第18話 ウザい
きつい言葉です。(^^;)
“新居”に帰った。
門のインターホンを押したが無言だ。
誰も帰っていないのかなあ
門を開けて中に入り、カバンから作ってもらったばかりの鍵を出す。
カギ穴に差し込むとわずかに引っ掛かりがあったけど、無事開いた。
ホント…誰も居ないんだ。
ちょうどいいや
うん
じっくり浸ろう
それにはまず、
着替えよう!
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ハンガーに掛けた制服をチェックする。
うん、さすがにまだ大丈夫。
向うのウチに置いてきた中学校の制服を思い出した。スカートがテカテカのやつ。
そう言えば“シオン”の中学校の制服は、きっと傷んでいないんだろうなあ…
いやいや
今日はシオンの事はどうでもいい
雑賀先輩…
やっぱり素敵!
うん素敵
「素敵!」
誰もいないから
声に出してみた。
独りだからニマニマしてしまう。
そうだ!
ココア飲も!
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食器棚からお気に入りのマグカップを出して、スティックのココアをサラサラと入れる。
すぐに電気ケトルがガリガリと音を立てながら湯気を排出し始める。
うん。こういうところは便利だ。
お湯を注いだマグカップを持ってソファーに移動する。
美味しい。
あったまる。
雑賀先輩との会話を巻き戻して、
ニヘラとなってしまう。
日差しも午後から夕方になったようだ。
だいぶ日が長くなった。
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ん?
楽器の音?
ギター?
音階を上から下
下から上
と繰り返しているようだ。
眠ってしまった?
ソファーから起き上がってみると、自分の上にブランケットが掛かっている。
こんな柄、女性用だよね
これもあいつの仕業だ!
桜井くんの部屋のドアをノックすると
ギターの音が止んで、彼が顔を出した。
私は彼の目の前にブランケットを突きつける。
「これ!」
「あぁ 前からウチに置いてあったやつ。ゴメン、クリーニングはしてあったんだけど…」
「こんなこと、しなくていいから、起こして!!」
「分かった」
「あと私のマグカップは?」
「洗って片付けた」
「余計な事、しなくていいから! あなたはその下手なギターの練習でもしてれば!!」
「勝手に片付けて申し訳ございませんでした」
と、桜井くんはまた頭を下げる。
「もう!いい!!」と私はドアに背を向けた。
私だってこんな事、言うつもり無かった。
でも、桜井くん、ウザい事バッカだから…
まあ、マグカップを勝手に洗うのはNGかもです。(^^;)
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