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War of the ボッチ   作者: 前田 隆裕
第一章
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僕しかいない町と何か①-2

 幸いかどうかわからないが人間関係に疲れた私は引きこもり――にはならずに勉強にいそしんだ。自分でいうのもなんだが、もともとまじめで一つの事に対して集中するのは何の苦にもならなかったし、知識が増えるのは喜びでしかなかった。


 なによりテキストや問題集には気を使う必要もないし、まじまじ見つめたりにやにやしたりしても気持ち悪がられない。


 アニメや漫画も同様の理由ではまった。ストーリーに没頭しているときは一人でもわくわくできる。寂しさを感じない。


 いや寂しさなどもう忘れてしまった。勉強もアニメ・漫画も一方通行で楽だ。


 国家公務員となった私は地元和歌山を離れ、上京した。独身寮を借り、とうとう経済的に自立し一人でも生きていけるステータスを得ることができた。今思えば中学か高校の保健の教科書で読んだ防衛機制「昇華」「逃避」を地で体感してきたような気がする。


 そして就職して半年が過ぎようとして今に至る。仕事は苦痛である。学校や研修で勉強してきたことがまるで役に立たない。学生時代は努力すれば褒められた。しかし社会人になってからは一生懸命努力しても叱られる。疑問に思ったことを言えば言い訳するな、口答えするなと返ってくる日常が続く。


 しかも相変わらず人づきあいの面では「ボッチ」である。先輩職員は学校の先生のように一から十まで仕事を教えてくれるわけではない。


 質問があっても、忙しそうにしている職員には聞きづらいし、勇気(ボッチの私は話しかけるのにも勇気が必要なのである)を出して聞いてみても「そんなこともわからないのか」と怒りを含んだ調子で返ってくる。


 逆に自分で仕事を進めれば「やり方が違う」とやっぱり叱られる。役所を訪れる人に気を遣えば先輩職員から「余計な気遣いだ」と叱られ、かといって素直に対応すれば「失礼な対応だ」と叱られる。


 別にふざけているわけではない。毎日押しつぶされそうなくらい必死に努力している。それでも褒められることなく叱られるのだから苦痛でしかない。


 同期は一緒に飲み会に行ったりしてアフターファイブを楽しんでいるようだが、私は寮に直帰する。飲み会にはいい思い出がないし何より話すことがない。



 要するに社会人になろうが私は何も変わっていない。


これから毎日投稿していきます。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  なんか…リアルな感じがするので、共感?を覚えます。  頑張って下さい!
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