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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【B面】
112/226

24-2 マインドフルネス(瞑想)から始める必殺技講座

【24話/B面】Bパート

「俺達が飛び道具を打つためには一つだけ方法がある。瞑想や!」



「何やねん瞑想って?貞操の間違い違うか?」



「俺がこんな時に下ネタ言うと思うか?瞑想や、瞑想!

聞いたこと無いか?“マインドフルネス”いう言い方もするんやけど。」


「初めて聞くなぁ。」


「じゃあどんなもんか説明したるよ。

瞑想はなぁ…1970年代から既に認知されてて、スポーツ選手やハリウッドスター、各界の有名人が取り入れていることでだんだん有名になってきてん。

心を落ち着かせて、交感神経と副交感神経のバランスを整える儀式や。

すごい雑に言うたら“ココロの筋トレ”やねん。今ここに居るという意識を置くトレーニングや。」



「すごいトレーニングやん。それを極めたらもしかしたら…飛び道具も…」


「早まるな。“飛び道具は一日にして成らず”言うやろ。」


「言わんけど。」


「言う事にせえよ。話進めたいやろ!時間がもったいない。

今3人だけの独断ステージやん。

俺らの時代やん!

やり方教えるで。瞑想!」



そう言うと生一は2人の前に立つ。



「正座とか胡坐をかくのが基本やけどまずは椅子でもええ。腰掛ける場所を決めろ。

手のひらは下な。」



2人は後ろの椅子に深く腰をかけた。


「背筋を伸ばして頭のてっぺんから天に気を通すような意識で背筋伸ばして座るイメージや。まずはやってみ。」


「目線はどうするよ?」


「目線は半開きで正面の少し前の地面を見るくらいの感じかな。」



「おう、斜め下やな。……大丈夫やで。その後は?」


「2人ともそこまでいったら次は呼吸に気を配ってみろ。

呼吸やで。

今まで自分が呼吸してた事とかモロに意識してなかったやろ。

そこの無意識の領域に意識を置くようにするねん。


……徐々に意識全体を呼吸に向けていく。

他事考えても呼吸に意識を戻す。

また他の意識が出てきても呼吸に戻す。

多分そうしてても他事考える意識が出てくると思うねん。

そこを呼吸している意識に何度も戻していくという感じ。


乱れてもその心を否定とかせずにただただ戻していくような感じや。

自分が呼吸によって生きてるいう意識を味わえるようになるまで集中してみ。」



「こんな感じか…いやそれやったら意識が呼吸に行ってないよな。」


「そやな。意識を向ける…何度でも。これで力強くしなやかな心を作っていくねん。」





「何度でもやってみる。意識が乱れたらその度に。」



……



…………





「だんだん自然な呼吸と一体になってきたか?」



2人は無言だ。



生一はそろそろかと頃合いを見て、まず小谷野に指示を出す。



「じゃあ小谷野!お前からやってみるか。自分の今呼吸に向かっとる意識を、体の体感的に“前~後ろ~前”と言う順で動かしてみ。」


「あぁ、動かして…みたで。」


「前、後、前と動かしたと同時くらいにチョップ出してみろ。」


「こうか?」


小谷野がチョップの仕草を出そうとしたその時、まるでとあるゲームに登場する“暫烈拳”のようなエフェクトでチョップが繰り出されたのである。


「おおッ!何か出たぞ生一!」


「飛び道具…じゃないけどやったな!お前の1つめの必殺技や、ソレ。おめでとう。」


「これが俺の一つ目の必殺技…」


「ちなみに2Ⅾ格闘ゲーム好きのプロレスファンなら誰でも一度は考えたであろう技やと思う。気力が充実してへんとあんまり出せんから気をつけろ。」



しかし隣の兼元が不満を言い出す。



「生一!小谷野みたいに同じようにやってんけど何も出てこんぞ!

俺、どうすればいい?」


「まぁ焦るなって。お前はそうやな…もう一度心を落ち着かせて、体感を“下、右下、右”という感じで意識移動させてみ。」


「下、右下、右かぁ…なんかいかにも飛び道具出そうやな、この流れ。」


「ええからやってみ。落ち着いて意識を移動させろよ。」



「ああ!下…右下…右…」


「と同時にパンチ繰り出してみッ!」



その時、兼元は立ち上がり、思いっきり前に踏み込みボディブローをくり出した。


「食らえっ! …ってアレ?何も出ねぇぞ、飛び道具が。」


「なら、ちょっとパンチ出してみ。」


言われた通り兼元はパンチを出す。



「…普通のパンチやんな。じゃあさっきのやつや。もう一度瞑想に入ってからパンチ出してみ。」



兼元は言われた通り再び瞑想に入り意識を呼吸に持っていく。そしてパンチを繰り出そうとした瞬間、“食らえっ!”という掛け声と共に踏み込んだボディブローを繰り出した。


「小谷野!なんかこのパンチの先っちょからとか飛び道具出てなかったか?なんか見えんかったか?」


「いや、特には飛び道具的なものは出てなかったなぁ。」


「じゃあ俺は飛び道具というか必殺技すら持ってないんかよ?」


言われた通りやったのに何も出ないという事実にショックの兼元。



……



少し考え込んだ後、生一が答える。


「う~ん。原則には出てんやけどな。今1995年やろ。まだ分かるように説明できへんねんなコレ。

いや、その…出てるんよ。お前にも必殺技が。

でも何て言うか…言いにくいけど多分“未完成”な技やねん。

これ説明しても分らん奴出てくる思うから、技は出てるけど未完成やくらいに留めといてくれんか?」



「そんな…」


「すまんけどお前飛び道具打てる属性違うっぽいわ。やっぱりザンギみたいな肉弾戦になるんやろうな。」


「嫌や~俺も飛び道具打ちたいのに~」


「贅沢言うな。一応未完成の必殺技持ってんやからええやん。」


「ええことあるか!何が“未完成”やねん!飛び道具出せるようになって注目されるようになってモテモテになる算段やったのに。」


「やっぱり動機が不純な奴は飛び道具出すんは無理や!」


「そんなん聞いたこと無いぞ!」


「じゃあ動機が不純やなかったら…静那ちゃんみたいな純粋な人は飛び道具が出せるとでも言うんかよ!」


「まぁ出せんことも…ない。」


「適当な事言うなボケェ!ちくしょう!」


「そもそもモテモテになる算段だけやろ!おまえが飛び道具習得したい理由。」


「それだけやない!色々使えるやん。」


「なんやねん、その取って付けたような理由?」


「廃墟みたいな老朽化した建物取り壊す時、安全に壊せるやろ。離れて飛び道具打ちまくれば…」


「はぁ………それから、他には?」


「他には……アレ……その……。」


「意外とないやろ!」





「よう考えれば人類が仮に飛び道具出せたとしても実生活にまったく役に立たんよな。」


「そんな気がしてきた…現実に飛び道具出せたとしてもろくな使い道無いよな。」


「なんかもう飛び道具なくても良くないか?」


「なんでそうなるんだよ!」


「だって日ごろ使い道ないやん。波動拳とか仮に出せても…。ピストル見てみ!逆に争い生むだけやろコレ。」




* * * * *




その日の学校からの帰り…


生一は一人で公園横を歩いていた。


しかし何かを感じたのか…公園の広場に入った時、ふと立ち止まり前に向かって軽くジャンプしながら体を一回転させた。


「そこに愛はあるんかっ!」…こう言いながら。


そう言って生一は一回転後、着地した…が何も起こらなかった。



その時、ガサガサッと音がしたと思ったら草陰から小谷野と兼元が勢いよく姿を現したのである。


こっそり生一の様子を後ろから見ていたようだ。


「おまえ今なんか明らかになんか“出そう”としょったやろ?飛び道具的なやつ!」


「さっきの不自然な回転何やねん!絶対なんか“出そう”としてたよな!何かを!」


「はぁぁ?知らんし。俺ただ“そこに愛はあるんか”言うて一回転しただけやしー。

なんで俺が飛び道具とか出そうと思うねん。お前らゲームに毒され過ぎなんと違うか?

毒され過ぎてビックリマンなんですけど!」



「いや、明らかに空中で回転しながらなんか飛び道具出す雰囲気やったで。俺の目はごまかせん。」


「お前も飛び道具打ちたかった系か?」


「意味分らんわ!“打ちたかった系”とかそんな系統あるか!」


「じゃあなんで空中で回った。」


「それは…あれやねん。愛を探してたねん。」


「お前の言い訳にしては意味分らんわ!不ッ自然な動きしてからに。」


「ええ加減白状したらどうや!飛び道具出そうとしてたって。本当は出したいって。」


「だからなんであの空中一回転アクションが、飛び道具出すアクションとリンクせなあかんねん。今1995年やど!お前ら深く考えすぎ違うか?」


「年代でごまかすな!人間は命令でもない限り意味もない動きは絶対せえへん。

お前もしかしてなんかのCMに影響されとんのと違うんか?」


「うっさいねん、まだ地蔵もチワワも出てきてへん時代やで。何言うてんの?意味分らんのやけど~。」


「おまえの返答の方が意味分らんわ!とにかくお前も飛び道具出したかったいう疑惑は残っとるからな。」


「飛び道具なんて邪道そのものやぞ。」


「蜂の巣にされてもおんなじこと言えるんか」


「フン、おれもザンギ一筋言うてたやろ。飛び道具とか…別にうらやましないし。」


「コイツ意地っ張りやな~。」


「俺らの凶器は肉体一つや!俺らもう大人なんやし飛び道具から卒業しようや。」


「まるで今まで卒業出来てなかったみたいに言うなよな!」


「ええやん。童貞が許されるのは小学生までって言うように、飛び道具が許されるのは中学生までって事で。」


「ええわけあるか!仮に許されても出せんやろうが!」





ヒュ~~~~という風の音……



夕日が3人を空しく照らす。


6時になったようだ。


遠くから夕方を告げるサイレンが鳴り響く。



「もうこうなったら出せるように目指そうや。心の中の飛び道具…」


「“心の金メダル”みたいに言わんでええねん!もうええわ!」

『B面』では、勇一達が立ち上げた部活「日本文化交流研究部」での日常トークを描いています。時々課外活動で外出もします。各話完結ですので、お気軽にお楽しみください。


尚、本編のストーリーとB面の話数は所々リンクしています。こちらを読んでから本編を読み進めていくとより楽しめます。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は大いに勇気になります。


現時点でも構いませんので、ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆致します。よろしくお願いします。

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