プロローグ
「……ですので、創造神である三柱を祭る『三神教』が、信仰者が最も多い宗教と言えます。もしも将来回復魔法を覚えたい際には、これらの教会で習得を目指すのも一つですね。では逆に、気を付けなければならない宗派について」
何でも屋の応客室を使って作った即席の教室。
その教壇に立つメルティナが、伊達メガネをくいっと上げながら説明し、俺の周りに座っていた子供達はその内容をノートに書き綴っている。
……なんで俺、子供に混じってメルティナの授業受けてんだろ?
「リューンさん? ちゃんと授業聞いてましたか?」
「聞いてる聞いてる。聞いてるけど、ちょっと俺はトイレに……」
そう言って俺が適当な理由をつけてその場から離れようとすると、
「メルティナせんせー! なんでこのお兄さんは、大人なのに僕たちと一緒に授業を受けてるんですかー?」
他の子供達も同様の疑問を思っていたのか、全員がその子の言葉に頷く。
質問を受けたメルティナは、軽く考えるような素振りを見せたかと思うと。
「この人は確かにいい歳した大人ですけれど、常識的な事をほとんど知らない可哀想な大人だからです。皆さんもしっかり勉強しておかないと、将来こんな大人になっちゃうかもしれませんよ? 分かりましたか?」
「「「はーい、メルティナせんせー!」」」
メルティナの言葉に子供達は納得したのか、そう言って笑顔で元気よく返事する。
あんのクソゴリラ邪聖女!
メルティナに視線を向けると、子供達からは見えない角度で、
『だってホントの事でしょ?』
とでも言うように、あっかんべーしながら俺に笑顔を向ける。
席を立とうとしていた俺は何も言い返せずに、再び席へと腰を下ろすのであった。




