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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season3【A面】
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50-2 転生と地球

【50話】Bパート

鳥が一斉に高く舞い上がる。



気が付いたらそこは祖先達が生きてきたであろう見知らぬ土地に立っていた。



“さっきの感覚は何だったんだ…”



先ほどはなんだか太陽に全意識が引っ張られていくような感じがしたのだが、どうやら自分の時間軸は先祖のDNAを通して自由に行き来できるというのを感じる。



一瞬にして自分のルーツとなる大地へ再び舞い戻ってきた。



“不思議だ…そもそも時間って何なんだろうな…まるで実在しないようなものに感じる。

自分達が見ているものはあくまで時計であって、時間なんてものはそもそもなかったのではないか?”



今まで思考した事もないような不思議な感覚を覚える。



イメージすれば何度も舞い戻っていくことが出来る世界。


時間も時代も何もかもがごちゃ混ぜになった世界を自由に行き来しているような感覚になる。


まるで1冊の本を順不同で好きなように読み進めているような感覚…




* * * * *




意識を戻すと、次は畑に来ていた。


“自分のツールを知りたい”と感じた瞬間からそこにいる。


畑に来ているのは様々な命が育まれやすい場所だからなのか。



ここに来た理由を考えているうちに日が昇ってきた…



そんな畑にどこからともなくやってきた村人達は食べ頃になっている野菜や果物、道行く花に向けて口々に話しかけている。



その言葉の内容は分からなくても、感覚で理解できた。



“美味しく育ってくれてありがとう”や“奇麗に咲いたね”という言葉を投げかけている。


まるで人と会話を交わしているかのような光景だった。



“さっきも感じたけど、ここはどこだ…こんな異様な事をしている彼らは昔の日本人なのだろうか?”



そう感じながらも、先ほど見てきた世界と同じような“自然と調和しながら生きる暮らし”が続いていく。


途中から早送りボタンを押したかのように倍速で時が流れていった。


おそらく自分の意識がそうさせたのだろう。



ならば“自分の意識の奥底”は何を注視したいがために再びここへ舞い戻ってきたのだろうか…自分自身に問いたい。



時代も場所もよく分からない。


ここが日本かどうかも…



ただ、さっきから自分の周りに虫や小動物がやたらと寄ってくるのが気になる。



自分の居ない世界なのに自分の意識体を認識してこの虫たちは集まっているのだろうか?



周りにいる人間を見ると、そんな虫を手のひらに乗せてまるで会話を楽しんでいるかのように見える。



“大昔の人は虫と会話ができていたのだろうか?虫の知らせとかいう言葉もあるし…”ふとそんな疑問が芽生えてきたところで日が沈み、辺りは夜になった。



すると闇に乗じて突然争いが始まる。



隣の村からだろうか、色々なものを略奪して火を放っていく。



そこから後はいたる所でそんな光景が続いた。


争いの光景…


争いの根源は“奪い合い”だ。




“一変して急に争いばかりの世界になってしまったな…なんだか嫌だなこの世界…”と感じながら見ていると、ある時まるで神様からの戒めかの如く大きな震災と津波が起こる。



絶えず争いをしていた人々は、自然の猛威にはなす術も無く、次々と流されていった。



やがて僅かに生き延びた人類が船でまだ見ぬ大陸へ落ち延びようとする姿が見える。



その姿についていくかのように魂状態の勇一も行き先を追尾してみた。





残された人々は無事新しい大陸へ流れ着くことができた。



生き延びられた人間達はそこから感謝の思いを胸に、その地で開拓を再開する。


その部族は自分達の事を“ヤーパン”と呼びあっていた。



神を怒らせて天からの裁きを再び受けないよう、お互い争わない事を戒めとしつつ彼らは少しづつ繁栄していった。


やがて村が形成され人口が少しづつ持ち直していく。


それにより部族も様々な地へと移動をはじめる。



そこでピラミッドのような大きな建物がつくられたり文明が形成されていったりと…大陸を飛び越えて文化は飛び火していった。



これは何を見せられているのだろうか?



勇一が意識の中で知ろうとした“日本人のルーツ”なのだろうか?



神の裁きを恐れ、祖先らは争いをしない考えを伝承し、守り続けてきた。



そのおかげで穏やかな時代が続いていった。




ふと生活の中で彼らが熱心に作り続ける とある工芸品…陶器に注目する。



女性を形作ったデザインが多いこの陶器には見覚えがある。


…土器だ。



昔歴史の授業で習った覚えがある。


これはまさしく縄文式の土器だ。


敬いの象徴である女性が施された縄文式土器。


そんな土器文化が縄文時代に広まり、育まれていたのだ。




暗くなると皆で火を囲み、お互い歌ったり踊ったりして今日一日の充実を祝う。



晴れている時は毎日火を囲んだ。



踊り疲れたら寝っ転がって星を眺める。



そんな感じで“労働”に従事する事なく皆がその日を楽しく生きる事だけを考える。



晴れたらその日差しに感謝し、雨なら天からの恵みに感謝し、命の誕生は勿論全ての事象を神からのもらいものと受け止め、感謝した。



そんな愛と感謝の時代が続いていったのだ。




先ほどは早送りで見ていたが、この平和な日々は今の世界から比べてみれば夢のような世界だ。



いつの頃から人間は働かないといけないなんて思うようになったのだろう…


いつの頃から人間は人よりも優れていないといけないなんて思うようになったのだろう…


いつの頃から人間は相手を憎んだり羨んだりするようになったのだろう…



ここにはそんな光景はない。


各々に訪れた今日をめいいっぱい楽しむだけだ。



きっと今見せられている光景は、本来誰の心にも根付いているであろう記憶…。



“我々は生まれてきた時からあらゆるものに愛されて育ってきたんだ”という記憶なのだろう。



日本人は愛されてきたのだ。



その記憶が全ての日本人のDNAにもきっと根付いている。


自分の人生だけを振り返ればほんの一瞬の出来事なのだが、DNAを通してこれまでの記憶を辿れば確かに愛に満ちた記憶を感じる事が出来る。



“こんな愛で満たされた世界を命を繋ぎながら生きてきたんだな…

だから時には命がけで動くことだってできた。

どんな時でも愛を忘れずに生きてこられた…”



この地球を眺めていくうちに色んなメッセージが意識の中に舞い降りていく。


感謝の想いが溢れる。


火を囲み…大声で歌い踊る祖先達をやや遠目で見つめながら、思念体の勇一は蘇りつつある遥かな記憶に触れていた。



この地球が自分を求め、そして自分で選び、今という時代に舞い降りたのだ。

今回は勇一の“臨死体験”の世界を描かせていただきました。

単に“スピリチュアル”と一口で片づけられるものではない、独特の表現が皆様に伝われば幸いです。


分かりにくい表現などは何度か推敲したうえでリライトをかけていきます。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は執筆の勇気になります。


ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆を続けていきますので、よろしくお願いします。

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