表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元殺し屋の騎士生活  作者: 倉千 恵
第1章 幼少期編
9/12

第8話 冒険者

投稿ミスで途中までしか出せていなかったので、追加しました

 

「父様、1人で外出したいです」



 3人での稽古の翌朝、朝食後に、俺はエルヴィンに言った。


 入学に向け、身体を動かしておきたかったのだ。



「何をするんだ?」


「運動です」


「冒険者の依頼か」


「……はい」



 ダメだろうか。

 6歳なら、働いている子もいなくはないと思うけど。



「……わかった。許可しよう。

 ただし、魔物とは戦うな。奴らは狡猾だからな。1人はまだ早い。

 それと、5時までには帰るように。

 わかったか?」


「はい!」



 おぉ、意外にもあっさり許可がおりた。

 どう説得しようか考えてたのに、少々拍子抜けだ。



「リーファに言われたんだよ。アルスに経験を積ませてやれってな。

 なんでこれまで外に出さなかったのかと説教されたよ」



 俺の考えていることがわかったのか、エルヴィンがため息をついて言う。


 そうか、先生が。

 それに、説教って……



「そういうことだから、行ってこい。無茶はするなよ」


「はい! 行ってきます!」



 エルヴィンの「頑張れよー」という声を聞きながら、家を出た。




 坂をジョギングのペースで駆け下り、居住区を抜けて商業区に入った。

 時間は朝10時。

 通りは、この前よりも多くの人で賑わっていた。


 同じ道を通って冒険者ギルドに向かう。


 依頼に向かう冒険者とすれ違いながら、ギルドの入口をくぐる。

 ギルド内は、まだ今日の依頼を決めていないパーティが残っていた。


 俺はまっすぐ依頼ボードの前に進む。


 どれがいいかな。


 エルヴィンに魔物との戦闘は禁止されてしまったから、今日は動物を狩ろうと思っている。

 あまり遠出もできないから、郊外の平原とかか?


 まだ地理に疎いので、どれにしようか決めかねていると、1人の冒険者がニヤつきながら近付いてきた。

 背中に大剣を背負った大柄の男性冒険者だ。


 隣まで来て肩に手を置き、俺に話しかけた。



「邪魔だ坊主。その辺の依頼はお前にはまだ早えよ。もっとあの辺のがお似合いだぜ」



 男はそう言って、ボードの端の、清掃や運搬などの依頼が貼ってある方を指差した。



(面倒くさそうなのが来たな)



 男は、依頼に失敗したのだろうか、どこか苛ついていて、息は酒臭かった。


 ここは、さっさと決めて出よう。


 俺は、適当に目に入った狩猟の依頼を示して、言った。



「いえ、もう決めたので。失礼します」


「まあ待てや」



 俺が速足で立ち去ろうとすると、掴まれていた肩を引っ張って止められた。



「坊主、随分いいもん着てんじゃねえか。先輩に何か奢ってくれよ」


「もう行くので」


「おいおい、先輩にそのそっけない態度は無いだろ」



 あぁ、面倒くせえ。



「急いでるので、どいて下さい」



 俺は肩に乗っている手を払おうとしたが、力を込められ、中々離してくれない。

 さらに、その態度が気に入らなかったのか、男はつばを飛ばしながら大声で怒鳴った。



「お前舐めてんのか! 新人の立場ってのを教えてやるよ!」



 男が拳を振り上げる。


 戦いたくないなあ。

 近接戦はキツそうだし、魔法で取り押さえてもいいけど、ギルド内だしなあ。

 正直時間の無駄。


 ……逃げるか。


 男は闇魔法を発動し、ギルドの入口に瞬間移動した。


 後ろから、男の驚きの声と、他の冒険者の感嘆の声が聞こえてくる。

 それらを背に、俺はギルドを後にした。



 結局俺は、王都から少し離れた草原で狩りをすることにした。

 リーファ先生と飛竜狩りに行った時に通った場所だ。


 王都を出て、身体強化をかけて目的地まで駆け抜ける。

 途中、いくつかの馬車を追い越し、数十分で到着した。


 アリエルからもらった昼食のお弁当を食べながら、少し休憩。

 食べ終わったら、軽く準備運動。


 さて、始めますか。



 今回は、近接で狩ることにした。

 岩魔法をガチガチに固めた槍を手に、身体強化で全速力で近付いて、急所を突く。


 兎のような小型の動物から、鹿や熊のような中・大型の動物まで、手当たり次第に狩っていった。


 時折魔法で、上空の鳥を狙い撃ちしたり、大きな鹿の群れを殲滅したりした。


 仕留めた獲物は血を抜き、空間魔法に放り込む。


 ここは獲物が豊富で、数時間で30匹くらい狩ることができた。


 そろそろ帰ろうかと思っていたところで、血の匂いに誘われたのか、狼の群れが奥の森の方から出てきた。

 10匹程の群れだが、俺を見つけると、牙を剥いて一斉に襲いかかって来た。


 俺は囲まれないように立ち回りながら、ヒットアンドアウェイで1匹ずつ仕留めていく。


 10分程で戦闘は終わり、俺はホクホク顔で狩場を後にした。




 帰り道の途中、ゆったりと歩いていると、数人の男達に道を塞がれた。

 中には、朝に絡んできた冒険者もいる。


 報復だろうか、男達は俺を見ると迷わず剣を抜いた。



「よぉ、坊主。朝はよくも恥をかかせてくれたな。ただで帰れると思うなよ」


「これは犯罪では?」


「うるせぇ! ガキが調子のりやがって。お前、魔法使いだろ。この距離なら逃げられまい」



 はぁ……せっかく良い気分だったのに。

 まあいい。剣の稽古だとでも思おう。


 俺は岩魔法で剣を創り、身体強化をフルでかけた。

 まだまだ魔力は余ってる。

 夜だけじゃ面倒だから、ここで少し消費してしまおう。



「はは、魔法使いのお前が、剣でCランクの俺に敵うと思ってんのか。今なら持金全部で許してやるぞ」



 まさか剣を出してくるとは思っていなかったのか、周りの男達も笑っている。



「早く来てくださいよ。時間の無駄です」


「なっ、お前許さん! ぶっ殺してやる!」



 いや、殺しちゃいかんだろ。


 負けないと思っているのか、大男1人で向かってくる。

 周りの男達はニヤつきながら後ろで見ていた。



 どうしたものか。殺すのはさすがにダメだし。

 うーん、骨折くらいは我慢してもらおう。


 俺は瞬間移動で男の斜め後ろに移動し、刃を丸めた石剣を左足首に打ちつけた。



「がっ……!」



 ゴキッという鈍い音がして男が倒れ込み、落ちてきた頭の側面を叩く。


 男は脇の草むらまで吹っ飛び、気絶した。


 しばしの沈黙。連れの男達はまさかの出来事に目を見開いている。



「まだやりますか?」


「な、舐めんなぁ!」



 クソ、脅したつもりだったんだが。逆効果だったか。


 迫りくる男達も、身体強化のゴリ押しで脚を叩き折っていく。

 数分で決着はつき、男達は地面で悶え苦しんでいた。


 コイツらどうしようか。

 放っておいてもいいかな。もう襲っては来ないだろうし。

 でも一応ギルドには報告しておくか。


 俺は男達の服を漁り、身分証明書のようなものがないか探す。

 すると、全員冒険者だったようで、ギルドカードを持っていた。


 最初の男以外はDランク。

 こんなことしなければ、普通に生きていけただろうに。


 俺は再び歩き始めた。




 王都に到着して、ギルドに戻る。


 依頼達成の報告をして、買取カウンターで素材などを買い取ってもらった。


 ギルドのお姉さんは、まず空間魔法に驚き、次いで獲物の量に言葉を失った。

 カウンターにできた死骸の山。


 受付嬢は「少々お待ち下さい」と言って奥に引っ込んでいき、他数人に手伝ってもらいながら獲物を仕分けていく。


 なるべく綺麗に狩るように心掛けていたからか、ほぼ買取価格そのままで買い取ってもらえた。


 家へのお土産として鹿と兎の肉をいくらかもらいたいと解体のおじさんに言うと、「偉いな」と頭を撫でられ、解体料をまけてくれた。

 気のいいおじさんだ。


 肉を受け取ってから、買取カウンターを後にして、近くの受付嬢に冒険者に襲われたことを報告した。


 話をすると、受付嬢は驚き、俺を奥のギルドの応対室に連れて行って詳しい聴き取り調査をした。


 朝の出来事から帰り道でのことまで説明し、最後にギルドカードを渡して調査は終わり。

 おそらくギルドカード剥奪になるだろう、とのことだった。


 受付嬢にお礼を言い、門限も迫っているので、足早にギルドを出た。



 結局家に着いたのは門限ギリギリで、アリエルに小言を言われたが、謝りながら肉を渡すと、機嫌を直してくれた。



 夕飯はいつもより少しだけ豪華だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ