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 ぽつん。と、気がついたらそこに立っていた。


「どこだここ……?」


 ふうむ。まずは状況整理をしよう。


「さっきは確かあれだよな?大統領の愛人のパソコンからハッキングしてそんで大統領の予定情報をコピーして……あれれ?」


 おかしいなぁ。もうちょいで大統領権限Getして世界に革命を起こそうと思ったのに……。


「んー、まあいっか」


 そしてペテン師は歩き出した。




 ☆




「ふぅむ……困ったな」


 こりゃあ参った。


「どうしたの父ちゃん?」

「いやぁ、馬車の車輪がどうやらぶっ壊れちまったみたいでな?うまく動かんのよ」


 この荷物を午後までに次の町ヴェステリアに届けなきゃなのに困ったものだ。どうにかして動かせるようにしないと……。


「うおー!でっかい馬!」

「おいあんちゃん、そんなに馬に近付くと危ないぞ」


 頭を悩ませているとあまり見かけない珍しい服を来た男が馬に近付いてきた。今は馬を撫でようとして「ブヒヒン!」と威嚇されている。


「お兄さん、どうしてこんなとこ歩いてるの?」


 ここはヴェステリアとリーダングとの間にある何もない道で、こんなとこを通るのは行商の馬車か狩りをしてる冒険者くらいだ。


「いやぁ、どうしてだろうね?俺も教えて欲しいもんだよ」

「あんちゃん、冒険者ってナリでもなさそうだな、何してんだ?」

「あらら、車輪が止まっちゃってるねぇ」


 するとこのあんちゃんは俺の質問に答えず車輪を覗いてきた。なんてマイペースなやつだ。


「ふむふむ、ほらここ見て。車輪が壊れたというよりは可動域の部品と本体を繋いでる部品の間に石が挟まっちゃってるね。おじさんペンチかなにか持ってる?細長い棒かなにかでもいい」


 急にあんちゃんがペラペラと原因を突き止めたんだ。それで俺はペンチは持ってなかったが腰に刺してた剣を渡したよ。


「ほいっと」

「わー、お兄さんすごーい!」

「あんちゃんやるじゃねえか、ありがとよ!」


 へらへらと笑ってたが小石も取ってくれたしいいやつだなって思った。


「いえいえなんのこれしき。代わりにと言っちゃなんだけどおじさんたちが向かってる町まで俺も連れていってくれないかな?」

「いいよお兄さん!ね、お父ちゃんもいいでしょ?」


 一瞬迷ったが可愛い息子の頼みもあって引き受けたんだよ。


「ふーむ。まあ馬車も直してくれたしいいか!乗ってけあんちゃん、次の町、ヴェステリアまでサービスだ!」

「わーい、ありがとおじさん☆」

「いいってことよ!」

「そうそう、そのヴェステリアの町で物をいい値で買い取ってくれるとこってある?」

「ん?金に困ってるのか?それなら───」



 ─────────────────────



「……で、いつの間にかその途中で乗ってきた男に馬車に積んでた金目の物全部取られてついでに腰に刺してた剣も取られた、と」

「そうなんだよ!何とかしてくれよ騎士さん!」

「いやなんとかって言われましても……その男の特徴って珍しい服を着た背の高い男でしょ?異国から来てる人も多いからそれだけじゃなかなか見つからないですよ」

「じゃ、じゃあ俺の剣を持ってるはずだ!アーノルド産の異国の剣!色が赤いし珍しいはずだ!」

「えー、アーノルド産の剣を持っている、と。これだけで見つかるかは分かりませんが、一応いたら捕まえときますよ」

「い、いやまだだ!あいつは───」

「ねー、もう帰ろうよ父ちゃん、取られた僕らの方が悪いよ」




 ☆




「さーて、当面の軍資金Getと。あとはこの荷物をどこで売るかだな~」


 大量の荷物を風呂敷に入れてきた。取り合えずこれ売り捌いて金にするわけだけど、さっきおじさんに教えてもらったオススメの買取り屋『()()』から探さなきゃね。


「あとは服装かぁ……」


 自分の服を見てみると、よれよれになった少し大きめのパーカーにジーパンだ。この世界の服じゃないし余計目立つかな。





 ☆




 チリンチリン


「いらっしゃいませー」


 お、イケメンだ。ラッキー♪


「服が欲しいんですけど」


 しかも声も結構カッコいいじゃん。


「分かりました、どのような服をお探しで?」

「シンプルで落ち着いたもので」

「ご試着できますがどうされますか?」

「じゃあお願いします」

「分かりました♪」


 せっかくのイケメンだし、カッコよくなってもらって褒めちぎろっと♪ひょっとしたらお友だちになれちゃったりして?


「こちらなどどうでしょうか?」

「わあ、いいですね。ちょっと着てみますね」


 でも元々の服はどこのものなんだろう?珍しいファッションだな。異国の服かな?とと、彼が着替え終わったみたいだ。


「どうかな?」

「とってもお似合いですよお客様……!」


 とってもお似合いって言葉はたいてい服を買ってもらうために誰にでも言うけどこの人に関しては本当に似合ってる。やっぱりイケメンサイコー!


「やはり背の高い人はなんでも似合ってカッコいいですね♪」

「ありがとう、でもお姉さんも綺麗で素敵ですよ」

「えっ」


 ま、まさかの脈あり!?狙っちゃうよ!?お姉さん君のこと狙っちゃうよ!?


「あ、あの、よかったらお名前を───」

「あ、この服もいいな。でも俺には小さいかな。ねえ、綺麗なお姉さん。もう少し大きいサイズありますか?」

「は、はい!少々お待ちを!」


 『綺麗な』お姉さんだって!これ間違いないよ!脈ありだよ!

 そしてお目当ての服を持って彼のもとへ戻った。けど──。


「あ、あれ?お客様?」


 店内どこを見ても彼はいない。


「………」


 三秒考える。


「ド、ドロボー!」


 チクショウッ!試着したまま出ていかれたっ!



 ☆


「ふふ、あはは、くはははははは!」


 町のど真ん中で大笑い。人に見られたって関係無いね。いつだって人を騙すのは楽しいものさ。


「ヒーッ、ヒーッ、はあ、はあ、」


 なんて簡単なんだろう!前の世界でもこの世界でも、人はすぐに人を信用する!車輪を直しても、容姿を褒めても、大統領の愛人に金を渡しただけでも。


 理由は簡単、自分に利益があるから。


「いつだってどこだってそうなんだろうね、なんて馬鹿でなんて醜いんだ、あはははははははは!」


「あはは、あは、はあ……」


「………」


「…」


「馬鹿みたいだ、つまらない」


「そうだ!この世界も、俺が革命を起こしてやろっと♪きっと楽しい世の中になるぞ~!」


 さて、まずは使える()()を探さなきゃな!

よければブックマーク、好評価、ここをこうした方がいいよといったような感想を頂けると幸いです。

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