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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第3章 監獄島からの脱出!!
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3章 第11話



 ――一ヶ月後。


 ヴィノはというと、脱獄をしようとした罪で、当別監視室にて常に監禁されている。

 許されるのは、毎日決められた時刻に食事をするのみ。仕事をするなどという理由で、地下へ行く事すら許されていないらしい。


 一ヶ月前に俺は鍵を守った……あの時、殻を破ることが出来たのだろうか??


 色々な事を内心思っていると、


「おらっ、もっと働けっ!!」


 俺は強面看守に怒鳴られるとともに、脚の動きを早めた。


 地下での労働……仕事は、一ヶ月前と比べて楽になった。

 別に仕事量が減った訳でわない……むしろ増えている気がする。なんというか、一ヶ月も無休で同じことをしていたから慣れていた。体力や筋肉が付いた所為か、とても軽く身体を動かすことが出来るのだ。


 まぁ、そう感じているのは多分俺だけで……隣で働く『アスモリ』と『イリビィート』は……、


「後どのくらいで、今日の仕事は終わるのかしら……?」


 イリビィートが憂鬱そうに足踏みしながら呟くと、アスモリはキラリと額に流れる一筋の汗を右手甲で拭き取りながら、


「あと、五分くらいで終わると思う」


 そんな会話を聞いていたら、懸命に頑張っている俺がバカらしくなってきた。


 そして、五分という時間はあっという間に過ぎて、


「今日の仕事は終わりだっ!」


 強面看守の声が室内全体に大きく響き渡ったと同時に、囚人達は次々と自室の前へと静かに戻って行く。

 看守も監視をしながら、囚人達の後を追うように付いて行く。


 夕方になってやっと、朝から動かしていた身体をユックリ休ませることが出来る。


 階段を登り切って、地上階層へ足裏をつけるなりそんな事を考えていたら、


「大変だっ!!」


 ジタバタ慌てる一人の看守の姿が、俺の瞳に映った。


 ……どうしたのだろう?


 耳を澄まして、看守の声に耳を澄ませてみることにする。


「一人の女に、町が滅ぼされたらしいっ!!」


 ……え? 町が滅ぼされた??

 聞き間違いだろう??


「なんだと!? それは真実かっ!?」


「はいっ! 現場近くに居た者から、先ほどシッカリと連絡がありましたっ!!」


 ……看守達の会話を聞く限り、聞き間違いではないらしい。


 周囲を見渡してみると、多くの看守が大慌てで、外へと駆け飛び出して行く様子が確認できる。

 現在、外へと通じる廊下の赤外線は作動していないのだろうか……廊下を通り抜ける沢山の看守に対して、ブザー音が一切鳴り響いていない。


 ……コレは、思わぬ脱獄のチャンス。


「なぁ、イリビィート……」


「分かってるわ」


 隣を歩くイリビィートに「脱獄をしよう」と言おうとしたが、言うまでの無かったらしい。


 アスモリの方へ顔を向けると、悪戯めいた笑みが見える。


「お前が守り抜いてくれた鍵の出番だな」


 アスモリは静かに呟くなり、自身手元の手錠を外し、続けて俺とイリビィートの両手にも自由をもたらしてくれた。


 その後、俺たちは慌て外へ飛び出す看守の影や死角に上手く隠れながら、建物内から足を踏み出すなり……久し振りの外の空気を吸い込んだ。


 ふと視界端に見えた、夕方の海に沈む夕日が、太陽と勘違いするほどに眩しく感じる。

 薄暗い建物内にズッと閉じこもっていた所為で、陽の光に不慣れになってしまった証拠だろう。


 ……建物内から出たというだけでは、安心は出来ない。

 周囲は絶壁な崖と、澄み渡り煌めく大海が広がっている。この島から脱出して、やっと脱獄が成功したと言えるのだろう。


 と、


「おい、彼処に囚人がいないかっ!?」


 後方の看守一人に、存在を気付かれてしまった。

 刹那……俺たちの存在は、辺り一帯の看守たちにドンドンと伝染するように、気付かれていく……。


 ……ヤバいことになった。


 周囲に確認できる看守の動きは停止し、視線は此方を向いている。


 目で看守の数えてみると、……約三十人あまりの人影が瞳に映った。

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