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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第5章 いざ、魔王討伐!!
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5章 第50話

「ゔっ、うぅ……」


 ミネルは目覚めるなり、視界にシュティレドの姿を捉えた。


 ベッドで横になっているミネルを、少々心配そうに見下ろして立っている。


「丸一日ずっと寝ていたけど、大丈夫なのかい?」


「えっ、丸一日!? 俺、そんなに寝てたのか!?」


 シュティレドの言葉に、ミネルは思わず上半身を飛び起きらせて驚いた。


 そんな中、シュティレドが続けて冷静に口を開く。


「そんなことより……。この二人は、誰なんだい?」


 こう発言するシュティレドの目線は、ミネルの左右横をキョロキョロと往復している。


「えっ? 俺の隣に誰か居るのか……?」


 不思議に思いながらミネルは首を動かし、自分自身の左右を確認してみる。


 刹那。


 ベッドの上でうずくまる様に寝ている、ドルチェとアマーロの姿が確認できた。


 右側にドルチェ、左側でアマーロが、気持ち良さそうにスウスウと小さく寝息を立てている。


 そんなこと御構い無しにミネルは、大きく声を荒げる。


「ちょっ、お前ら!? なんで此処に居るんだよ!! えっ、コレってまだ夢の中なの??」


 ミネルが現在状況に困惑していると、右隣からドルチェの寝起きな声が小さく届いてくる。


「うぅん……夢じゃないよぉ。疑うんだったら、自分の頬っぺたを抓ってみなぁ? ふわぁぁ……」


 ドルチェがあくびをする中、ミネルは試しに左隣で寝ているアマーロの頰を軽く抓ってみることにした。


 否や。


「痛っ!? なにかしらぁ?」


 小さく悲鳴をあげてアマーロが、周囲を見渡しながら目を覚ました。


 この様子を目前して、ミネルの疑心が少々解ける。


「本当に夢じゃないのか……!?」


「夢じゃないよぉ。現実だよぉ」


 ドルチェが繰り返しミネルに現実だと伝えるなり、仮眠室の扉外から野太い声が響いてくる。


「おい、お前らの目的の島に到着したぞ!!」


 船長の声だろう。


 この言葉を鼓膜に響かせたシュティレドは、一言だけ残して部屋の扉を開けて外へと出て行く。


「それじゃあ僕は、先に行ってるね」


「お、おう……」


 ミネルは困惑しながら頷きを見せた。


 と。


 右隣から、ドルチェの声が聞こえてくる。


「ねぇ、ウチたちも早く行こう!!」


「そうねぇ、私たちも行くとしましょう。それよりも、なんか頬っぺたが痛いのだけれどぉ……??」


「痛いのは気のせいだと思う! それよりも、お前ら本当に仲間になったんだな……」


 ミネルがアマーロの言葉を否定しながら思ったことを伝えると、ドルチェが元気に断言する。


「うんっ、仲間になったよぉ!」


「そうか、そうか……」


 ミネルは半分呆れながらベッドから起き上がると、扉へと身体を向けて足を進めた。


 そして、扉を開けて部屋の外へと足を踏み出す。


 否や。


 気持ち良く涼しい潮風と、じんわり暖かい太陽の光に、身体を優しく包み込まる感覚がした。


「うぅ……。現実って、気持ちいなぁ」


 現実の良さに感動していると、背後からドルチェとアマーロも追ってくるように外へと出てきた。


 瞬間。


 ミネルの視界端に立っていたイリビィートが、ポツリと声を発する。


「あら? また新しい仲間が増えたのね。まぁ……そんな事よりも、目的地に到着したわよ」


 イリビィートが口を閉じるなり、ガゴンッと船が大きく揺れて止まった。


「なんだ急に!?」


 ミネルが急いで周囲を確認してみると、船が大きな港に錨を降ろしている事に気付いた。


 先ほどの大きな揺れは、錨を降ろした時の衝撃によるものだったのだろう。


「なんだこの街……?」


 船を停めた街を船上から見渡していると、どこもかしこも美しくリアルな石彫刻で溢れていた。


 美しい二等辺三角形の屋根が特徴的な木造建物と、白いタイル張りな街に流れる透き通った水が、趣深い街並みを演出している。


 そんな街並みの中に不自然な感じで、人類種や魔族や動物の姿をした石彫刻が、不均一に並んでいる。


 街で生活している人々の姿は、不思議と一切に確認できない。皆、家の中に引きこもってでも居るのだろうか?


 この街並みを目前にしたユンバラが、威勢の良い声を上げながら船上から飛び降りる。


「目的地に到着!! よし、一番乗りだ!!」


「うわっ! ズルい!! ウチも、一番乗りしたいぃー!!」


 ユンバラを前に、ドルチェは頬を膨らませながら小さな黒い翼を広げて、船上から街へと降りた。


 そんなドルチェを前に、ユンバラが少々驚きながら口を開く。


「えっ、誰だお前……?!」

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