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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
第5章 いざ、魔王討伐!!
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5章 第23話

「おいおいおいおい、なんなんだよっ!? そういえば……よくよく考えてみると、この山では沢山の人が亡くなっているんだよな?」


 ミネルは布団を更に深く覆い被って、全身を隠しながら……強がりな文句をブツブツと呟いていく。


 そんなことをしている内に、謎の足音がピタリと鳴り止む。


 ……おっ、足音が消えたな?


 ミネルはビクビクしつつも……チョッとした興味本位で、布団から顔だけを出してみる。


 周囲をキョロキョロと見渡した限り、幽霊とか呪い類なモノは、一切に見当たらない。


 ……ふぅっ。なんにも、無いな?


 ミネルは、安堵のため息を深く吐きつつ……冷静さを取り戻そうと、何度か深呼吸を開始してみる。


 その後……ある程度に不安感を解消すると、布団を被って再び就寝をしようと瞳をグッと閉じた。


 刹那。


 ――ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ!!


 建物の玄関扉が、勢い良く叩かれる音が空間中に響き渡る。


「うっ、うおおおおぉぉっ!?!?」


 突然のノック音に……ミネルは声を荒げて、再び飛び起きた。


 ……くそ、なんなんだよ!?


 ミネルは、玄関先をギリっと鋭い眼光で睨みながら、内心で文句を言う。


 そして……多少にテンパりながらも懸命に、隣で寝ているイリビィートの身体を揺さぶり始めてみる。


「おい、イリビィート! なんか、お客さんが来ているぞ?」


「ゔぅ、うーん? 何かしら……?」


 イリビィートは……ボンヤリと寝ぼけながら返答するなり、再び瞳を閉じて眠りに就く。


 こんな反応を目前に……ミネルは負けじと、イリビィートの身体を揺さぶり続ける。


 ……くそっ、なんで起きないんだよ!?


 ミネルは内心そう感じながら、更に言葉を掛けてみる。


「おーい、イリビィート? 目を覚ましてくれないんだったら、胸を揉むぞ?」


「…………」


 イリビィートは、無反応だ。


 この反応を目前に、ミネルは『……ゴクリッ!』と、唾を飲み込む。


 そして……。


「そ、それじゃあ……。約束どおりに、触れさせてもらうからな……?」


 ミネルは確認を取りつつ、イリビィートの胸元へと手先を伸ばしていく。


 ドキドキと胸の鼓動が高鳴っていき、緊張の所為で身体全身がガクガクと震えてきている。


「そ……それじゃあ、触りますね?」


 謎の敬語を使いつつ、ミネルが胸に触れようとした瞬間だった。


 イリビィートの瞳が、パチリと大きく開く。


 ……刹那。


「あたしの胸元近くまで腕を伸ばして、何をしているのかしら?」


 イリビィートの冷たく静かな言葉が、ミネルの鼓膜に響き渡った。


 ミネルは急いで、誤解を解くために言う。


「いやっ……。まだ、何もしてない!?」


 嘘ではない、本当のことだ……!


 『しようとしていた』だけで、まだ『何もしていない』から、未遂だ!!


 ミネルが言葉を返し終えると、更にイリビィートから質問が発せられる。


「本当なのかしら?」


 この問いに、ミネルは堂々と返答する。


「自分の胸をよく確認してみろ……! そんな揉めるかも怪しい胸を揉んで、誰が得をするんだ?」


 イリビィートの胸は、平地までとは言わないが……貧乳である。


 ミネルが勝ち誇ったように口を閉じた瞬間だった。


 ――ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ!!


 玄関扉を叩く音が、先程よりも大きく空間に響き渡る。


「うおおおおぉぉーっ!?!?」


 突然の激しい音に驚き腰を抜かしたミネルは……イリビィートへと助けを求めるように、弱々しく口を動かす。


「お、おい……! イリビィート、お客さんが来ているぞ?!」


 この発言にイリビィートは、悪戯めいた笑みを浮かべながら言う。


「あたしは、まだ寝起きで立ち上がろうとする気が湧かないのよね。ということで、貴方が見てきてくれないかしら? 今晩ここに泊まる為の宿賃だと思えば、安いものでしょう?」


「え……?」


 言い返す言葉が思い浮かばなかったミネルは、泣く泣くコクリと頷きをみせる。


 ……幽霊とかだったら、どうしよう?


 そんなことを思いつつも……ミネルは腰抜けた身体を起き上がらせて、玄関前へと足を徐々に進める。


 魔物は大丈夫なんだが、怨みなどの念が篭っていそうな幽霊などは……大の苦手なミネルは、ガクガクと震える脚を一歩ずつ前へと進めていく。


 そして――――。


 とうとう玄関前まで、たどり着いた。


 と、


 ――ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ!!


「うおおおおぉぉー!? ビックリしちゃったなぁ!!」


 またも鼓膜や心臓を刺激してきたノック音に、ミネルは若干に怯えながらツッコミを入れた。


 その後……思いっきり、そこら中の空気を吸い込み。


「おりゃゃぁーーっ!!」


 ひと思いに、扉を開いてみた。


 刹那……ミネルの視界に、扉を叩いていたモノの正体が映り込む。


「えっ!?」


 瞳に飛び込んできた意外な存在に、ミネルは驚きの声を思わず上げてしまった。


 ミネルの視界に映ったモノ。そして、恐怖の足音やノック音を発していた謎の正体は……万雪山の麓に位置する街で、依頼を申し込んできた老人であったのだ。


 予想外な人物の登場に、ミネルが呆然としていたら……。


「おい、早くこの山から下山をするんだ!! このまま此処に居ると、焼け死ぬぞっ!?」


 老人が声を荒げながら、物凄い形相で忠告をしてきた。

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