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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第1章 ニート、魔王討伐の旅に出る!!
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1章 第18話


 それぞれが各自用意された部屋へと向かった後はなんの問題も無く……自部屋に入った俺は、綺麗に整えられた純白のフカフカベッドに仰向けになって、


「はぁ……疲れた。 …………絶対に助けてやるからな、ペリシア……」


 そんなことを呟き、(まぶた)を閉じる。





 ――部屋の窓から差し込む光が、月光から日光へと変化した早朝。


「おい、起きろ!」


 気持ち良く夢をみていた途端に聴こえてきた大きな音にびっくりして、俺はベッドの上で飛び上がり……


「はやく扉の鍵を開けろっ!」


 誰かが俺の部屋の前で大声を上げていることに気づく。 声質からしてフェンだろう。


 朝からウルセェ……。


 枕を抱えて、深く息をつきながら部屋のドアへ近づき鍵を開けると、同時に勢いよく扉が外側から開かれフェンの顔が視界に映った。


 昨晩と違い、服装が布の服から鉄鎧へと変化している。


「やっと起きたか……」


 フェンが溜め息混じりにポツリと呟き、言葉を付け足すように続けて口先を俺へと向ける。


「サッサと町外に行く為の準備をしろ。 町門に馬車を一台待たせてあるから……」


 命令口調で急になんだよ。 時計を確認しろ、現在時刻『五時半』で窓から見える外景色はまだ薄暗いぞ。


 それに町外へ行く為の準備をしろと言われても……俺の装備そこら辺の町人と変わらないから、寝る前ポケットから取り出してベッド横の棚上に置いたヒノキ棒を再びポケットに詰めるぐらいの作業しかないよ。


 頭部以外を鉄鎧で覆いつくし大剣背負ってるお前を見ていると、装備差の皮肉だとしか感じ取れないんだが。


 まぁ……そんなことは一旦置いといて、


「セリカとアネータさんの姿が何処にも見当たらないんだが、まだ部屋で寝てるのか?」


 そう問うと、フェンは鋭い眼光で俺を睨みつけ、


「なにバカなこと言ってるんだっ! 二人はもう町門近くに停車させてある馬車に乗っている!! さっきから三人でズッとお前の目覚めを待っていたんだっ!!」


「いや、なんでそんな怒るんだよ!? そもそも、五時半前に町を出発するなんて伝えられてねぇしっ!?」


 慌てる半ば怒って言い返すと、フェンは怒りと呆れさに染まった表情で、


「そりゃ……今朝オレが早起きして、町に住む知り合いの御者(ぎょしゃ)へ馬車の運行を頼んだ瞬間に急遽決まった出発時刻だからな……」


 お前何時に起きたんだよ。 まぁ、馬車を頼んでくれたことは感謝する。 だが、キレられた理由が納得いかない……。


 しかし良く考えてみれば、フェンはペリシアを救う為に協力してくれているんだ……そんな時に、のんびりと夢をみていたのは申し訳ないな……。


「なんか、色々ありがとな……」


 俺が素直な気持ちでお礼の言葉を告げると、フェンは身体中に鳥肌を立てて、


「うわっ、なんかお前が素直にそんなことを言うとか気持ちワルッ!?」


 うん、さっき思ったことを訂正させてもらうとしよう。





 そんなこんな口喧嘩をしながら、俺とフェンが馬車の待つ町門へと移動すると、


「お二人さぁーん! 遅いですよぉー!!」


 馬車が俺の瞳に映ると共に、荷台からアネータさんの顔がひょっこり飛び出てきた。


 立派なことに荷台には木製骨組みに大きな獣皮を張り付けた壁と天井が備え付けられており、俺たちが荷台の中からでも進行方向の景色を楽しめるような仕様なのか不明だが御者の背中がみえる壁部分はビニール製で透明であった。 見た感じ、内装は少しばかり広々としていそうだ。


 せめてもの慰めとして、アネータさんの美しい容姿で癒してもらおう。


「遅れてすみませーん! 今行きますねー!!」


 そう言い、俺はアネータさんが待つ馬車の荷台へと駆け乗る。


「到着しましたぁ! 本当に遅れてすみませんね」


「いえいえ、大丈夫です!」


 アネータさんは、にこやかな笑みを浮かべ俺を荷台へと迎えてくれた。


「遅いわよっ!」


 セリカは眉間にシワを寄せて怒鳴る。


 俺に続いてフェンも荷台に駆け込もうとするが、乗車する直前に地へ足裏を付けたまま立ち止まり、


「よろしく頼むぜ! 爺さん!!」


「おうよっ!」


 馬に跨がる御者の白髪混じりなお爺さんへと挨拶を交わす。


 と、お爺さんがフェンへ質問する。


「今朝、急に頼まれ動揺した所為で聞きそびれたが、今日は何処まで行くんだ?」


「そういや、行き先を伝えてなかったな……」


 こいつ、事前に伝えるっていうことを知らないのか?


「今日は、迷いの森まで頼む」


 フェンの一言を耳にしたお爺さんは少し驚く仕草をみせるが、すぐに我へ戻り、


「そうか……分かったぜ。 此処からだと十五分程度で到着するな……んじゃ、出発するぜ」


「おうっ!」


 フェンが荷台へと乗り込むと同時に、ユックリとだが馬車が動きはじめた。

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