第14話 いっぱいいっぱい
入学式を前に母と娘の間は少し不穏です。
マンションの“元の家”
やっぱり落ち着く。
タクシーを呼んでいた母さんは耳からスマホを外した。
「10分後に来るって」
私はカバンに新しく付けたぬいぐるみのチェーンをいじっている。
「私、時々 ここから通っていいかな?」
「どうして? 向こうの家からの方が近いじゃない?」
「うん… それはそうなんだけど その、何だか、落ち着かなくて」
「落ち着かない?」
「ほぼ知らない男の人が二人も居るでしょ? やっぱり、ずっと緊張してるんだ」
「それはどこだって、学校だって同じ事よ。」
「学校はパーソナルスペースじゃないでしょ」
母さんはスマホをテーブルの上に置いて、私の方へ向き直った。
「今の生活が不満?」
「そんなキツイ言い方しないでよ」
私は、顔を上げられず、ぬいぐるみを遊ばせている。
「結構いっぱいいっぱいなの。さっき写真撮ったときだって。
キツかったんだから!」
いろんなことが一気に頭の中に蘇ってくる。
言えない事も。
「洋ちゃん。いい子なんだけどな…」
そっちの話?!
「私、あのひと 苦手」
「男の子だから?」
黙ってしまう
「そんな事、ないよね。雑賀先輩の事は…好きだもんね」
母さんはイジワルを言う
「比べるなんて、先輩に失礼!」
「その言い方は…」
母さんは私を睨め付けた。
「“私達”の息子に対し失礼って事になるよ」
「そんな“形”のことを言ったって、アノ人がどうこうなる訳ないじゃん」
あぁ 私、段々イヤな奴になってる。
母さんはため息をついた。
「そんなに嫌なら、好きにしなさい。ただ…」
言い掛けて止めた。
「タクシー もうすぐ来るよ」
温度差を突かれて、志乃さんはキレてしまいました。
大人げない事をオトナはするんです。(笑)
美咲ちゃんのモヤモヤした感じも 分かります。
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