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幻覚に似たもの

短い詩だと食べたりない方にはちょっとだけ朗報です。長いです。でも、内容は・・・わかりません。

  「針の山の喧騒」


地獄にある

針の山の頂上に

丸太が一本渡してある

両端から一人ずつ渡り

まんなかで鉢合わせになると

羽根枕で闘争が始まる


挿絵(By みてみん)


向こうの端に渡れば天国に行けると聞く

それでお互いたたき合う

風に乗って冷たい水の匂いが流れてくるので

見も知らない人なのに叩きあう

後ろに戻れば血の池だ

前に出るしか法はない

渡る前の噂では

あちら側の人たちは

炎に焼かれた人という


挿絵(By みてみん)


叩き合う

枕が破れ、羽根が飛び

薄闇の中で花が咲く

叩き合う

眼も開けていられない

ただ、わかるのは羽根の跳ぶ幽かな音と

体に当たる枕の悲鳴

わずかに漏れる苦悶の吐息と

血の渇き

泣きながら

枕を振り回しながら

過去の一時の夢を見る

目くるめく太陽と、狂気を帯びた月光を

捜し、彷徨う夢を見る


彼は知らない、静かなことを

不気味なほどの静寂を

丸太の上は一人のことを・・・




  「それぞれの歩み」


静かな心の中に

声が聞こえる

やわらかく、透き通り

流れ込む・・・


沈黙の淵に佇み眺めまわすと

誰かが見える

ずっと遠くなのか、近くなのか

動いているのか、いないのか

恋をしてしまった、その誰かに

静寂の中にある淋しさがそうさせたのか

恋をしてしまった、その誰かに

静かな炎を宿してなにか求めようか


挿絵(By みてみん)


きっと振り向いてくれる

そう願って歩く

まだ見ぬ面影を抱きながら

けど、心配なことがある

何を話そうか

何をしようか


近づいていこう

恋をした誰かに

逃げないで待っていて

幻影だなんて言わないで

自分の後ろ姿だなんて言わないで

誰かさん!


挿絵(By みてみん)


声が聞こえる

やわらかく、透き通り

流れ込む

・・・また歩き出す・・・




  「静かな日の午後」


静かな日、あなたの横に

もう一人ギターを弾く人がいる


うっとりした眼差しに、ほほを赤らめるあなた

時折、さわやかなざわめきの中

満足気に微笑んでいる


木立の間にいるあなたには

木の葉の横を通り抜け

ほほをやさしく過ぎていく

風が静かに訪れる

枯葉のさやかなさざめきが

心の隅に染みてくる


挿絵(By みてみん)


柔らかな日の光に包まれて

コートの襟を立てて寒そうに

ポケットに希望を詰め込んで

両手でおさえて静かに歩く

男が一人

髪は風に流れて気持ちよさそうだ


街には買い物の人々が群れている


子供が駆ける・・・




  「ソフトボールに寄せて」


心地よい音とともに

心が太陽へと旅立つ

青い空には防ぐものはなく

真っすぐ突き進む

途中行き先を金星に変え、そして

月に変え、地球に変える

日本に、それもこの街の

このグランドに


挿絵(By みてみん)


旅立った心を迎えるべく

待ち受ける顔、顔、顔

心は太陽を従え

メラメラ燃え上がり、白く輝きながら近づき

パチッと音高く、素手に受け取られ

嬉しいヤジと歓声が上がる


ほほを赤らめつつ走れ、走れ

さあ、バッターの交代だ


青い空への旅立ちが始まる

次はまた短い詩の回になります。気を抜いていても、たぶん、さらさら読めます。・・・と、思います。

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