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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第5章 いざ、魔王討伐!!
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5章 第58話

「もう少しで、東の洞窟に到着しますよ!! 最後まで、シッカリと股を上げていてくださいね!!」


 手綱を握り馬を上手く操るガハラドは、背後のミネルにチラリと視線を送った。


 それに対してミネルは、股を上げながら嫌々な表情をつくる。


「あー、分かってるよ!! 上げてればいいんだろう!! そんなことより、前見ろよ! 余所見してたら危ないだろう!!」


「……ゔぅ。そうですね。聖騎士たる私が、余所見をしてしまうなんて……」


「そうだそうだ。ふぅ……、疲れた」


「え? 今、股間を付けました??」


 再びガハラドは、ミネルの方へと視線を向ける。


 瞬間、ミネルは下ろしたばかりの股間を勢い良く上げて口を開く。


「なな、な訳ないだろう!?」


「そうですよね。疑ってすみません。っと、見えてきましたね。東の洞窟が……」


 ガラハドの発言に反応してミネルは、前方に視線をジッと向ける。


 薄っすらとだが、洞窟のようなものが遠くに確認できた。それと……洞窟周辺には沢山のテントが、ピシリと張られているのが見て分かる。


「おぉー。皆んな先に到着して、テントを張り終わったんだな」


「そうらしいですね。では、皆も待っている事でしょうし、早く進むとしましょう!」


「だな!」


 そんなこんな会話をしながら、ミネル達はどんどん洞窟と距離を詰めていく。


 と。


「あっ、ミネルだぁ!!」


 ドルチェが、馬に跨がり向かって来るミネル達の存在に気付いて指差した。


 続けてユンバラや兵士達も、ミネル達の姿を瞳に映す。


「おぉー! ミネルじゃんか!! 早く来いよぉー!!」


 ユンバラは、表情を明るくして手を振りはじめた。


 兵士達も、ユンバラ同様に表情を明るくして笑み浮かべたり、歓喜の声を上げる。その声に反応して、テントの中で休んでいた者たちも、ゾロゾロと外に出てくる。


「あっ、ガハラド様だ!! こっちですよぉー!!」


「待ってましたよー!! お怪我、ないですかぁーっ!?」


「ちっ、生きてたか……」


「無事で良かった!! 全くもぉ、心配してましたよぉーっ!!」


 兵士達が群れる中から、小さく地味に聞こえてきた不穏な一言にユンバラは『えっ、今なんつった!? 気の所為……!?』っと、目を大きく見開いて一人驚く。


 そんな中、近付いて来るミネル達も手を振って笑みを浮かべている。


 それを見たイリビィートが、疑問を感じて呟く。


「ミネル……。なぜ、あんなにも股を上げているの?? 馬の背中との摩擦で、お尻の皮膚が傷付いてしまったのかしら?」


 この発言を鼓膜に響かせたドルチェは、自信満々に言い放つ。


「違うよぉ! 多分、ドルチェ達に再開できて嬉しいんだよぉ!! 少しでも近付こうと、身を乗り出してるんだぁ!!」


「そうなのかしら?」


「うんっ、きっとそうだよぉ!!」


 自信満々にドルチェが腕を組んでいるうちに、ミネルとガハラドが皆の元へと到着した。


「心配を掛けてすみませんでした……!」


 ガハラドは、部下である兵士たちに言いながら、スラリと軽快に馬から降りる。


 続いてミネルも馬から降りようと、地に足先を伸ばす。


「いやぁ、崖から落ちた時は終わったかと思ったよぉ。まぁ、また皆んなに会えて――。って、アレ? んぐぐぅ……。くそぅ、地面に足が届かない!!」


 ガハラドみたいにカッコよく地面に降り立とうと思っていたのだが、脚の長さが少し足りなかった。


「……く、くそぉぅ」


 ミネルが馬から降りようと懸命に頑張っている時だった。


「すみません。絶対に、股を付けないでくださいね」


「それ、まだ言うかっ!?」


 無表情なガハラドから、言葉が飛んできた。相当、愛馬に股を付けて欲しくないのだろう。


 この会話に反応し、ドルチェが首を傾げて言う。


「股……? ん? なんの話ぃ??」


「いや、何でもないよ!! 全然気にしなくて良いから! あっ、あとで飴玉でもあげるよ!!」


「えっ、飴玉くれるのぉ!? やったぁ!! ……でも、飴玉より。名声が欲しいなぁ」


 ……なに考えてるの、この子!? 怖い!!


 ミネルはドルチェの一言に、言葉を失った。


 と。


「ミネル……。君は、馬から降りることが出来ないのかい?」


 翼を羽ばたかせ飛びながらシュティレドが苦笑いで、ミネルを地面へと静かに降ろした。


「うう、うるさいなぁ!! 別に良いだろう!? もう、馬になんか乗るもんか!!」


 シュティレドの言葉に照れを感じたミネルは、頬を赤く染めながら言い返す。


 そんな時。


「アレ? ミネルの股、なんか湿ってないか??」


 ユンバラが、ミネルの股間をジッと見つめながら言った。


「そうかしら?」


 言いながらイリビィートも、ミネルの股間を吟味する。


「ちょ……っ! そそ、そんな見つめるなよぉ! 恥ずかしいだろう? 俺の息子も、恥ずかしいって、引っ込んじゃってるから!! もう、やめてぇ!!」


 ミネルが耳先まで真っ赤に染めて股間あたりを両腕で隠す中、イリビィートが無表情で冷静に呟く。


「……うん。臭うわね」

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