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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第5章 いざ、魔王討伐!!
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5章 第63話

「――はぁはぁ……。ここは、どこ?」


 意識を失って数分後。テップルは、薄暗い洞窟の中で横にながら、少々息荒く目を覚ました。


 硬い地面に接しているおかげで身体が冷たい。しかし、何故か頭部には温もりと柔らかさを感じる。


 周囲を見渡そうと天井へと目を凝らしてみたら、安心したような微笑を優しく浮かべるアフェーラの顔が確認できた。


 どうやら、アフェーラに膝枕をされていたようだ。


「あ……、アフェーラ。さっきは、どうして……。あんな事を?」


 アフェーラの姿が瞳に映るなり、テップルは問い掛けた。


 すると、アフェーラは申し訳なそうに謝りながら言う。


「そ、それは……。貴方を守るため。だとしても、あんな苦しい思いをさせてごめんなさい。でも……。ああでもしてなかったら、今頃は石化……」


「もしかして、石化の元凶が近くにいたのかい? なんだ、僕を守ってくれたんだ……。ありがとう。ははっ、逆に僕が守られちゃったって訳だね……」


 アフェーラは、テップルに石化の元凶を見せないようにと、目隠しになってくれていたのだろう。聞いた情報だと、元凶を見てしまうと石化してしまうと聞いたことがある。


 テップルが素直に言葉を聞き入れていると、ガシャガシャとした足音が段々と近付いているとこに気付く。


 次第に、火明かりに淡く照らされ壁に映される人影の列も見えてきた。


 そんな景色を瞳に焼き付けながら、テップルは地から起き上がり優しい口調で囁く。


「どうやら、そろそろ追い付かれてしまうようだね。僕が時間を稼ぐよ。だから、そのうちに……!」


 テップルが一人、足音が発せられる場所へと向かおうとした瞬間。


「……だめぇ。私、また一人になる。寂しいよぉ」


 突然にアフェーラは眉を八の字にして、テップルの指先をギュッと握りしめた。


 そんな行動に対してテップルが何か言葉を返そうと考えていたら、突然に何処からともなく大きな声が発せられる。


 テップルには、とても聞き覚えがある声だ。


「皆さんっ、標的がおりましたよ!! ここは危険です!! 誰か、私に松明をください!! すぐに悪者を倒して、皆さんの元に戻ります。なので皆さんは、私が戦闘をしているうちに出口でも探していて下さい!!」


 周囲の者を鼓舞するような口調で話し終えると、宣言通りに一人でテップル達の元へと静かに向かって来る。


「うぉぉおおおおぅおおおおー!!!!」


 そんな大勢の大声と共に、向かって来ていた多量の足音はズンズンと遠退いていく。


 真逆に、一人の力強い足音がテップル達の元へと段々と向かって来ている。


「……フンッ、裏切り者め。どんなに謝ってきても、許さないですからね」


 向かって来る者はそう言いながら、腰に下げた剣を静かに引き抜く。


 負けじとテップルも、腰に下げた短剣を静かに鞘から引き抜いて構える。


「…………っ」


 テップルが微かに喉から音を立て、緊張の混じった唾を飲み込んでいると、それの姿はハッキリと目前に現れた。


「見習いの君が、私と戦う気ですか……」


 テップルの目前で立ち止まったガハラドはそれだけ言うと、純白に染まる聖剣を勢い良く振り翳すため、剣先を天井高く上に向ける。


「…………それでは、来世で会いましょう。善人として生まれ変わる事を、願っといてあげますね」


 言い終えるとガハラドは、聖剣を握る腕を素早く振り下ろす。


 瞬間。


「やっ、やめてぇぇええええーっ!!!!」


 アフェーラが大きな声で叫んだ。


 叫び声はジリジリと振動して、洞窟内に大きく反響する。


「……えっ、この声!? テップルとどっか逃げた女の声じゃないか!?」


 ミネルが響いてきた声に反応して言うなり、イリビィートが口を開く。


「さっき、標的が居るとかガハラドが言っていたわよね……? その標的って、もしかして……」


 列の最後尾に立っていたミネル達は、ガハラドが見つけた標的というものが、石化の元凶やらと思い込んでいた。


 標的がテップルだと感じ取ったミネル達は、急いでガハラドを置き去った場所へと戻る。


「すまんっ、松明借りる!!」


 そう言いながらミネルは、一人の兵士から松明を奪い取って道を駆け戻る。


 ミネルの片手に持った灯りを追い、シュティレド達も急いで走る。


 そんな状況の中。アマーロが走りながら、ミネル達に問い掛ける。


「ねぇ……。ドルチェ達のこと、段々心配になってきたわぁ。何処にいるのかしらねぇ?」


 その頃、ドルチェはというと……。


「――はぁ……。皆んな、どこ行っちゃったんだろぅ?」


 そんな事を哀しげに呟き、輝く石を軽く蹴っ飛ばしながら、トボトボと暗闇を一人歩いていた。

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