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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season3【A面】
187/226

42-1 ハードな難敵

【42話】Aパート

※登場キャラクターのモチーフになっている格闘家達を補足として開示しておきます。

『ホットガイ』…レイザーラモンHG

舞台はイタリア。



あのフンベルト商会ミレイナさん達が築き上げた大切な会社の建物が乗っ取られた。


どこかの組織が乗り込み、子ども達を人質にして立てこもっている。



襲撃の予感を察知したレジスタンスのメンバーは、まずお母さん方を地下室に誘導し一旦カギをかけて閉じ込めた。


ここまでは良い判断だったのだが、施設内に散り散りになっていた子ども達が逆に狙われてしまった。


施設を乗っ取った人間が武器商人の残党という線が一番近いのだが、今は相手がどうとか考えている場合ではない。


まずラッツィオ隊長は現状の戦況をチェックしに行った。


まだ建物の外で応戦しているメンバーがいるのだ。




近くにいる息絶え絶えのレジスタンス“ハーン”の姿に気付き、まずジャンヌが駆け寄る。


その時のハーンの報告により、子ども達が今施設内で人質になっている事を知る。


あと予想は出来ていたが、相手側も銃火器を持っている事。


うかつに近づくと当然だが撃ってくる。


言い終わるとハーンは気を失った。


最後の力を振り絞ったのだろう。



一旦塀の外まで引き、真也達5名と現在の状況を共有する。


子ども達を人質にしているが、相手は銃を持ってるからうかつに近づいては駄目だと伝える。



しかし、真也は“子どもを人質に”という言葉を受けて激高した。


明らかな怒りを体中から醸し出しながら、立ち上がり敵陣へ突撃しようとする真也。


途端に葉月に止められる。


体全体を使ってものすごい力で真也を抑えてみせた。



その抑え方に真也も驚き、少し冷静さを取り戻す。


「真也…君。さっきの話、聞いてた?銃を持ってる人間が中で何名いるか分からないんだよ。」


「あ…はい…すいません。」


「すいませんじゃない!あの勢いで突撃するつもりだったの?まずは状況把握が先でしょ。それから動きなさい。」


空手道場で小学生や中学生の練習生に注意をするような感じで真也に釘をさす葉月。


おそらくだが仁科さんや静那に事前に言われていたのだろう。


“彼は怒りで周りが見えなくなる事がある”…と。



「すいません。葉月さん。」


「済んだことはいいから。じゃどう動くか話し合いましょう。」


「せやな。」


「真也。ちゃんと打ち合わせしてから行こうぜ。」


「先行かれたらフォローも出来んし。」


「ああ、悪かった。」


そんな話をしているうちに負傷した他のレジスタンスを肩に抱えて隊長のラッツィオがこちらに戻ってきた。


負傷したメンバーは重傷だ。息も絶え絶えである。



それでも隊長に現状の情報をくれた。



今も射撃で建物の四方から圧力をかけているレジスタンス達だが、中にはどうやらとんでもない怪物がいるようだ。


「…ということはその怪物と組織のボスを倒したらチェックメイトという事ですね。」


さっきよりは冷静になった真也が確認する。


「ああ。子ども達はかなりの混乱状態から泣き声が聞こえてきてる。急がないとな。そこで!」


作戦の指示が隊長から出る。


5人は意識を集中させる。



「建物を囲んでの銃撃戦は引き続き自分達が対応する。隙を見て真也君ら男性は建物内に乗り込んでくれ。

階段の昇り口にはくれぐれも気をつけるように。

真也君以外は子ども達の確保を第一優先する事。

ジャンヌと葉月さんは子ども達が外へ飛び出してきたらすぐに保護できるように準備しておいてくれ。

車に防弾チョッキがある。すぐに下に羽織れ!」



「分かりました。隊長。」


「はい。ありがとうございます。」


「各々役割を忘れるな。」



真也の耳元で八薙がもう一度確認を入れる。


「真也、隊長の指示通り動くんだぞ。暴走するなよ。子ども達は俺達が助け出す。任せろ!」


「分かった。役割通り動くよ。」



建物へ突撃しようという所で葉月も真也の手を掴む。


「あなたの事を心配している人がいるのを忘れないで!真也君。」


「はい。」


「じゃあ頑張って。」


そう言って葉月は真也の背中をパンッと軽く叩いた。




ラッツィオ達レジスタンスが建物や建物脇に銃弾を連続して打ち込む。


わざとガラス部分を割り、その派手な破裂音で襲撃者の意識をそちらに向けさせる。


その音を合図に4人は物陰から建物の中に一気に乗り込んだ。




施設内の間取りは把握している。


真也が先陣を切る。そして小谷野と兼元が続く。しんがりは八薙が引き受ける。


「しゃがんでッ!」


入り口からすぐの所で真也が叫んだ。


廊下をつっきろうとすると、階段上から誰かが撃ってきた!


真也は銃口から弾道を見定め、発射と同時に一気に相手との距離を詰める。


そしてまず勢いのままに銃を取り上げた。



間近に来たと思ったらいきなり銃を奪われてしまった相手は驚きのあまり逃げようとする…しかし逃がさない。


足を掴んだまま1階下まで豪快に投げ捨てた。


八薙達3人は階段に潜む敵の撃退を確認したうえで上に登る。


これで“上を取られる事”は無い。


階段を駆け上がる状況で、上からの敵に狙われやすいのを皆は既に知っている。




「グワアッ!」


前の方で悲鳴が聞こえた。



どうやら先頭を行く真也が道を切り開いてくれているらしい。


2階へ駆け上がってすぐ、黒服の男が気絶していた。


手にしていたピストルは砕かれ使い物にならなくなっていた。ベルト付近に備えていたであろうナイフも抜き取られていた。


短期間の対峙でよく見ている。



施設は2階建ての横に長い建物だ。


日本で言う昭和時代の頃よくあった2階建ての学校みたいな感じだ。おそらくその先の広間に黒幕は居るハズ。


どんどん奥へ進んでいく真也。


彼との間隔が開かないように必死についていく3人。


しかし別の部屋の窓側で外のレジスタンスと銃撃戦を展開していた軍人が“建物内が何やら騒がしい”ということで廊下まで躍り出てきた。


さっき真也との戦闘で発した仲間の悲鳴を聞いたのだろう。



部屋から廊下側へ出てくる軍人。


「!」


なんと八薙達とばったりと遭遇してしまう。


お互いに驚いたが“銃を使われる前に!”という八薙の判断でいきなり掴みかかる。


手四つの状態になる。


しかしそこは数の有利というものだ。


2人手を組み合っているその隙に、がら空きになった相手軍人のベルトからナイフと拳銃をサッと抜き取る小谷野と兼元。


「ナイス!助かります。行って!!」


素手での勝負なら負けないとばかりに組み合っている軍人を押さえつけて、2人をまず先に行かせようとする。


2人は八薙と軍人が組み合っている横を通り過ぎ、先を急ごうとした……のはフェイク。


後ろに回った小谷野は軍人の股間を後ろから思いっきり蹴り上げる。


「グウゥウウウッ!」


苦悶の表情を浮かべたその軍人は体に力が入らなくなる。



「前蹴りッ!」


いきなり小谷野が八薙に向けてそう叫ぶ。


何の事か一瞬意味が分からなかったが、すぐに理解した八薙は相手を後ろに吹き飛ばすような蹴り(前蹴り)を食らわせる。


片足を前にまっすぐ蹴り出すのは空手の基本動作だ。


マトモに蹴りを正面から受けた軍人は後ろに軽く飛ばされる。


それが小谷野の狙いだった。


飛ばされた体を背中からがっちり抑え込みそのまま後ろに投げ捨てたのだ。


勢いよく頭から落とされたその軍人は気絶したのか動かなくなった。



「いっちょ上がり。これに懲りたらヘルメットでもしとけボケェ。」



八薙との打撃と投げの連携でこの突然のエンカウントは無事クリアした。



「個別に分かれるんはようないと思う。3人で固まりつつ真也に追いつこう。」



真也に先に行かれてしまった事を思い出し、急いで彼の後を追おうとする。




しかしまたも別の部屋から一人のエネミーが“イカせまい!”とやってきた。



「なんだコイツは???」



…異様だった。


そのナリはとても軍人とは思えない姿だった。


黒いサングラスをかけ、黒いエナメルのホットパンツにベスト。そして同じく黒のキャップという見た事もない出で立ち…。


八薙よりもやや長身の彼はどうも腰つきが怪しい。


「おやおやボーイの皆さん情けないですねェ。こんなに簡単に敵の侵入を…やすやすと通してしまって~大丈夫なんですか~?」


いきなり3人に問うてきた。初対面なのに。



「何かよう分らんけど、コイツ“素手”や。気をつけろ。」


日本語で小谷野が素早く告げる。


今までの敵方の傾向として、銃や刀剣を携えている人間はその武器の力に頼っている傾向があった。しかし丸腰の相手はその肉体こそが凶器だ。


そしてそんな肉体を凶器とする相手に何度も圧倒されてきた苦い思い出がある。


「せやな。動きがなんかあやしくて近寄れんけど。」


そんなやりとりを日本語でしていると、その奇妙ないで立ちの男性はヨロヨロと近づいてきた。



見た感じは隙だらけだ。


「どうも~!ホットガイことHGで~す!!」


“HG”そう自己紹介しながら尚も近づてい来る。


どうやら八薙の方に…



「危ない!八薙、狙われてるで。」


どうやら“ホットガイ”ことHGは八薙に照準を合わせているようだ。


サングラスで表情は見えないが、口元が笑っている。不気味だ。


「逃げっ!八薙!」


斜め後ろにいた兼元が叫ぶが、八薙は相手が何を繰り出してくるのか分からず固まったままだ。


次の瞬間HGは八薙の頭を両手でガッと掴みかかった。


頭突きか?…そう思った次の瞬間、口を近づけ八薙の唇を強引に奪いに来たのだ。


「!?」


まさにキスをされる寸前で八薙は頭を振りほどき、後ろに大きくステップして距離を取る。


急いで兼元が駆け寄り、日本語で確認しあう。


「何されたん?」


「…ッ、恐らくあのまま俺の口の中の舌を食いちぎるとかそういうたぐいの技じゃないかと…」


「恐ろしいな…」


「どんな殺法か分からないっスけど、舌を入れられそうになった時恐怖を感じました。見た事ない流派です。油断せずに行きましょう。」


日本語でやりとりしている事等お構いなく、尚も八薙に近づいてくるHG。


完全に八薙狙いだ。


「オッケ~!」


何がオッケーなのか分からないが、どんどん近づいてくる。


「八薙に何すんだ!」


横から乱入した兼元がHGの股間を強烈に蹴り上げる。


これは酷い。


さすがに男だ。たまらずダウンするHG。



…しかし倒れても様子がおかしい。まず微妙に体全体を震わせている。


仰向けにダウンしたものの、攻撃が効いてないのかブリッジの姿勢から上体を起こし、股間部分から突き上げるような何とも卑猥な体勢で立ちあがってみせたのだ。


そしてサングラス越しながら兼元に目線を移す。


下から上まで舐め回すように見た後、「あなたはね~つまらん男だ。」


そう言ったかと思うと、エルボーを繰り出してきた。


いきなり正面で何かを話しだしたかと思うと「セイ!!」のかけ声と共に肘が飛んできたので、兼元は吹っ飛ばされてしまう。


「リーダー!」


小谷野が急いでかけよる。


「ああ大丈夫や。それより…」



目の前では八薙が空手仕込みの蹴りをHGの横っ腹に打ち込んでいた。


しかし打撃を受ければ受けるほどうれしそうな笑みを浮かべるHG。


鍛えているというのも事実あるのだろうが、どうも痛さよりも他の何かが勝っているという感じだ。


そんな様子を見ながら兼元は2人に日本語で指示を出す。


「こいつは多分もの凄い勢いで間違った方向に進んでいった人間や。

もう無理にかまうな!俺に案がある。」


そう言って立ち上がり、再び八薙の前に割って入っていく兼元だった。

物語はSEASON3、イタリア~ドイツ編へ入ります。

現地取材を経てリライトをする予定です。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は執筆の勇気になります。


ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆を続けていきますので、よろしくお願いします。

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