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スキルま!?〜最弱不死とドラゴンのパンツ〜  作者: ほろよいドラゴン
第二章〜乙女の涙と女神の涙〜
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プロローグ

 

 春と呼ぶには少しばかり暑さが増し始めた、そんなある日。


 俺は自室の屋根裏部屋に置かれた椅子に座り、腕組みをしながら首を(ひね)っていた。

 目の前にはボロボロのテーブルに置かれたティーカップが二つ。

 片方はこの世界の露店(ろてん)で格安で売っていた安物のティーカップ。

 そしてもう片方は、かつて世界に魔物や魔族を放ち混乱に(おとしい)れた破壊の魔神であり、現在は俺の女神の祝福(ギフトスキル)である、ヴェルヴィアの神器(じんぎ)を変化させたティーカップだ。

 この神器。俺がイメージした物に変化させる事が可能らしく、その再現度は(はた)から見ただけではどちらが本物のティーカップなのか見分けがつかなくなる程である。

 材質も変化するのかと思って両方のティーカップを爪弾(つまび)いてみると、どちらからもキンッという陶器(とうき)の音が鳴り響いた。

 となると、本来の布としての性質は失われているという事だろうか?

 そう思って試しにティーカップに注ぐ為に沸かしていた紅茶を準備していると、


「あ~る~じ~。暇なんじゃけど~? あと、そっちが本物でもう片方がわっちのパンツじゃ」


 俺のベッドの上でゴロゴロしていたヴェルヴィアが、そんな事を言い出した。

 ……ん? あれ? そうだっけ?

 ヴェルヴィアに指摘(してき)されるがままにもう片方のパンツティーカップに紅茶を注ぐ。

 それからしばらく観察(かんさつ)してみたが、紅茶がティーカップを浸食(しんしょく)した様子は見られなかった。

 と言う事は、変化させるとパンツとしての性質は失われる、のか……?

 と、俺が休憩がてら本物のティーカップに入った紅茶に口を付けたその時。


「クックックック……。引っ掛かったな主! そっちはわっちのパンツで作られたティーカップじゃああああああちゃあああああああああああ!?」


 ゲラゲラと指さしながら笑っていたヴェルヴィアの顔に、俺の口から噴出された熱々の紅茶が噴水(ふんすい)(ごと)くぶちまけられた。


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