第22話 ジャージのしっぽ
別の作品でもしっぽネタ書いてしまいました(^^;)
空が明るく、どこからかヒバリの声が聞こえる朝だった。
学校へ向かう途中に公園がある。
さっきランニングした時も通ったのだけど、今はちらほらと人が出ている。
と、小さい子を遊ばせている高校生がいた。
高校生だよな… それも、あのブレザーとジャージ。東高のだ。
後ろ姿が気になってしまって、遠目からそっと回り込んで様子を見てみた。
藤野さん? だよな あの背の高さと横顔は…
藤野さんは子供の両脇に手を差し入れて“高い高い”をしたり左右に揺らしたりしていた。
空中でダンスしている子供は上機嫌だ。
その子供に笑顔を振りまく彼女の顔は、今朝の太陽のせいだけではなく、キラキラと輝いていた。
あぁ
やっぱり、女の人って
凄い!
思わず見とれてしまっていたら
気付かれてしまった。
「学級委員くん?」
藤野さんは子供をピッタリと抱きかかえてから、そっとしゃがんで立たせてあげた。
藤野さんの手を離れた子供は彼女の周りをクルクル走り回ったり、ブレザーの裾やジャージのお尻を引っ張ったりとじゃれ付いている。
その子供の頭を撫でてやりながらも藤野さんはバツが悪そうだ。
オレもだけど…
「変なトコみられちゃったね」
オレは頭を振って聞いてみた
「きょうだい?」
と、何かに気がついて遠くを見た藤野さんの視線を追っていくと、その子の母親らしい人が駆け寄って来た。
子供を引き渡した後、なんだか二人して並んで歩く羽目になった。
気が付いたのだけど、彼女は上背があるせいか佐藤さんより歩みを合わせやすい。
「学級委員くんはこの辺?」
「割と近いかな… あと、なりたくてなったわけじゃないから『学級委員くん』はちょっと…」
「ああ ワルイワルイ 誰くんだっけ?」
「桜井! …藤野さん だよね?」
「藤野だけど…変な事言って悪いんだけど 私、苦手なんだ。苗字呼ばれるの だからジャージくんとでも呼んでくれ」
「それは…無理っぽいなあ」
藤野さんは軽くため息をついた。
「じゃ…シオンで…」
「いいの? 呼び捨てで」
「構わないさ。だって入学したてで スカートじゃなくジャージ履いてくるやつだぜ。クラスでも女子カテゴリー外の扱いだし、私もその方がラク。あ、でも、桜井が気になる女子とかいるんだったら…」
実は、オレはさっきの…キラキラ輝いてた彼女の顔を思い出していた。クラスに気になる女子がいるとしたら…そういう事になる。なので、言葉を飲み込んだ。
「オレなんか陰キャのボッチ体質だぜ! そんなの居ない居ない」
「なんだ。そんなんじゃ学級委員なんて人選ミスじゃん」
「ああ、オレもそう思う」
シオンは少しオレを見て、目を外しながら呟いた。
「それってさ! ズルいし寂しいね」
「?!」
「まあ、いいや、私を呼び捨てにしても問題ないし、私が呼び捨てても問題ない。そうだろ?! 桜井」
シオンの言葉に…過剰に反応してしまうのが…
たぶん怖かったんだと思う。
だからオレは思いっきり余計な事を言った。
「どうでもいいけどさ。 お前、ジャージからブラウスか何かのしっぽが出てるぞ」
そしてオレは…シオンに思いっきり背中をドヤされた。
最近、それなりに話の進展に悩んでおりまして… 短くてスミマセン<m(__)m>
ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、切に切にお待ちしています!!(*^。^*)