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黄泉路電話

作者: toy_box

「ねえねぇ美希みき、知ってる?」

「なにが?」

「黄泉路電話っていう話」黄泉路電話−−−

それは、幽霊と繋がる電話のことらしい。

詳しい事情は一切分からないけれど幽霊と会話ができるということだった。

「最近そういう類の話多いよね。」

私は半分呆れながら燐子りんこを見る。

「うん!そうだよね! 面白いよね」

「そうかな?そんなに面白い?」

「えー、メチャクチャ楽しくない?そういう話って?

まったくこの子は・・・。そういう性格なのは知ってるけれどここまで楽しそうなのはなぜなのか・・・

「なんでそんなにテンション上げてるの?」

「あはは〜、だって電話がかかって来たら楽しそうじゃない?幽霊と話せるんだよ?」

あ、またテンション上げちゃった。

「幽霊となに話すの?」

「ん〜〜、どうしよ、何話そうかなぁ・・・ん〜」

腕を組みながら真剣に悩んでる・・・

そもそも黄泉路電話って嘘っぽいし、何?詳しい事情は分からないって・・・

私はそんなの興味無いし。つい最近も優しい幽霊に会ったとか言うバカがいたみたいだし・・・

「なにが楽しいんだか・・・」

教室の隅の席で窓のほうを眺める。

グラウンドで走る男子、少し離れた公園でブランコを漕ぐ幼稚園児、古く寂れた屋敷、黒く焼け焦げた工場。

こんな、ありふれた日常に何を期待するのか・・・

抜け出したいが抜け出せない日常をなんとなく繰り返す。そんな、つまらないことを考えていると、ブゥゥ−−ゥとケイタイが振動する。



From つよし

今日って誕生日だったよね。プレゼントしたいものがあるから会って渡したいんだ。暇なときに電話してくれない?



毅からのメール・・・

確かに今日、5月20日は誕生日だけど、プレゼントかぁ。

「ん〜、彼氏からのメールかぁ。顔がにやけてるぞ!」

隣にいた燐子が覗き込んできた。

「ち、違うって!にやけてなんかいないって!」

急に気になって頬を触ってみると明らかににやけている。

「自覚がないみたいねぇ。本当にわかりやすいんだから」

燐子が言うのも仕方がないかな。自分のことなんて興味ないし・・・

毅は優しくしてくれるし、私のことを優先して考えてくれる。

だから、私は毅のことが好きなのだけれど、毅もこの気持ちは知ってるはずだ。毅は私だけを見ると言ってくれた。(後から電話しなくちゃ)ちょうど帰りのHRを告げるチャイムが鳴った。

「ん、それじゃまたあとでね、美希」

「うん。またあとでね」



幸いすぐにHRが終わって放課後になった。

私は燐子のところに行って先に帰ってくれていいからと伝えると、屋上に向かった。

「ふぅ、緊張するなぁ」

毅の電話番号を見付けてあとはボタンを押すだけ。

「うん。行こう」

決意してボタンを押す。

数秒たってからコール音がなる。

ドキドキしながら待ちわびる。

心臓が異常なほど音をあげている。

カチャ、っと繋がるのがわかった。

「あっ、毅?私、美希だけど・・・」

「何?あなた。何で私の所にかけてくるの?」



え・・・



心臓が止まった気がした。なぜ毅のケイタイから女の声がするのか。

「ねぇ、聞いてるの?なんなのよ!なんで勝手に電話してきてるのよ」

「私は・・・」

「勝手に電話してこないで!もう絶対に電話しないで!したら・・」

電話の相手の声も霞んでよく聞き取れない。

毅の彼女なのに・・・

私達は両思いなんだよね?

いや、その気持ちすら毅に遊ばれていただけだったのだろうか。

電話を切って家に向かう。

何も考えられない。

ココロガシンダ。

また、携帯が鳴った。毅からの電話だった。

今から来るようなことを言っていた。

問い詰めよう。



−−足が台所に向かう



何で女の声がしたのか。



−−目が足元の棚の包丁を見つける



脅してでも聞き出さないと。



−−手が包丁に向かう



私は知りたい。


私は遊ばれただけなのか、

なぜ私ではいけないのか。


−−家の呼び鈴が鳴る。彼が キタ。



包丁を隠して笑顔の仮面を掛ける。



−−トリアエズ部屋マデ・・・



毅を部屋に招き入れる。



−−モウダイジョウブダ



扉の鍵を締める



「ネェ、ワタシ以外ニ仲ノイイ女子ッテイル?」

「ん?いるわけないじゃん」


ウソダ!


「ウソ、ツイテルヨネ?」


私を背に向けている彼に飛び掛かる。毅を押し倒し、仰向けにして喉元に包丁を突き付ける。

「ナゼワタシジャダメダッタノ。ワタシハタダアソバレテイタダケダッタノ?」

「はぁ?ちょっ、そんなことあるわけないだろ、何を言っているんだ!」

ワカラナイ

「ジャア、アノコエハナンダッタノ!ワタシハアソバレテイタダケダッタンジャナイ!」

包丁を持つ手に力が一層入る。

「あの声?おい、ちょっと待てって、何を言っているんだ?」

マツワケガナイ

「知ラナイフリヲシテモワタシハ聞イタンダカラ!モウツヨシノコトナンテ信ジナイ!ワタシハアナタヲ許サナイ!!」

私は包丁を振り上げた―――。







『・・・続いて次のニュースです。先日起こった、同級生刺殺事件についてお伝えします。殺害されたのは市内のS高校に通う毅さん18歳です。尚、犯人は殺害された毅さんと仲の良かったとされる同じ学校に通う美希さん18歳です。殺害時刻の直前に美紀さんは携帯に電話をしたと供述。『他の女の声がしたからついカッとなってしまった』、などと供述していますが、毅さんの着信履歴には美紀さんの電話番号は載っておらず、今後も取調べを続けていく方針です。さて、一風変わって次のニュースです・・」




その後、彼らの友人はいろいろと噂を持ち上げるが、確証の取れるものはなかった。


その真実を知っているのは『あの』電話にでた女の声だけ。




下手な文ですが、ここまで読んでいただいたあなたに最大級の感謝を――、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは。 読ませて頂きました。 どこかウソっぽい、都市伝説のような噂を聞いた後で、知らず知らずのうちにそのような体験をしてしまうのは、ちょっと怖いですよネ。 しかも、この作品のように、取…
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