第5話 笑ってしまった
「洋ちゃん 誕生日はいつ?」
ふいに母さんが聞く。
「6月7日ですけど…」
緩みかけた桜井くんの表情がまた少し硬い?
「へえ 7日なんだ… この子の…」と私の肩に手を掛けて
「誕生日も7日なの 9月7日 洋ちゃんの方がお兄さんだね」
そう言うと、母さんは私の後ろに立って両肩に手を置いた。
「この子のこと、よろしくね」
いやいや 勝手にお願いされても困る! 桜井くんだって 戸惑ってるよ…(-_-;)
「こんなやつでよかったら どんどん使ってやって! 減らないから」と桜井さん。
その言葉に「俺も… 腹は減るよ」と返した桜井くんは私達の視線から少し逃げてキッチンの方へ体を向けた。
それからようやく解放された風で、壁に掛けてあるエプロンを付ける。 ホームセンターやカフェでよく見かける黒いタイプで、どうやら彼の物らしい。
「一段落したようですし お昼にしませんか? あったかい蕎麦ならできます」
「洋ちゃん 手伝おうか?」と母さん
「あ-やらせとけやらせとけ」と桜井さんはさっさと席に着いてしまう。
確かに桜井くんは一人で作る方がラクなようだ。
乾麺の袋を私達に見せて説明までしてくれる。
「この『蕎麦名人』。2分半でゆであがるんだけど、コシがあって喉ごしツルツル♪」
桜井くんは封を切った麺の束をキュッ!と絞ってからお湯の沸いた鍋にサラッ!広げる。
次に冷蔵庫を開けるとめんつゆを取り出し、小鍋に沸かしてあったお湯に投入して母さんに声を掛ける。
「志乃さん 味見てもらえますか?」
「ハイハイ」
母さんは桜井くんの隣に寄って、計量スプーンを受け取る
「まさか味見をする立場になるとは思わなかった。いつも姑に言われてたからねえ『山田家の味じゃない』って」
ひとさじ掬って味見すると母さんは桜井くんに微笑んだ
「いいと思う」
「『佐藤家の味じゃない』って言われなくてホント、良かったです」と桜井くんは頭を下げた。
思わず俯いて笑っちゃった。
悪いなあと、思ってはいるんだけどね。こらえきれなかったよ。m(__)m
読みづらいかなあ~と四苦八苦してます。(-_-;)
なので、感想、レビュー、ブクマ、評価、いただけると非常にありがたいです。 待ってます!!




