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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season3【A面】
225/226

61-1 凱旋とはじまり

【61話】Aパート

基地から誰かが出てくる。



近くに駐車させた『MF』のメンバーがその人物に注目する。



「何て事だ。連絡があったとはいえ信じられん。」



その言葉は悲観的ではない。歓喜と驚きの言葉だった。



『MF』セルジオさんと真也が勢いよく施設から出てきたと思ったら最寄りに駐車してある『MF』の車を見つけ、乗り込んできた。


「緊急だ!車を借りるぞ。今から真也君と行ってくる。」


「分かりました。お気をつけて!」



皆の中では比較的軽傷だった生一も車で現場待機していた。


「真也!詳しい話は後でええけど、これから“あそこ”行ってくるんやな。」


「はい!屈辱的な事をされたんで。必ず倍返しして戻ってきます!」


「静公と俺らはどうしてたらいいよ?」


「皆と先にスイスへ!事を終えたら必ず戻りますから!必ず!」


「よっしゃ。信じたで。」


真也が笑顔で頷いたのを確認して生一は車を降りて席を譲った。



車はセルジオさん運転のもと、真也を乗せ猛スピードで街を駆け抜けていった。


「どうやってアレを退けたんかは分らんけど……本当に瓢箪から駒が出て来よったなぁ。」




しばらくしてから建物の入り口より静那とハインさん、その後クラウディウスさんが姿を現した。


静那からの報告で分かっていた事とはいえ、全員無事だ。



当初は静那一人に行かせて大丈夫なのかと内心心臓バクバクだった『MF』のメンバー達。


本当に良かったと胸を撫でおろしたのだが、すぐに気持ちを切り替える。


まだ全てが解決したわけじゃない。


「あの子なりの気概を見せてくれたんだ。次は我々が応える番だ!」




* * * * *




舞台はギュンター氏の邸宅へ移る。


防災委員会での緊急事態宣言が解かれ、やっとの思いで業務を終え自らの邸宅まで戻ってきたギュンター氏。


彼の生存を心配していた側近や警備の人間は、昨日からテレビやラジオを通して彼の肉声が聞こえていたため安堵し、帰宅を総出で出迎えたのだが…



程なくしてからまたやってきた“あの男”によって混沌とした状況に落とし込められていった。



あのミルヒと呼ばれた軍人の登場によって…



「帰ってますか?取りこぼしを拾いに来たのですが。」


「また貴様か!出ていけ。」


一斉に銃を構える警備員達。


一気に邸宅前が緊張状態になる。



「出ていけと言ったはずだ。撃つぞ。」


「撃てよ。」


「何!?」


そう言った途端、彼は警備員達に踏み込んでいった。


どうもミルヒという男は視覚的な盲点を突いて戦うスタイルが主流である。



銃弾は当たらず次々と警備兵が倒されていく。



「このままだと危ないです。社用車でお逃げ下さい。」


側近の人間がギュンター氏を匿おうとする…が


「車はもうウチのケーゼが対処してある。学べないのかなぁ…君達は。」



意地悪い表情をしながらミルヒは笑った。



今回は前回とは違ってどことなく余裕を感じる。


まるで誰も助けが来ない事を確信しているかのように、周りの人間を一人ずつ戦闘不能にして追い詰めていく…まるでゲームを楽しんでいるかのようだ。



「後方隊も前に出ろ。これより全員でかかるぞ!」


側近の一人が号令を出したかと思うと、ギュンター氏の前を14人の側近と警備員が陣取った。


14体1だ。


それでも男は落ち着いている。


「一つ勘違いをしているな。君達はあの首無し人間が居なければどうにかなると思っているようだが。」


「構うな!撃てえ!」


一斉に銃弾が撃ち込まれる。


「あれがいなくても私だけでも十分戦えるという事を。」



見ると銃弾を撃ち込んだはずなのに銃弾の痕が見えない。


「バカな…当たってないのか?」



気配を消したミルヒ。



「さて、ノルマはあと14人か…

14体1…あなたならどちらに賭けるかな?」


そう言ってミルヒはギュンター氏の前方に現われ、嘲笑的な笑みを浮かべた。


「くっ…来るな…」



「幸いなことに私は時間に追われるのが嫌なんでね。

あせらずゆっくり仕留めていきますので。

最後の1人になるまでに遺言でも考えておいてください。」


そう言うとミルヒは再び姿を眩ました。



「ぐあっ!」


誰かがやられた。しかし姿が分からない。


「ぎゃっ!」


また誰かがやられた。その瞬間に気配を消される。


「そこか!」


側近の一人が銃を構える。


しかし構えた瞬間、銃が粉々に破壊された。


「遅いよ。」

「グウッ!」


その声と同時に側近の1人がまた倒される。



気配を消しながら警備の人間を次々と掻い潜り、不規則に動きながらまた語り始めた。



「今回我々の精鋭も半壊し、計画も振出しに戻った…が、頭を挿げ替えれば再興などいくらでも出来る。そのうえで東西の分断が進めばまだまだ金も動く。

その第一歩として悪いが、歴史から退席してもらう。」


「貴様…」


「前回も言っただろうが、あなたはここで死ぬ。もう世界は“その戦線”で動いていくことで決まっているんですよ。」



「この野郎。奴はどこに行った!」


ギュンター氏を取り囲んだ側近があちこちに銃を向ける。



「残念ですが、貴方達では私をとらえる事は出来ません。

まぁこんな風に一般市民というものはね…

どこかからともなく聞こえてくる声に怯えながら、押さえつけられながら生きていくしかないんですよ。そして邪魔な人間であると認定された方には消えてもらうしか。」




「その言葉、リボンでもつけてそっくり返すよ!あんたたちの捕縛をもってな!」



そこへ真也とセルジオさんが駆け付けてきた。


なんとか間に合ったようだ。



「バカな!?あのアンドロイドを退けたというのか?ありえない!我々の想定を超えている!」



途端に驚いた表情になるミルヒ。



「交渉を何だと思ってるんだ?とんでもない要件や状況を突きつけて後手に回らせる…それがあんたらのやり方か!」



「だったら何だというのだ?少年。」



「あんな話合いじゃ上手くいくものも上手くいかないだろ。

あんたらのやり方だと結局は暴力で解決するしかなくなるって分かんないのか。」



「何を言う。暴力でないから何倍も時間や手間、コストがかかるのだよ。

暴力こそが最終的に“決着”をつける手段として理にかなっている。

それは歴史が証明してきた。

我々のような精鋭が誕生したのも理にかなうが故だ。

現にどの国も暴力に対しては強い制約を市民に押しつけているではないか。」



「それでもだ。交渉を持ちかけたのはあんただ。それに対して何だあのやり方は。法律違反も甚だしいとは思わないのか。」



「何が法律だ。法律などすべて暴力を背景に成立しているという事実が分からんのか?」



「ぐっ…この。それが事実だとしても…」



ここでセルジオさんも話に加わる。


「真也君。

平和というのはね…戦わなければ自動的に手に入れられるような“安物”ではないんだよね。

ま、それでも肯定は出来かねる!

精鋭だかエリートだか分からないが、君達には圧倒的に他者に対するリスペクトが無かった。

それでは相容れないため、許容できかねる。よって抗わせてもらう。」



「あくまで受け止めていただけないわけか。」



「当然だ。今回の非礼は話し合いのテーブルから我々を遠ざけた。」


あくまで相手の論理には乗らない姿勢を取った上でセルジオさんはギュンター氏の後詰に回った。



前詰…前方には当然真也が立ちはだかる。



「まったく…武器を横流しし、お互いの怒りを増幅してくれさえすれば戦争は始まり、金は勝手に回っていく。外側からその手助けをしてやれば事足りるものを。」



「そんな事はさせない。

金の出所を押さえていけば、自ずとそちら側の頭にたどり着く。我々は諦めない。」



真也も続く。


「今回、傍観していた市民にも責任はあると思う。

自分達の治安を守るのは金を払った誰かじゃない!住んでいる皆の心意気だ!」



「知ったような口を…ドイツの何を知っている、この小童こわっぱが!」



「知らないよ!まだまだ知らない事ばかりだ。

今回のあんたたちの交渉を横で聞いてみて自分に足りないあらゆる事を痛感したよ。

だから僕らは学ぶ事を辞めない。

大切な人を守るためにも…生きている限り、学び続けるさ!

知ったような口なんて叩けるわけないだろ。


でもな…僕はあんたなんかには負けない!

歴史から退席してもらうのはそっちの方だ!」



「言わせておけば貴様ァ!

2度までも我々の前に立ちふさがりやがってェ!してやる!!」



嘲笑的な笑みが怒りの形相に変わり、立ち向かってくる男に対して真也は身構えた。


「来い!終わりにしてやる。」

物語はSEASON3、ドイツ編。

次回衝撃展開を経て、最終SEASON4へ入っていきます。


現地取材を経てリライトをする予定です。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は執筆の勇気になります。


ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆を続けていきますので、よろしくお願いします。

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