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第17話 押し付けられた?ライバル

今回は生真面目が歩いているような亀井さんのお話です。

入学式の後の色んなガイダンスが終わってもウチのクラスはLHRで、自己紹介タイムになった。

それも終了して、「やっと解放された」と思ったら担任がとんでもない事を言い出した。


「正式には後日、投票で決めるが、それまでの繋ぎの学級委員を指名するぞ。男子は桜井、女子は…」


えっ?! なんで?


「先生!」

担任の言葉を遮って亀井さんが手を挙げた。

「私、立候補したいのですが」


「ん、そうか、まあ女子は亀井を指名しようと思っていたんだが… じゃあ男子はもう、桜井でいいか?」

厄介払いの当たり前でみんなが拍手をする。


おいおい止めてくれ!!


「じゃあ、亀井!桜井! よろしくな! 早速だけど、ガイダンスで使用したパソコンとタブレット、回収して教材室へ持って行ってくれ。場所はさっき見たよな?」


やれやれだ。

皆がさっさと帰り支度しているのに居残りとは…


ところが亀井さんは、廊下に出してあった台車を教室に入れて、収納ケースをその上に並べ始めた。


目の前でこんな事されたら、これは、やらなきゃな…

軽くためいきをついて

諦めた。



--------------------------------------------------------------------


「桜井洋輔さん!お聞きしたい事があります」

目の前の亀井さんが、タブレットを並べる手は止めずに聞いてくる。

メガネが光っていて、その表情は見えない。


「なんでしょうか?」 こちらも丁寧な言葉遣いになってしまう。


「さっき、あなたが“取りあえず”の学級委員に指名されたのは、恐らく入試の成績が1位だったからです。そんなあなたがどうして、北高を受験しなかったのですか?」


「えっ?!」 俺は意図を図りかねた.


「私は試験当日、体調不良で北高の受験ができませんでした。あなたは

そうではないですよね?二次募集の時には居なかったから」


「普通に一次で受験したよ」


「なぜですか?」


なぜ?と俺も聞きたい。どうしてそこまでこだわるのか


「…東高に行くと決めたから」


亀井さんは、手を止めた。 少し俯いている。

「模試の成績! あなたなら北高はA判定だったはず」


俺はますます『?』だ。


「模試の順位表であなたの名前を見つける時は、いつも私の上でした。あなたと同じ中学の子に聞いてみたら、塾にも行っていないって! それは本当なのですか?」


「ん、まあ…行ってなかった。だから受けてない模試も結構あった、かな?」


「家庭教師をお付けになられていたのですか?」


俺は、チビの頃、オヤジの付き合っていた女性に勉強を教えてもらった事を思い出した。

「少なくとも中学の時は…ない」


見ると亀井さんの手が小刻みに震えている。

なんだか、めっちゃ!“圧”を掛けられているんだけど…


「あなたは私をバカにしているのですね?」


「いやいや してない。どうして?」


「『どうして』ですって?!! 塾にも行かず北高A判定の成績を取っておいて、それをふいにするなんて!! 私なんか自己管理の至らなさが未だに忸怩(じくじ)たる思いで、焼き切れてしまいそうなのに!!」


「そう言われても…東高に行くのが家の方針だったし…他にやることが無かったから、勉強していただけだし…」


亀井さんはキッ!!と俺を睨んだ。激高させてしまったらしい。

「更に私をバカにするのですか?」


いや、全然していないんだけど、ホントに…


否が応でも見てしまった彼女の顔は、怒りの為かそれとも()()()()()だからなのか、赤く染まっている。

「今は何を言っても負け犬の遠吠えですね! だから今度は絶対!あなたには負けません!!」


何も言えなかった。



--------------------------------------------------------------------


「独りで大丈夫」と言い張る亀井さんに「タブレットの詰まったケースを降ろすのは一人じゃ無理だ」と説得して、無理やり台車を奪って転がして行き、ようやくと教室へ戻って来た。


「今日はありがとうございました」と亀井さんは頭を下げる。


「いや、俺も学級委員だから」


「そうですね。では失礼します」

と踵を返して学校カバンを取ると、亀井さんは教室を出て行った。


俺は一人取り残されて、何となく机の上に腰を下ろした。


否定されるのは、慣れっこだ。一人きりは言わずもがな。


でも、頑張っている人から、思いっきり否定されるのは、なぁ…


自分のどうしようもなさを突きつけられると、さすがにへこむ。


まあ、自業自得なんだけどね。


亀井さんの生真面目さも、一種の呪縛から来たものです。


その雰囲気がある亀井さんに嚙みつかれたから、洋輔くんはへこんでしまったのかも…

何とも痛ましい話です(-_-)


ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、切に切にお待ちしています!!(*^。^*)



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