6.道中とキラキラ
「さあ!早速ダンジョンに行こうか!
きっと君たちのスキルがきっと役に立つはずだッ!じゃあ行こう!!」
勇者はそう言うと、ずんずんと歩いて行く。
「あの」
レアが訊いた。
「なんだいッッッッ!?」
「怒らないでください、3人って...その...お人形さ」
「ワタシハ"ナップル・パイン"!」
なんとパペットの1人が喋り出した。
「!?」
「ジョブハ<古武道家>!
"パイン"ガ下ノナマエ、キガルニ呼ンデネ!」
黄金のパインに続いて、他のパペットも自己紹介した。
「ジ、"ジミー・カンオレン"...<死霊術師>...ユウシャサマヲトッタラユルサナイ...」
「オレハ"ザクロサ・ブラック"ダ、ジョブハ<盗賊王>、ヨロシクナ」
陰湿そうなオレンジのジミー。
そして黒髪のワイルドなザクロサは、俺っ娘だ...!
「...レア・オシロです、ジョブは魔法戦士です!
よろしくお願いします!」
レアは言った。
「私は、ムシオデ・カズサ。ジョブは漫画家!...って言っても、伝わらないんだよね」
するとパペットたちは「「「...」」」数秒間顔を見合わせ、そして頷いた。
ぎゅっと握手された。
「ワカルヨ、ユウシャサマトオナジ"固有ジョブ"」
「ユニークスキルモチートスキルモ、固有ジョブニ紐付ケサレタスキル」
近くで見るとやっぱり『簡素な作りの人形』。
だけど無機質な繊維の塊のはずの彼女たちから何故か、人間の気配、意識みたいなものをすごく感じる...
「うん。」
私は勇者を見た。
「ああ、僕のスキルかい!?
これはね、ユニークスキル<蜘蛛の糸>だよ!!!」
そう、最初からパペットたちはずっと勇者が<蜘蛛の系>で操っていた。
勇者は口を一切動かさずに彼女らの声まで演っているとなると、すごい技術だと思った!
「すごいね」
「いや、すごくないよ!!!
ユニークスキルは"個性的"なだけさ!!
転生者が持っている、最初から個性も強さも兼ね備えた"チートスキル"とは訳が違う!!
ぜひダンジョンで君のスキルの凄さを見せてくれ!!」
「ああ、わかったよ!」
「「「...」」」
パペットたちが不穏な雰囲気を出していた。
私はそれが気になった。
「どうかしたの?」
「ナンデモナイ」
... ... ...
勇者は相変わらず、ずんずん前を歩いている
私はレアにこそっと訊いた。
「勇者のこと、どう思う?」
「どう思うって、まあ、うるさい人ですけど...悪い人じゃないかなって。
まあ、褒めるところがあるとすれば?
パーティの御三方との関係です!
すごい糸捌きで...それに腹話術まで!
お人形遊びのプロフェッショナルですよね!」
レアはキラキラした目で言った。
「レア、お人形さん好きだもんね」
「は、はい...」
レアは恥ずかしそうに頬を指でかいた。
レアはいつもぬいぐるみと一緒に寝ている。
それがないと寝られないらしい。
「お城が崩れた時はこれからどうしよう!って思ったんですけど...
カズサさんに出会えて、それから今日も4人もの素敵な仲間たちと出会えて...
私、幸せ者ですね!」
【インタビュー】
Q.レアさんはなぜ、ジョブに魔法戦士を選んだのですか?
A.理由とかきっかけ、ですか?
それは...カズサさんが出すオノマトペを手足に纏って、属性攻撃がしたい!って思ったんです。
もちろん魔法戦士が、パッシブスキルの【魔力伝導】と相性がいい職業だからというのもあります。ですが何より...なんだか協力してるって感じがして素敵かも!2人の愛の共同作業!!!......って思ったんです。えっと、なんだか、恥ずかしいですね...。