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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【B面】
107/226

22-1 群雄割拠なJPOP

【21話/B面】Aパート

ここは校舎の東側2階。


放課後になるとこの奥の部屋が部室になる。


誰かが部室にやってきて、それが複数名になったあたりから『日本文化交流研究部』の活動は始まるのだが、今回も引き続きリクエストを元にしたプレゼンが行われるようだ。


メンバーの中心には仁科さん。


今回も静那からのリクエストに応える形で、とあるジャンルの深堀をしてくれるようだ。


…それは日本の音楽と音楽業界についての紹介であった。



* * * * *



簡単な日本の歌謡曲に関する年表を黒板にズラッと書きだした後、説明に入る仁科さん。



「ええとね、音楽っていっても私の好きな部分だけ言うのも発表らしくないから一応歴史の部分から調べてきたんだけど…。あ、歴史って言ってもそんな壮大なものじゃないよ。ここ10年くらいの規模の歴史。」



そして黒板に大きく“J-POP”と書きだす。



「今日本で流行ってる曲は、『J-POP』っていうジャンルになるかな。

“ジェイポップ”って読むんだけど、これ実は和製英語ね。日本で作られた言葉。


それだけ日本の音楽のジャンルとして確立されたジャンルなの。

曲のジャンルの一つとして一般化したのって結構最近なんだよ。

後で説明するけど、とにかく業界の動きメチャ早だからね。」



「自分達が知らない間にすごい速さで動いてる業界…か。」


「確かに流行りの曲の話って1週間も過ぎればもう変わってるからな~」



「きっかけの1980年代頃になってからバンドがブームになってね、若者の間でロックバンドがどんどん生まれていったんだ。

メロディーを聞いたらどこかで聴いたことあるっていうのが出てくるのがこの頃かな。

明治時代からあった“演歌”はちょっととっつきづらいけど、私たちが生まれた辺りからどんどん若い子たちにもなじみやすい“バンド”が台頭していったみたい。


この時代からⅭⅮ(コンパクトディスク)の製造も始まって、若者にも気軽に音楽を楽しんでもらえる時代に入っていった。

レコードは音質は良いんだけど、場所とるし何よりお金がかかるからね…

私の家もカセットデッキはあったけどレコードは無かったかな…家があんまり音楽に興味なかったのもあるけどね。


1990年代に入るとレコードやカセットテープよりも場所を取らないⅭⅮプレイヤーを持ってる人が増えてきて、音楽の世界にあこがれる人も増えた。

それに比例するように音楽業界が大きくなってきたって流れかな。


音楽がお洒落を嗜むみたいに学生や社会人の話題の中心になっていったかな。

音楽鑑賞が趣味っていう人が増えてきたのもこのあたりみたい。

中学生でお洒落な子は、ブランド物の服とJPOPを中心とした音楽鑑賞が趣味の主流だったな。

それに音楽はコミュニケーションツールの筆頭だった。」



「俺はゲーム三昧やったで…。だいぶお子様やったんやな。」



「ⅭⅮプレイヤーもどんどん小型化されてお洒落なのがいっぱい発売された。」


「今プレイヤーって言ったらSONY製品をやたらと多く見るな~」



「そして今、ⅭⅮを聴く土台が出来上がってるのもあって、ⅭⅮを買う人がすごく多くなってる。

アーティストさんを抱える多くのレコード会社がⅭⅮの売り上げ枚数で競い合ってるような世界に入りつつあるなって感じてる。

東京の渋谷見てて感じたんだけど、この流れは当分続くんじゃないかな。


東京の駅ではアーティストのポスターが沢山貼られてるし、季節ごとにどんどん変わっていくし、ニューシングルが発売されるたびにコマーシャルも出てきたしね。

業界が力入れてるってのが…コンサート以上にⅭⅮの売り上げ。…もうⅭⅮセールスがビジネスの中心だって言うのが分かる。

業界では“100万枚売れた!”もしくは“ミリオン達成!”っていうのが大物アーティストへの登竜門的なステータスだったの。


100万枚売れたら箔が付くって言われてたな。

これからはさらにコマーシャル(ⅭM)や広告の力も使ってどんどん100万枚超えのアーティストが出てくるんじゃないかって思ってる。

4~5年前は殆ど無かったけど、最近は100万枚を超える売り上げのCDアルバムが増えてきてる。


ちょっと個別の名前を挙げるけど……静ちゃん、分からなかったらごめんね。

私の大好きなアーティストさんの“岡本真夜”さんが最近シングル曲100万枚以上売りあげたのが記憶に新しいけど、分かる?」



「え…と、誰だろう。」


「確か高知県の人ですよね。」


「もう!なんで勇一が分かんなくて八薙君が知ってるのよ。地元アーティストさんなのに。」


「うう…知らなかった。」


「まぁいいよ。続けるね。これからの音楽業界の動向なんだけどね…」



ちょっと得意げな表情を見せる仁科さん。


おそらくここからが彼女の得意分野なのだろう。



「今年(1995年)以降も当分の間はⅭⅮの売り上げを競うようにどんどん新しいアーティストさんが台頭してくるだろうって予想してる。

でもね、私が睨むところ“GLAY”っていうバンドが今後絶対人気出ると思うんだ。

昨年の1994年にデビューしたんだけど、所属事務所の力の入れようが半端ないのよ。

バンドも色々あってさ、ヴィジュアル系ってのが最近は急に流行りだしてる。その波に乗じてってのもあって、猛プッシュしてる。


私が東京に居た頃から既に“流行の仕掛け”が出来ていてさ、レコード会社も“次に来るのはこいつらだ”っていう目星をつけてるのよね。

東京いたら仕掛け人たちの動きがダイレクトで分かるのよ。ラジオの出演とかも不自然に増えるしさ。」



「じゃあお前の個人的なお勧めってだけでもないんやな。」


「私もGLAYならラジオで聴いたことあります。寝る前くらいの時間帯にやってますよね。」


「そうよ!あれ絶対学生の起きてる時間狙って流してるよね。まず学生の耳に植え付けておいてから全世代へ向けて発信するみたいな?」


「ⅭⅮが売れるという確信から会社としても先読み戦略かけてるんやな。優勝マジックついたら優勝セールの準備はじめるみたいなもんか?」



「ちょっと違うかな…ていうか静ちゃんにも分かるような例出してよ。

まあ音楽だから実力が伴わないと台頭できない世界なんだけどさ、最終的な一押しはマスコミの力を使うのよね。

じゃないとアイドルがリリースする曲があんな売れるわけないじゃん。

僻んでるワケじゃないけど、アイドルって正直歌は下手なコ多いよね。歌手を目指していたわけじゃないんだし。

型通りに練習は積んでるみたいだけど特に尖ったところがない歌声してるっていうか。」



「あれであんなに売り上げ出せるの?っていうコいるもんね。」



「だから町中のポスターとかⅭM広告、ラジオは偉大だな~って感じるわ。

だからあと1年も経たないうちにGLAYが全国展開してくるでしょうから覚えといて損は無いよ。

恐らく所属会社はもう来年の年末ライブや紅白歌合戦とかの予定を考えてると思う。」



「まだそこまで全国に名が挙がってないのにそんな皮算用するもんかよ。」


「絶対売れるっていう確信と算段があるからよ。行楽シーズン中の大きいコンサート会場はもう押さえてるハズ。

もう今の流動性見てたら、ヒットを確認してから会場押さえるってやり方だと遅いもん。

学生が一番パワーあるから、学生のニーズや声を先にラジオとかで押さえておいて目星をつけるのよ。」



「なんだか音楽業界の動きって恐ろしいくらい早いのが想像できるな。」



「でしょ。それだけアーティストも夢を持って進出している世界だからね。売り出す方もフットワーク軽い訳よ。

こういう芸能関係の流れはどうしても関東から地方に浸透していく感じになる。でも場所を問わず女子高生の情報網は早いよ~」



「田舎でも流行には乗り遅れないぞっていう学生の意地みたいな物もあるしね。」


「うん。学生って乗り遅れてるって感覚持ったら焦るよね。

そこをうまくメディアに操作されてるようにも感じるけどね。

やっぱり最先端にはついていきたいじゃないの。」

『B面』では、勇一達が立ち上げた部活「日本文化交流研究部」での日常トークを描いています。時々課外活動で外出もします。

各話完結ですので、お気軽にお楽しみください。


尚、本編のストーリーとB面の話数は所々リンクしています。こちらを読んでから本編を読み進めていくとより楽しめます。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は大いに勇気になります。


現時点でも構いませんので、ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆致します。よろしくお願いします。

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