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War of the ボッチ   作者: 前田 隆裕
第一章
4/70

僕しかいない町と何か①-4

 「・・・・・・」


 目を覚ますと朝日が差し込んでいるのか明るい。何時まで寝てたんだ。布団から顔を出して小学生の時に祖母からもらった置き時計を見ると朝8時過ぎだった。


 しかし何か変だ。妙に懐かしい雰囲気を感じる。加えて何とも言えない違和感がある。途端にはっきり目を覚ますと、自分がどこにいるのか分かった。

 

「なんでここにおんの」

 

 私は確かに東京の独身寮で布団に入った。それが今は地元の実家、それも生まれてから大学卒業まで寝起きしてきた2階東向きに位置する5畳半の部屋、見まがうことなき自分の部屋で布団から出ることになった。


 あまりにも理解不能の摩訶不思議体験に戸惑う。いくら熟睡してたからといって東京から飛行機か何かで運ばれれば誰だって途中で気付く。


 よくドラマとかで見る、麻酔付き布でもかがされたか?例の北の国に拉致でもされたのか?どんどん想像が膨らむ。いや、ここは自分の慣れ親しんだ家だ、両親がいるはず、聞けばわかるだろう。


 心がざわつく。なんなんだ、この違和感は。


 1階に降りて両親を探したが誰一人いない。この家はもぬけの殻だった。正確には家電や生活用具は上京した時のまま一式そろっているので完全なもぬけの殻というわけではない。


 ただ命が感じられない。ラインや着信履歴を見たが何一つない。家族しかいないラインやほとんど登録されていない電話帳など見落とすはずがない。ましてや母は必ず何かあれば一報は入れる人だ。おかしい。


 ならばこちらから連絡してみるまでと久しぶりにラインを送った。既読がつかず、今度は電話もかけてみた。「おかけになった電話番号は――」というあの自動音声を聞き、ますます不安になる。


 とにかく知ってる番号にひたすらかけた。父母、妹、祖父母、上司・・・・・・しか知らないので一瞬で終わった。すべて「おかけになった電話番号は――」であった。やはりおかしい。


 高まる違和感を無理やり抑え込み、状況把握に努める。電気、水道などのライフラインは通じている。


 冷蔵庫をみたら大学時代にいつもそろえていた一週間分の食料(朝:食パン 昼:鯖缶と小松菜 夜:豆腐とゆで野菜、納豆パック 昼夜はご飯と味噌汁付き)が残っていた。とりあえず今日の夜に最安値の夜行バスに乗って、日曜に東京に着、そして月曜から何事もなかったように出勤する。ばっちりだ。予約だけネットでとっておこう。


 因みにもうお気づきかもしれないが私はケチである。そしてお金が大好きである。この世で一番大切なのはお金であると言い切れる。


 学校の先生や友達をたくさん持つ者は「お金よりも愛が大切」と言う。そんなものは欺瞞だ。マッチングアプリや結婚相談所の登録に年収の記載欄が書いてあるのが何よりの証拠だ。お金がなければ愛は成立しない。成立するならばそれは感動系のドラマ、つまり虚構の中だけだ。子供への無償の愛?違う、リターンを見込んだ投資である。


 徳の高い人は「健康が第一」という。違う、これだけ医療が発達した今、治せる病気は格段に増えた。お金があれば、という条件付きで。お金持ちは高い医療保険に入り、もし病気になっても非課税の高い保険金を受け取って健康を取り戻せる。お金がなければ野垂れ死にである。


 大学は経済学部だったが、お金を中心に合理的に考える人を想定した学問、を研究するため非常に楽しかった。高校までの「一緒にやろう」みたいな雰囲気もなく最高だった。


 また実家通いだったもののかぎっ子で、公共料金や食費はすべて親からの振り込みでまかなった。むしろ食費や電気水道代はケチっていた上に、少し多めに(おそらく交際費分として)もらっていたが、一切使わないので貯金は増える一方だった。人づきあいを強いられる弱い立場のバイトなどしなくてよかったのは救いだった。


 ああ早くお金をためて早期リタイアしたいものだ。


どなたかは存じ上げませんが、初めて☆5をいただきました。

この場を借りて感謝申し上げます。

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