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シオンの恋 ②

はい

今回のながらヘビロテの曲は、かの“QUEEN”の名曲です(*^。^*)





会場はアンコールの声に包まれていた。


MCを入れようとしたこのマイクに被ってしまうくらいに


「ありがとう、でも、ゴメン このノリで次のバンドも応援して欲しい」


しかしアンコールの声は一向に収まらず、特に、前列の女の子たちは泣き叫んでいた。


と、スタッフが駆け寄って来て私に耳打ちする。

その内容を、私は笑顔で会場へ語りかける


「ありがとう! みんなのおかげでもう1曲演れるよ!!」


途端に会場は絶叫で溢れ返った。


私は三角巾の腕をフックパンチのように振り出してクルリと一回転する。

ギターのフレットをクロスで拭いていた()()()は思わず「アハハ」と笑ったが、前の席でがぶり寄っているファンの子たちはギャーっと叫んでいる。


「でも何を唄おう?」


「イカセテえ!!」と誰かが叫んで、ファンの波がザワっとする。


私は自分のギターケースと()()()の顔を見て、一瞬、いたずら的に思いついた。


「私の愛器“Kzusi RS Hybrid Junior”は“オリジナル”の太いネックを日本人の手に合うように少し細くしてあるんだけど…ほら、私結構、指長いだろ?!」

前のお姉さんの誰かが「その指で触って!!」と叫んでいる


「…だから私にはちょうどいいんだ、それを、そこの()()()()がキックしたんだ」


かのんは素に戻って、私に向かって何度も頭を下げた。


「ふふふ、かわいいね。じゃ、罰ゲームとして、そいつを弾いてもらおう! うまく弾けるかな。曲は…私のではなく、あの名曲『D●n't St●p Me N●w』!!」



かのんはギターケースに飛びついて、まるで王子様がお姫様にするようにギターを抱き起こし、そっとキスをした。


その様はファンの子たちには相当()()だったようで、ギャーギャー騒がれた。


しかし私はキスされたギターが一瞬、ぼうっと光って、魔法を掛けられるのを見た。


ギターと抱き合っている()()()はその先の()()()を探していた。


「かのん! シールドは“TB”って書かれているところに挿して」


かのんはエフェクターにシールドを繋ぎ、ギターケースからオーストラリアの5セント硬貨を取り出した。


「そう、そいつがピックだ」


頷いたかのんは5セント硬貨で弦をストロークし、また6つのペグを躊躇いもせず、カリリと巻き上げる。

一瞬にして音は不協を解消し、見事なハーモニーを会場全体に響かせた。


私は思わす目を見張った。

コイツはそんなに簡単に言う事聞くやつではないはずなのに…


そんな私に

かのんは左手の指を3つ立てた。


スリーカウント?


かのんは指を折りたたんでギターのネックを掴む。


私はひと息吸って、心の中でカウントダウンをした。


Three

Two

One!

唄い出しと同時に、ピアノのイントロを模した、ハーモニクスを織り交ぜたギターリフが寄り添う。

そしてファーストバース! ベースギターを奏でる様に音の粒をはっきりさせて刻むリズムをピアノで奏でるであろうメロディが追って行く。

そしてギターソロを高らかに歌い上げつつピアノのリフ部分をきらびやかに混ぜ込んでの演奏は、はたしてかのんの指は本当に5本(確かにカノジョは、それを全部使ってはいたが)しかないのかと見まがうばかりだった。


こんなギタープレイを()られたら嫉妬しかないはずなのに、私は歌詞の通りのエクタシーに突き上げられ、これまでにないような伸びやかな声で歌い上げていた。

()()()のハモりに包まれながら…


最後の1音をハーモニクスで仕上げて

その音が会場の歓声に溶けてしまうのを確認してから

()()()は右の手のひらを真ん中のピックアップの上に伏せた。


レノンキャップに押し込んでいた髪が、何房か零れて来て、スポットライトの光をはじいている。

このステージに降り立った、黒づくめでサングラスの“ミューズ”は、少し不安げに小首を傾げている。


だから私は盛大に

フリーな右手を挙げてシャウトした。

割れんばかりの拍手の中を



--------------------------------------------------------------------


ブースで物販をやってる最中も、カノジョは、黒づくめのままで、マメに立ち働いてくれた。


せがまれても決して一人では握手もせず、カノジョを“かのん”と気づいたお客にも「私は今日はただのスタッフだから」と謝っていた。


このときもう、私は…

カノジョが「お疲れ様」といなくなるのではないかと気が気でなかった。

終わったら何が何でも食事に誘おう!

もっと話をしよう!!



--------------------------------------------------------------------


「わあ!! 凄い“いいね!”の数!!」

スマホを覗き込んだ()()()はパチパチと手を叩いた。


ガヤガヤとした居酒屋で

私達ふたりは打ち上げをしていた。


「こんなところでいいのか? 私はキミにお礼がしたいのに…」


「お礼なんていいの、やっぱ打ち上げは居酒屋でビールでしょ!!」

ごくごくとジョッキを空けるカノジョは今では“白ひげのミューズ”だ。

で、ジョッキをコトンと置くと言ってくれる

「ケガ早く治るといいね」


「うん、でも…そのおかげでキミに出会えた。本当のキミに!」


「ふふふ、そっか、アナタの()()になれて、良かった」


カノジョは三角巾の腕にそっと手を置いてくる

「早く治りますように」



「… なんだかあったかくなって良くなった気がする」


「うん、おまじないは盛大には使えないの。だからほんの少しの“祈り”なんだ♡」


お酒が入っているせいなのか、()()()の瞳が更に甘さを増している気がする。

以前の私なら決して容認できなかったはずなのに

今はそれに引き込まれてしまう

「ん?」

また小首を傾げられた。

「あのさ、かのん」


「うん」


()()()の唄声、聞いてみたいな」


「えっ? 今まで何回かご一緒していたのに…ちょっとショックです」


「いや、あの、さっきも凄く良かったんだ。だからもっとちゃんと聞いてみたいなって」


「えへへへ 噓ですよ。シオンさんにそう言われるの、嬉しいなって、だからちょっとだけ…」

そう言いながら()()()は更に甘く私を見つめる。

「甘えてみたかったんです。ねっ! まだ歌えます? カラオケ行きましょ! オールで!!」


その日、一晩中

カラオケボックスでふたりライブを演った。


色んな曲で


挙句の果てにデュエットで“銀恋”まで歌った。

私にとっても生涯初だらけ

かのんに教えてもらいながら、振り付きAKBもやった。


カノジョは何を唄わせても見事だった。

あの、地底アイドルだったカノジョと同一人物だとはとても思えない。


でも…


私の腕の中で

いつの間にか

スヤスヤ寝入ってしまった()()()

髪を撫でながら

思った。


私の腕の中にはミューズが居ると

そして

私は…


うん、

私はオトコは苦手だ

だからといって

オンナが好きというわけでない

むしろ嫌いな事の方が多い


けれども

このミューズに


恋に落ちてしまった。



。。。。。。。。。



イラストです。


まだ高1だった頃の

学校ジャージの藤野詩音さん



挿絵(By みてみん)




かのんさんは、まだキャラが固まっていません。


なので1案



挿絵(By みてみん)



もう、我儘放題に書いてしまいました(^^;)


きっと表現が違っていたり、おかしいところも多数あるかと…(^^;)


あと、音とかプレイの表現、初めての挑戦でしたが、凄く難しい!!


えっと、本編の方も、少し更新したいなと、今、頭を悩ませております。<m(__)m>



感想、いいね、レビュー、ブクマ、評価、切にお待ちしています!!(#^.^#)



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