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第二話 「センメツカイシ」
2030年1月24日。
「ママ、あれ何?」
場所はヨーロッパ北部、フィンランド。
幼い5歳くらいの女の子が指さす先には、人間の形をしたロボが一体、ガン、ガンとゆっくり、だが、大きな一歩で歩いている。
「………は!ネル!」
母であろう女性が、驚愕の目を浮かべ、ネルと呼ばれた少女を守るように身体でよその幼体を包む。
が、そんなのは意味を成すことは無く___
ピュー。ドォォォォン!!
指先から放たれた閃光によって、二人がいた場所には大きな窪み出来て、骨諸々跡形もなく消えていた。
右目が赤く揺らめいているそのロボは、言うまでもなく、殲滅型AI。
既に、ノルウェー、スウェーデンとヨーロッパの北部から順々に殲滅を続けている。
この殲滅型AIを開発した何者かによって、全ての国のネットワークを遮断しているため、テレビは愚か、ラジオや、スマホからの情報の入手は不可能。
そのため、他の国の人々はまさか二カ国がAIによって殲滅されてるなんて夢にも思わないだろう。
もはや誰にも止められない。
刻一刻と、AIによる人類の殲滅が進んでいく……。