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田舎町の金髪美少女①

ある晴れた日の夕暮れ、辺りいっぺんが見渡せる丘の上に私たちはいた。


「ーーーアイシス、その時は俺と一緒に冒険に行こう!」


「うん!行きたい!!」


この日私は、輝かしい満面の笑みを浮かべながら自らの夢を高らかに語った目の前の少年に、人生で一番の恋をしたのだった。


◇◇◇◇◇◇


聖教暦3006年春、シュベールト王国領のとある田舎町。


「おーーーーーい!!」


「え、ハルトくん!?」


「ハァ、ハァ、アイシス!久しぶり!!」


久しぶりに結構走ったから思ったより息が辛い......


「久しぶり! ・・・最近あんまり来てくれなかったから寂しかった。」


「ほんとごめん! ちょっと宿題が多くて...」


「ウフフッ、ハルトくんも宿題とかするんだね。」


「むむ! 意外と俺だって勉強してるんだぞ!」


「そ、そうだよね......ごめん!」


「じょ、冗談だって! もうサボりすぎちゃって使用人に怒られてばかりでさ〜」


「フフッ、ハルトくんっぽい。 ・・・ん?ハルトくんちって使用人がいるの? もしかして結構裕福な生まれ・・・?」


「あ〜いやいや全然そんなんじゃないよ。 えーと、俺が最近勉強しなさすぎてさ、両親が家庭教師?ってやつを呼びやがったんだよね〜。」


「ふーん。 ハルトくん、忙しそうだね......」


「んーまあ、そうなのかな? 確かに、本当はもっとアイシスと一緒にいたいんだけどなあー。」


「えっ!? う、うん...わた...し...も...」


俺は荒くなった息を落ち着かせるため深呼吸していたせいで、アイシスの呟きを聞き取れなかった。


「ん? ごめん聞こえなかった! なんて言った?」


「えと......あ!そ、そういえば、今日は何して遊ぶ?」


「そうそう! 今日は行ってみたいとこがあるんだよ!」


「え、楽しそう!! どこどこ?」


「それがさ、ちょっと遠いんだけど隣町の教会に行ってみようと思って。」


「私、一度も行った事ないから...凄く行きたい!」


「俺も! いつもこの辺ばっかりだからさ、今日はちょっと冒険してみたいなあ〜って。」


「冒険......!」


「い、嫌か...?」


「ううん! すんっごく楽しみ!!」


「やった!! じゃあすぐ行こうぜ!」


「ちょっと待って! 準備してくる!」


◇◇◇◇◇◇


「すっげーー! 人がいっぱいいるな〜。」


「う、うん......」


「どうした、アイシス? 人混み苦手?」


「う、ううん... ただ、はぐれそうで少し不安だなと思って......」


「確かになあ。 あ!じゃあ俺に掴まってなよ!」


「へぇっ!? えと、じゃ、じゃあ...」


アイシスはプルプルと震えた手で俺の袖を掴んだ。掴んだ手はとても小さかったがぎしっと強く握っている。慣れない場所で緊張してるのかな?


「よし! お、あれが教会じゃないか!?」


「ほんとだ! おっきい・・・」


人だかりで見えにくいが、背伸びをすると奥の方に茶色の古めかしい塔の先端が見えてきた。


「うん! でもハルトくん、なんで教会に行きたかったの?」


()()、いやお母さんがさ、最近教会によく行っているらしくて気になったんだよね。」


「なるほど! ハルトくんのお母さん聖教を信じてるんだね。」


「あー多分そういう感じかな? あんまりお母さんのこと知らなくてさ〜。 教会に行けば何かわかるかなと思って!」


「フフ、お母さんのこと大好きなんだね。」


「えっ、ま、まあそんなんじゃないけど...」


「ほんとにい〜? フフッ」


「違うって!!」


「ごめんごめん...ハルトくんも可愛いとこあるんだな〜って。」


「え、そうかな...? そ、そういうアイシスの家はどうなんだよ?」


「私もあんまり詳しくないんだけど、多分違う...かな?」


「聖教信者じゃないってこと?」


「た、多分? 住んでる地域全体が信仰?とかあんまり無いって聞いたことある。」


「へえ〜この国にそんな場所があるんだな。 あ!あれ前食べたいって言ってたやつじゃないか?」


「ほんとだ! でも、私そんなにお金持ってない......」


「そっか... お、俺が買うからさ、一緒に食べようぜ!」


「えぇ...それは悪いよお...」


「良いって! おばさーん! って、え......??」


嘘だろ!何でここに!?


「あらあら。 いらっしゃいませですわ。」


「ハルト、どうしたの?」


アイシスが不思議そうな顔で横から見つめてくる。


「え、あーなんでもない! おばさん、マラサダ二つください!」


「もちろんですわ、小さなお客さん。 少しお待ちを。」


ふぅ、焦った。 まさかこんなところで使用人に出くわすとは......

なんで出店なんかやってるんだよ......


「お金...大丈夫?」


「うん、大丈夫! 1個あたり240ヴァレルだから、2個ではーーー」


「坊ちゃんたち。 こんな街中に二人きりでいらっしゃるなんて、もしかしてデートですか?」


 くっ余計な詮索をしてきやがって!


「はわっっ!?」


「あっ、ま、まあそんな感じかなぁ〜へへへ...」


「はわわわわ〜!?」


「あらあら良いことですわね。 お二人、お代はよろしいですわ。 その代わりにお気をつけてお出かけなさい。 大勢の方々がいらっしゃいますので...お嬢さん、坊ちゃんから離れないように掴まってるのですよ。」


「へえっっ!? は、はい!」


アイシスは俺の袖から離れかけていた手を再び強く握り直した。


「はい、マラサダ二つここに。」


()()、いやおばさん! ありがとう!頂きます!」


「ありがとうございます! 頂きます!」


「アイシス! ほかほかだよ、出来立てだ!! 早く食べよ!」


「うん!」


俺らは小走りで逃げるように噴水の方へ駆け出した。


「フフフ。 大きくなられましたねハルト様、いやラインハルト王子殿。」

ご閲覧頂き誠にありがとうございます。絶賛会社勤め中の天下不備と申します。


初めての小説投稿につき拙い点多々ございますが、皆様からのご指摘・ご感想を糧にしてより良い作品へと昇華させていきたいと思います。


皆様のポイント加算・ブックマーク登録をお待ちしております。

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