26.Answer3せかいとわたしとピカアアアアア!!!!!!!
<デンデン!デンデン!デンデン!デンデン!>
<システムオールクリア。チートスキル:オノマトペ具現化発動可能です。>
「すうううううううううううううううう」
私は思い切り息を吸う。
吸う。吸う。吸う。
そしてそのまま、曇り空に向かって口から言葉を発射するっ!!
「ピカアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
物凄い光が「ピ」「カ」「ア」の連鎖となって、私の口から発射された。
光が雲に激突すると、雲を晴らす風圧が環状に広がる。
わずかにかきこまれた雲が光と混ざりあって、煌煌と光り輝く神々しい螺旋となり、真っ黒な雨雲だらけだった空を不思議な快晴にした。
黄昏時のようでいて、魔力に満ち足りた美しい虚構のような、黄金の空。それが現実だった。
「曇り空を晴らす...そうか、それがあんたのユニークスキルか。
いくらユニークスキルといえど天候操作など、まるで神みたいだな。」
私は言った。
「神じゃないけど...神みたいなものかもしれないね。」
「はっ?」
「物語を自分の思い通りに動かす...それが漫画家だよ」
その時、オノマトペじゃないただの文章のはずの言葉が、一瞬私の周りに実体となって現れた気がした。
「神ィ!?神を騙ってはなりません!」
すごい妖怪みたいな顔をしたピスカが私を見て言った。
今更そんな聖職者ぶった発言をしても、もう遅い。
しかもそんな面白い変顔で。(本人は真面目のつもりかもしれないけど。)
「こほん」
探偵で、ギャンブラーで、聖女のピスカ=アラカルト=トーストレイズンは清楚な咳払いをして、小型の鑑定水晶を天に向かって掲げた。
するとそこに光が差し込んで、反射して、屈折して、放射して......ここにいる全員のステータスを映し出した。
高速移動...それに該当しそうなスキルはあった。
ユニークでもチートでもレアでもない。汎用性のあるパッシブスキル<俊敏>。
当然持っている人は何人もいたが、最も高熟練度だったのは白髪の少女...エクリ・ミナルプスだった。
「全員、怪しい動きを始める様子がないな。」
皆、黄金に煌く景色に釘付けだった。
ある者は突然の眩しさに目を塞ぎ、ある者は静かに目の前の情景を噛み締め、ある者ははしゃいで海へとつい一歩踏み出していた。
「俊敏XIV以上は...他にはいないな。
1つ目の可能性が正しいのであれば、結局彼女が一番怪しいのか...」
捜査官、頭痛そうに眼鏡を押さえながら言った。
「......」
光で目を覚ましていた白髪の少女エクリは、無言で目を逸らしていた。
その逸らした目線は、包丁に向かっていた。
「おい探偵。その包丁しまっておけ。狙われているぞ。」
眼鏡の捜査官カキ・コンドル・フロウデンは探偵聖女にそう言うなり、エクリの方に向かった。
一方で探偵聖女ピスカ=アラカルト=トーストレイズンは、袋に入った包丁はしまわずに、私に手渡した。
「最後の仕上げです。
包丁をこの魔力遮断袋から取り出したら、何が起こるかわかりません。」
「でも、邪悪なパワー的なものは全部、<聖なるベール>で弾けるんだよね?」
「......はい。
私が直接持ってしまうと、包丁が聖なるベールの庇護下側に入ってしまうので。だから、持ち手はあなたに任せます。」
「うん。」
一方その頃、捜査官はしゃがんで、エクリに目線を合わせて話した。
「なあ、お嬢さん。今からあなたを連行する。」
「......」
「...先に聞いておく。途中で暴れたりせずに、大人しく連行されてくれるか?
それとも、途中で大暴れして、周りに被害を出すか?」
「......」
「後者なら応援を呼ぶ。別に遠慮することはない。元々そのつもりだったからな。
まあ...できる限り前者であってほしいものだが。」
「......」
「エクリちゃん」
そう言ったレアの方を、エクリが向く。
その様子を見ていたカキは何かに気がついて「ん?」と声を漏らした。
「大丈夫です。私も一緒に行きますから。」
レアがエクリの手を握って言った。
「.........」
それを聞いたエクリは、渋々、こくりと頷こうと———した、その一瞬だった。
ちょうど、私が包丁を魔力遮断袋から取り出そうとしていて———
彼女の視線の先に再び、凶器が入ってしまった。
「ダメ!」
先ほどまでずっと無言だった少女は、突如悲痛に声を荒げた。
その瞬間、包丁から微かに煙が立ち始めた。




