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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第4章 魔王よりも先に、世界征服!!
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4章 第7話

「お、俺が……誰か、と……聞いているんですか?」


 俺は自分の顔に右人差し指を向けながら、緊張で固まる口をなんとか動かし、黒尽くめな男へと問う。


「うん、そうだよ……。君は誰なのかと、質問をしているんだ」


 瞬時に、そんな言葉が優しい口調で返答される。


 ……なんて答えよう。下手なことを言って、敵意を向けられたりしたら嫌だな……。


 俺がどの様に質問に答えようか、眉間にしわを寄せ考えている時、


「……その人は、協力者」


 突如に、視界端から……落ち着きのある篭った声が聞こえてきた。


 急いで声のした方へ顔を向けると、木床に姿勢良く正座をしたベジッサが視界に映る。


 目前の男も同様に声へ反応して、顔向きを俺と同場所へ移していた。

 そんな男は首を傾げ、ベジッサへ問う。


「協力者……?」


「そう、仲間……」


 仮面をつけているベジッサの顔が、縦にユックリと頷く。

 その首の動きを確認した男は状況を理解しようとしているのだろう。左手を顎先に添えながら黙り込む。


 ……暫くしてから男は、俺の方へと再び顔を向けてきて、


「そうか……協力者なのか。ならば、これから宜しく頼む。ちなみに僕の名前は、『シュティレド』だ」


 『シュティレド』という名の男は、一言添えながら右手を差し出し、握手を求めてきた。

 急いで俺も右手を前方へと差し伸ばし、男の右掌を固く握る。


 ……なんか、あっさりと解決したな。


 俺は心からホッとして、安堵のため息を一息吐く。

 瞬間、


「イリビィート……その格好はどうしたんだ?」


 唐突にシュティレドは目を少し見開かせ驚きながら、俺の背後にいるイリビィートへ言った。


「え?」


 急な質問に、彼女は眼を細めながら首を傾げる。

 そんな疑問を浮かべる彼女を見て男は、少しばかり声を荒げ、早口な口調で……


「服だよっ! 何なんだ、その見窄らしい服装はっ!?」


 そういや、初めて会った時イリビィートは……結講豪華な服を纏っていたな。

 比べて今は……泥んこだらけな安っぽい服を身に付けている。


 ハッキリとした男の言葉を聞き取ったイリビィートは、口元に小さな笑みを浮かべると、


「捕まっていたのよ……監獄島にね」


 そう一言で、言い切った。


 堂々とした言葉が耳に届いたシュティレドは、驚愕しているのだろうか……? 口を呆然に開きながら、銅像の様にピタリと固まってしまう。


 数秒後……、


「監獄島に囚われていたのかっ!?」


 再びシュティレドは声を荒げて質問した。

 イリビィートは、静かにコクンと首を縦に振る。


 と、男は突然何か思い出したように、もう一度彼女へ問い掛ける。


「そ、そう言えば……、獣人国はっ!?」


「途中である者達に邪魔をされて……」


 即座、イリビィートは申し訳なさそうに、うつむき気味で床へと言葉を吐いた。


 途端に、部屋中の空気感が沈黙に包まれて重くなる。


 そんな状況下の中、シュティレドの右脚に抱き張り付いて離れようとしないドルチェが、元気よく声を発して静寂をかき消す。


「ねぇ、そう言えばぁ!! 今晩に大切なぁ、用事があったよねっ!!」


 静寂に突如響いた言葉にユンバラが、少し慌てながら言う。


「そ、そうだった!! 色々な事があって、あんなに大切な事を忘れていた……!!」


 ……え? 今晩に、用事が有るのか?? てか、今日はもう……空は真っ暗なんだが??


 どんな用事が有るのか気になった俺は、斜め前で慌てているユンバラへと問い掛ける。


「なぁ、どんな用事を忘れていたんだ??」


 俺が口を結ぶなり……


「カジノ……! 世界中の金持ちが集まり遊戯する、世界最大のエンターテイメントシティ……【ペフニーズィ】に仕事へ、行くことだっ!!」


 ユンバラの口から、慌しく答えが返ってきた。

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