構上がってしまうんだろうな。


 シュティレドの言葉を耳にした俺が、そんなことを感じていたら、


「ねぇ! もしかして、あそこがアージニエンって国なの!?」


 ドルチェが前方を見つめながら、興奮して言った。


 俺も前方をジックリと確認してみると……雲海に透けて、小麦色な砂漠地帯が姿を現わす。広大な砂漠地帯の真ん中あたりは、銀色に輝く金属建造物が幾つも連なって、巨大な集落となっている。

 そんな銀色集落の中心部には……窓無き円柱状の美しい塔が一つ、他の建物よりも取り分け高く聳え建っている。


 俺が銀色の建物群に見惚れていると、シュティレドが穏やかな口調で言う。


「アレが今回の目的地、アージニエンだよ」


 ……到着するのが、予想以上に早いな。


 俺はそんな事を思いながら……目前に浮かぶ満月を何気無く見つめたら、シュティレドが穏やかな口調で再び声を発する。


「アージニエンは、旅人の入国などを快く受け入れてくれる国で、入国許可書などは別に必要ないから……今回は堂々と正門から入国しよう」

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