初めてのお泊まり会②
食卓の上にあれだけいっぱいあった料理達はあっという間に消え去り、空の食器が並んでいる。
「ご馳走様でした!!」
「喜んでくれた?」
「はいっ!!! すんっごく美味しかったです!!」
「そんなに元気に誉めてくれると嬉しいわあ〜♪ もうみんな言わなくなっちゃったから〜」
「リーリエ、僕はちゃんと言っているよお〜」
「はいはい。 でもハルト君、味付けとか変じゃなかった?」
「凄く好みでした!! あまり食べたことがなく新鮮だったんですけど、アルフ地方の味付けですよね?」
「そうよ!凄いわあ!! もううちの子になってえ〜」
「ハルト...味までわかっちゃうんだ...凄い...!」
「い、いや...全然大したことはないです...」
「二人とも、ハルト君が困っちゃってるよ。」
「いえいえ! とにかく最高の料理でした!!」
「あらぁ〜〜〜いいのよ♪」
「ハルト君、今日は泊まっていくよね?」
「あーー......そうですね......でも、流石に帰らないとまずい気が......」
「い、今からかい!?」
「ハルト君、もう夜遅いわ。 町中だったらまだ明るいけど、生憎ここはかなり田舎だから...暗すぎて危ないわよ。 アイシスもまだ一緒にいたいだろうし、ね?」
「へぇっ!? そ、そうだよ! ハルト泊まっていきなよ!!」
「んーー...分かりました!! でもいいんですか?」
「良いのよ! さ、お布団の支度いたしますのでアイシスと居間でゆっくりしていてくださいな。」
「お母さん! 今日いっぱい走ったりしたから私たちお風呂に入らなきゃ!」
「あ!忘れていたわ! お父さん、お湯を早く沸かしてきて!」
「分かったよ、リーリエ。」
「お二人とも、僕のためにありがとうございます...感謝しきれないです。」
「ハルト! こっちきて...トランプしない?」
「お、やろう!!」
◇◇◇◇◇◇
チャポンッ
ふう〜〜最高の気分だ......
お湯に浸かった瞬間、今日一日でどれほど疲れていたのか実感した。
美味しいご飯を食べたりアイシスと一緒にいて忘れていたけど、今日は本当に壮絶だったもんなあ。
とにかく気持ち良すぎる...早くアイシスにも入ってもらいたいものだ。
一般的な家庭のお風呂ってこんな感じなんだな。王城と比べてしまうと大分こじんまりとはしているがそれが逆に落ち着くというか安心感がすごく感じられる。木造で温かみのある空間、白くて綺麗なバスタブ、窓からは涼しい風が入り込んできて居心地が突き抜けて良い。
王城の風呂はなんだか無駄にでかいし、大理石なのか?よくわからんがいかにもって感じの高級そうな石で埋め尽くされているが、あんなの風呂に必要なのか? 休まるもんも休まらないよ。
俺はこういう温かみのある生活がしたいっ!! はあ...そう感じるたびに俺は王族に向いてないんだなあとヒシヒシ感じる。
・・・・・・ていうか俺が先に風呂に入ってしまって良いのか??
アイシスは何やら父親と外へ話に行ってしまったから先に入らさせられたが、この後アイシスも入るんだよな......
きっとお湯を入れ替えるのだろう!!.........きっと......。
◇◇◇◇◇◇
「アイシス......」
「どうしたの、お父さん?」
「ちょっと聞いてみたいことがあってね。」
「なにぃ〜?」
「......アイシスはハルト君のことどう思ってる?」
「え!? ええっ......とお...... なんというか......友達......」
「好きか? 彼のこと。」
「な、なんで!?」
「.........」
「うん。」
「そうか。 彼は確かにかっこいいもんな。 良い人と出会えたな。」
「う、うん...それだけ?」
「......ああ。 ちなもにハルト君はどこ出身なんだい?」
「あ...んーと、確か...ウベルトだったかな?」
「ウベルト......そうか、近くだもんな。」
「例えばの話なんだが......もしハルト君がいなくなったら......どう思う?」
「ど、どういうこと......え......」
「な、なんでもない!! 深い意味はないんだ! 泣かなくて良いんだよ......ごめんな。」
「うん......もういい? 少し寒いよお...」
「そうだね。 中に入ろうか。」
◇◇◇◇◇◇
ーーー眠れないな。
理由は明白だ。 完全に密室な部屋のベッドの上で大好きな人と二人きりで寝っ転がっているからだ...... 展開が早すぎるって!! 俺よ...落ち着け!! 俺らはまだ6歳だ!!
「ハルト......」
「どっ! どうした...?」
「眠れない...?」
「い、いや...少しな。」
「そうだよね...... ごめんね、引き止めちゃって...」
「それはもう良いんだよ。 みんなすごく優しくて楽しかった! 全部アイシスのおかげだ...」
「ううん。 私はハルトが泊まってくれて嬉しい...」
「そう言ってもらえると最高に幸せな気分になれるよ。」
「嬉しい.........ねえ.........」
「ん?」
「ハルトは居なくなったりしない...しないよ......ね?」
「当たり前だろ! 約束したじゃんか!」
「そ、そうだよね! よかった...... 私が引き止めたせいで、お家に帰ったらすんごく怒られちゃって、もう......行っちゃダメって......言われ...うぅ...ないかなって...ぐすん......」
「アイシス...... そんなこと思ってたのか。 大丈夫だよ! こんなことで行くの禁止されるならとっくの昔に家に缶詰さ! お願い、俺を信じて......!」
「うん! ありがとう...ハルくんはほんとに優しい......」
はっ...ハルくん!?!? かっ...かっ...可愛すぎるだろ!!!
「お、おうっ。 そんなアイシスこそ突然会うの止めたりしないでくれよな。」
「もちろん! そんなわけないよお〜 だって......」
「だって?」
「え、えと......なっなんでもない!!」
「アハハ、やっぱりアイシスと話してると楽しいや。」
「私もだよ。」
「なんか凄く緊張がほぐれた〜 やっとぐっすり眠れそう......」
「そうだね。 おやすみなさい、ハルくん」
「おやすみ、アイシス。 また明日......ね......」
「寝ちゃった。 ハルくん......大好きだよ。」
「スー......スー......」
いつか直接伝えたいな...
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初めての小説投稿につき拙い点多々ございますが、皆様からのご指摘・ご感想を糧にしてより良い作品へと昇華させていきたいと思います。
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