第10話 ぎこちない朝と洋服選び
新しいベッドのせい…?
どうも寝心地が落ち着かない。
朝日が入ってくる。
カーテン引き忘れたかな…
「えっ?!!」
思わず大声をあげて起き上がる。
他人のベッド!!!
じわ~っと背中に冷や汗が流れる。
桜井くんの部屋じゃん!!
頭の中を昨日の記憶が走馬灯しちゃう
あああああああ…!!!
やらかしたあ~!!
私は頭を抱える。
その日初めて会った人に自分の片想いの恋バナして
挙句の果てに、そのひとのベッドで眠りこけるとは…!!!
昨日の着た切り雀のオーバーオールの脇腹からモゾモゾと両手を入れて、
色々と確かめてみる。
取りあえず何もないようだ。
遅ればせながら桜井くんを探してみるけれど、彼の姿は部屋にはなく、ゴロゴロの鉄アレイとギターケース?がふたつ。
とにかく脱出しなくちゃ!
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ドアの外に出て、そ~っと階段に向かう
「あらっ?!」
階段の上から母さんの声がする。
「そこに居たの?部屋に居ないから…」
投げ掛けられた言葉に思いっきり被せる。
「トイレ行こうかなって!!下りて来てたの!」
「そうなの?」母さんは「ん~?!」って感じで目を細める。
「具合は?! アナタ!結構な勢いで飲んでたでしょ」
「ん、大丈夫みたい」と私は無表情を取り繕った。
「具合悪くなったら言いなさい! それからお風呂…」
「うん、入る」
「洗濯、マンションでするけど、美咲の洗濯物も持って行こうか?」
「いい、今日、洗濯ネット買ってから、する。母さんのも一緒にするよ」
「私はいいわ…今日は午前中テレワークだから、向こうでやっちゃう」
コンッ! 壁をノックする音が頭の中で再生される。
それ以上先が再生されないよう、母さんの横をすり抜けて部屋に逃げ込む。
「洋ちゃんがランニングから帰って来るから、ぶつからないようにね~」と
母さんの声が背中から追いかけた。
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脱衣室のドアに貼っていた「おふろ入ってます」のメモ紙を剥がしたタイミングで桜井くんが帰って来た。
お風呂のタイミングがぶつからないで本当にほっとしたが、とてもまともに顔は見れない。
耳まで真っ赤になっているであろう顔色はお風呂上がりでカモフラージュできるだろうか?
お風呂の床とか壁とかシャワーでバシャバシャ流したけど…ちょっと心配だし…
とにかく
「おはよう!」と
サラッと挨拶してみる。
桜井くんはわずかに2階に目をやって
「おはよう。部屋に押し込めてすみませんでした」とまた頭を下げた。
「いえ、こちらこそ、ベッド…」ことば噛んでしまった。
…取っちゃってごめんなさい。大丈夫でした?」
桜井くんはソファーの上の布団を指して言う。
「爆睡した」
彼もどこかぎこちない。
「朝ごはん、キッチンに置いてあるので良かったら適当に食べて。冷蔵庫に冷たいポカエリアスやグレープフルーツジュースもあるから… 取りあえずシャワー浴びるわ」
私はタオルで両頬辺りまでタオルで覆いながら
「うん!ありがと、ごめんね」と返す。
すると、行きかけた桜井くんは思い出した様にこちらを振り返った。
「今日、買い物の同行、よろしくお願いします。」
頷いた私にちょっと手を挙げて、桜井くんは脱衣室へ入って行った。
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こういう時のお出かけって…どのレベル?なんだろう
親でもない。友達とも違う。もちろん恋人でもなく、兄妹だけど、それもあくまで義理だ。
だから気合や張り合いもないはず… でもあまりに投げやりなのも良くない。けど桜井くんは…
ロンTにジャンパー、ジーパンってところだろうし…
私はベッドやいすに洋服を並べて
実は結構悩んでいた。
昨日、桜井くんに「センスがいい」と言われて
ハードルを上げられたのだ。
散々悩んだ挙句、白地の絵柄ロゴTシャツにパステルラベンダーのパンツ付きミニスカート、同色のソックスに白いスニーカー。上にホワイト、ライトグレー、ラベンダーの3色パステルカラーのフード付きブルゾンを羽織って出掛けることにした。
ちなみに桜井くんはライトグリーンのフード付きブルゾンに薄い色のジーパンだった。
やってしまった!!!と身悶えしたり、気まずいなあという雰囲気を乗り切った後の、洋服選びは きっと楽しい気分転換!!
感想、レビュー、ブクマ、評価、切にお待ちしています!!




