第13話「最弱不死と特務クエスト(1)」
スライム。
それは多くのファンタジーゲームや漫画において必ずと言っていい頻度で出現する、雑魚モンスターの定番である。
60センチ程の水の塊のような体を持つそれは、まだ色々と不慣れな主人公達に、僅かばかりのお金と経験値を与えてくれる癒しのモンスターとして有名だろう。
そう。あらゆるファンタジー世界において、スライムとは最弱の存在……なんて思っていたのが間違いだった。
『ピッギュイー!』
「うげぼふぁ⁉」
スライムの体当たりを受けた俺の体が、某スーパー頑張るゴールキーパーの如く天高く宙を舞い、やがてぐしゃりという音と共に地面に落下した。
どうやら、最弱なのは俺の方だったらしい……。
――アガレリアから数十キロ離れた場所にある薄暗い森林地帯。
特異スライムの目撃情報があったこの森を探索していた俺達は、野生のスライムの群れに襲われていた。
「……いや強すぎだろ! あれホントにスライムか⁉ 全然手も足も出ないんだけど⁉」
「ふむ。さすがわっちの作り出した種族じゃな。スライム族はわっちが寝ぼけながら創った失敗作なんじゃが、存外強い種族じゃったみたいじゃな!」
スライムの体当たりで死んでいた俺に、その様子を見ていたヴェルヴィアがどこか誇らしげに答える。
寝ぼけながらなんてモノを創ってんだ、このアホ魔神は。
しかし、まさか本物のスライムがここまで強いのは予想外だった。
ショートソードで斬りつけても、弾かれるだけで全く効果無し。
普通の体当たりでさえ、俺の体をふっ飛ばす程の威力。
本当に駆け出しの冒険者達が好んで狩るのかと疑いたくなるような強さだ。
あの攻撃を1とか3程度のダメージで済ませてしまうゲームの主人公達は、きっと始まりの村で生活していた時点で筋肉モリモリマッチョマンだったに違いない。
せめて何か有効な攻撃手段でもあればいいんだが……。
「パイセーン! まだ苦戦しちゃってるんっすか?」
そんな事を考えていると、少し離れた場所で他のスライムと戦っていたフレステが駆け寄ってきた。
一匹でも苦戦している俺とは違い、数匹のスライムを一人で相手していたはずのフレステは息切れすらしていない。
体力に自信があると言う彼女の言葉は、どうやら本物のようだ。
そんな彼女の服装は、武具ショップで見た町娘らしいものから一転して、動きやすそうな軽鎧を身に纏っている。
大きなタワーシールドを装備したその姿は、パーティーの盾役として頼もしい限りだ。
余談だが。俺の装備はいつもと同じ駆け出し冒険者服にショートソードである。
一応前衛なのだから、フレステのような鎧を買おうかとも思ったのだが……。
『『どうせすぐ死ぬんだから、高い鎧を買っても意味が無いでしょ(じゃろ)』』
と、ヴェルヴィアとメルティナに却下された結果である。
もうちょっと俺の命を大事にして欲しい。
「苦戦どころか一回殺されたよ。っていうか、どうやって倒したんだ? あいつら、ショートソードで斬っても効かないっぽいけど」
「いや、殺されたって、パイセン生きてるっしょ。……パイセン、もしかして魔力付与を知らないんっすか?」
「エンチャント?」
「ですです。スライムって、普通の物理攻撃は全然効かないんですけど、魔力を付与した武器で叩けば簡単に倒せるんっすよ。こんなふうに……」
そう言ってフレステが目を閉じてからしばらくすると、彼女の持つ大盾が次第に淡い光を発し始める。
そのままフレステが装備の重さを感じさせないほどの軽やかさでスライムに急接近すると、
「ほいっと!」
『ピギュギュイ⁉』
フレステのシールドを叩きつけられたスライムが断末魔をあげ、俺が苦戦したのが嘘のようにあっさりと倒された。
俺の世界でいう、シールドバッシュと呼ばれる戦法に似てるな。
「ね? 簡単っしょ?」
スライムを倒し終え、満面の笑みを俺に向けてくるフレステ。
お前はどこの絵画教室のボブだ。
「にしてもフレステ。お前、冒険者じゃなかったってのに、随分と戦い慣れてるんだな」
「え? あー……。ホラ。あーしって、色々とバイトしてるんで、その中に冒険者っぽいバイトとかもあるんっすよ。だから基本的な戦い方なら分かるっているって感じっすかね?」
俺の疑問に、何故かしどろもどろになりながらフレステが説明する。
冒険者っぽいバイトってのが何なのか気になるが、魔物との戦闘経験があるのならこれほど頼もしいことは無い。
なにしろ俺達は、戦闘に関しては素人だからな。
とはいえ、戦い方さえ分かればこっちのものだ。
「ヴェルヴィア。俺の武器にエンチャントできるか? 俺は魔力が無いから出来ないだろうけど、お前なら……」
「ふむ、デカ乳を見て方法はなんとなく分かったが……。やらん方がいいじゃろな」
「やらない方が良い?」
「わっちが女神であった時代、破壊を司っておったのは話したじゃろ? わっちの魔力には破壊属性。言うてみれば、あらゆるモノの崩壊を加速させる特性があってのう。主の武器にわっちの魔力を付与させたところで、即座に武器が崩壊するだけじゃろうな」
マジか……。
ようやくヴェルヴィアに固定ネジの外れた固定砲台以外の役割が出来たかと思ったら、そんな厄介な特性を持っていたのか、こいつ。
となると、もしも特異スライムと戦う状況になった時、フレステかメルティナにエンチャントを頼まなければならないってことに……。
「ん? そう言えばメルティナは?」
「ああ、メルティーなら……。あそこっすね」
フレステが指さす方を向くと、そこには十数匹のスライムに囲まれ、まるで抵抗することを諦めたかのように跪き、瞳を閉じて祈りを捧げているメルティナの姿。
「ちょっ! 滅茶苦茶大ピンチじゃねーか! 待ってろよ、今助けに……」
「メルティーならの程度余裕っすよ。あっ、もしかしてメルティーのレアギフトスキルを知らないんっすか?」
助けに駆け付けようとする俺に、フレステが全く心配していないかのように笑う。
そう言えば、昨日の夜メルティナが自分にはレアギフトスキルがあるから大丈夫とか言ってたような……。
「あー……。その反応は知らない感じっすね。あーしは耐性あるんで大丈夫っすけど、初めてなら目と耳を塞いでおくことをお勧めしときます」
目と耳を塞ぐ……?
一体何を言っているんだろうかと思っていると、祈るように跪いていたメルティナに変化が訪れた。
「……《我らが豊穣の女神よ。異端なるその恵みを、どうかこの身に宿し給え》!」
それまで無言だったメルティナがそう叫ぶと同時に、燦々(さんさん)と辺りを照らしていたはずの太陽の光が暗雲に陰り、純白だったメルティナの礼装が、徐々に禍々しいオーラを放ちなが黒く変色し始める。
やがて、完全に黒い礼装となったメルティナと俺の視線が一瞬だけ合った瞬間。
俺の意識はブツリと途切れた。
…………。
「主よ! お腹空いたんかや? ほれ、じゃったらこれを分けてやるから、そんな草を食うのはやめるんじゃ! お腹壊すぞや⁉」
「っ‼」
珍しく若干焦っているようなヴェルヴィアの声に、俺の意識は覚醒した。
なんだ? 何故か口の中がものすごく野草的な意味でベジタブル。
というか……。
「ぶふぇ⁉ しょっぱ! 高血圧で血管爆発しそうなくらいしょっぱ‼ ヴェルヴィア! お前俺に一体なにを食わせ……」
「戻った! 主が元に戻ったぞ! 感謝するぞデカ乳!」
「いやー、マジで焦ったっすね……」
怒り狂う俺を見て、何故かほっと胸を撫で下ろしているフレステとヴェルヴィア。
え? なにこの状況……?
「パイセン。覚えてないみたいだから教えますけど、メルティー見て発狂しちゃってたんっすよ。いや超ビビりましたよ。いきなり手あたり次第の雑草食べ始めるんっすから」
「…………は?」
「うむ。普段から食べられそうな野草は食う奴ではあったが、明らかに食べてはならんようなものまで食べておったからな。……はっきり言って、見ておれんかった」
あのヴェルヴィアがドン引きしてる辺り、相当ヤバい状態だったらしい。
っていうか、メルティナを見て発狂したって、なに?
俺が意味も分からずに困惑しながらそのメルティナに目を向けると、
「アハハハハハ! 雑魚どもがぁ! 〇ねぇ‼」
そこには禍々(まがまが)しいオーラを纏い、頭のネジをダース単位で紛失したのかと思うような狂気的な笑みを浮かべながらスライム達を蹂躙する、桃色の髪をした美少女の姿があった。
…………。
「えっと、誰? あの狂戦士。なんか見た目は俺のパーティーにいる聖職者と凄く似てるんだけど……」
「その聖職者で間違いないっすよ」
「女神の力の一つ、【信仰の加護】の力じゃな。たしか、信仰する神の力で一時的にステータスをブーストさせる能力じゃったのう」
名前だけ聞けば聖職者が持ってそうなギフトスキルではある。
使用している本人が悪堕ちみたいな状態になっていなければだが。
「というか、なんであいつは素手で戦ってんの? 聖職者の武器で定番の杖とか持ってないのか?」
「宗教的に武器を持つのが禁止されてるらしいっす。だから、シュフニグラス? みたいな感じの神様の力を借りてるらしいっすよ。なんでも、メルティーのご先祖様が手にした変な経典に書かれてた神様らしいっす。名前的に主婦の神様なんすかね?」
「それシュブニグラス! おもっくそヤバい神様じゃねーか⁉」
って事はあれか?
俺のパーティーの聖職者は、まさかの絶対に関わっちゃいけない系の邪神の教徒で、その力を借りた瞬間を見ちゃった俺は、SAN値チェック失敗して発狂しちゃったと。
……前世でどんな悪行をしたらこんな最悪の人運に恵まれるんだ。
「ふむ。偶像の神を信仰しておるせいで、若干ブースト効果が変質しておるみたいじゃな。ともあれ、前衛としては申し分なし。戦力が増えてよかったではないか、主よ」
「っすね。ちょっと本人が乱暴な感じになったり、耐性が無い人がメルティー見たら発狂したりしちゃいますけど、パイセンならノリでなんとか慣れるっすよ!」
なに一つ良くないし、慣れたら間違いなくヤバいタイプだろアレは。
とりあえず、メルティナが教会を建て直す資金を集め終えたら、即刻おさらばしよう。
「……そういえば。俺が発狂してた時、何を食べさせたんだ? 未だに口の中がしょっぱいんだけど」
俺は目の前の狂戦士から目を背けつつ、話題を変える事にした。
「ポティティじゃ」
「ポティティ? なんだそれ」
「昔流行った冒険者の携帯食料っす。薄く切って油で揚げた芋に、これでもかってくらい大量の塩をまぶした一品っすね。手軽に美味しく塩分補給ができるって人気だったんすけど、冒険者が早死になのは、魔物とコレが原因じゃね? って話題になってから、売れ行きがさっぱりで。在庫処分に困ってたんっすよ」
「それをわっちが買い占めたのじゃ。美味いし、塩分とかわっちには関係ないしのう。主にも気付けになるやもと思って食わせたのじゃ」
なるほど。使われている塩の量が殺人的なレベルという違いはあるが、要は俺の世界にあったお菓子と似たような物か。
と、俺達がそんな会話をしていると。
「……ッチ。獲得金たったの5ミュール……。ゴミね。ホントに特異スライムなんているのかしら? 今のところ全部普通のスライムだったけど」
スライムを蹴散らし終え、邪神モードを解除したメルティナがそんなことを言いながら俺達の元に戻って来た。
とうとう地球に襲来してきた宇宙人のお兄ちゃんみたいなこと言い始めたよ、この邪教聖女。
だがメルティナの言う通り、この森を探索してからもう結構な時間になるが、普通のスライムばかりで特異スライムらしき姿は見当たらない。
このまま闇雲に時間を浪費すれば、フレステがバイトで抜けて俺達の戦力が大幅にダウンしてしまう……。
「ヴェルヴィア。お前、特異スライムが居そうな場所に心当たりはないのか?」
「そうさのう……。強いて言えば、池とか沼地なんかの近くにおるかもしれんな。スライムの好物は綺麗な水じゃからな」
「綺麗な水っすか……。あっ! そう言えば、この辺を巡回してる守護騎士から聞いたんっすけど、少し進んだ所に水質が変な池があるらしいっすよ。気味悪がってそのまま放置したみたいなんすけど、もしかしたら特異スライムと関係あるかもっすよ!」
ヴェルヴィアの言葉に、フレステが思い出したとばかりにポンッと手を打つ。
たしかにそれが本当なら、何か関係があるかもしれない。
「それにしても、なんでそんな事をフレステが知ってるんだ? 守護騎士団って、そんなフレンドリーな奴らだっけ?」
「守護騎士達が街で話してるのを聞いたんじゃない? フレステって、色々な所でバイトしてるから、ちょっとした情報通だし」
「ちょっ、メルティー。これからあーしがドヤろうとしてたのに、ネタバレしないで下さいよー」
なるほど、そういう事か。
なんて会話をしながら、俺達はフレステの案内のされ、水質のおかしくなった池とやらへと向かった。
「……当たりじゃな。アレだけ他のスライムと明らかに魔力の流れが違う。恐らくは特異スライムというやつじゃろう」
件の池から少し離れた茂みの中。
池のほとりにいるスライムの群れを観察していた俺達に、ヴェルヴィアが告げてきた。
どうやらあそこにいるスライムの内のどれかが特異スライムらしいのだが、俺にはどれこもこれも普通のスライムにしか見えない。
それは他の二人も同じようで、
「う~ん。あーしにはぱっと見どれも普通のスライムにしか見えないっす……」
「ヴェルちゃんにはどれが特異スライムか分かるの?」
「当然じゃ。なんせわっちが創ったからなっ!」
「……創った?」
なに爆弾発言かましてんの、この魔神っ娘⁉
「あー、えっと……。ヴェルヴィアはこう見えて魔法を創るのが得意でな。その創った魔法の中に、モンスターを普通かそうじゃないか見分ける魔法があるんだよ!」
咄嗟に適当な事を言ってみたが、苦しいか……?
「そう言えば、ヴェルちゃんが使ってるあの高威力の魔法も、今まで一度も見た事ないわね。……もしかして、あれも?」
「なぁんだそういう意味っすか。てっきりヴェルっちが魔物を創ったのかと思っちゃいましたよ。にしても、そんな魔法をその歳で創っちゃうとか、マジヤバっすね!」
よし。どうやら二人は信用してくれたみたいだ。
ここでコイツが魔神ですだなんてバレたら話がややこしくなりそうだし、隠しておくに越したことはない。
なんで俺がこんな気苦労をせにゃならんのだか……。
「んで? どれが特異スライムなんだ?」
「アレじゃ。あの濃い緑色のスライムじゃ」
そう言ってヴェルヴィアが群れの中にいる一匹のスライムを指差す。
見ると、たしかに他のスライムが水色の体をしている中で、そのスライムだけが濃い緑色をしていた。
その点のみで言えば、あのスライムは特異と言えば特異と言えるが……。
「ホントにアレか? ライアーから渡されたクエスト依頼書に書かれてる特異スライムの特徴とかなり違うぞ? ホラ」
そう言って、俺はアイテムポーチからライアーから渡された特異スライムについて綴られた羊皮紙を取り出した。
このアイテムポーチは、一見すると普通の革製ポーチにしか見えないが、フレステ達が言うには空間拡張魔法がかけられているらしく、冒険者が獲得したアイテムや装備を入れておくのに使うらしい。
いわゆる某四次元ポケットみたいな物である。
もっともネコ型未来ロボットが持っているような四次元ポケットと違い、ポーチ口に入らないような大きなアイテムは入らないし、ひっくり返すと中身が勝手に出てくる等の欠点があるらしいのだが、普通に使う分にはかなり便利だ。
そこから取り出したクエスト依頼書に書かれていた内容を要約すると……。
「『特異スライムは近隣の森林地帯にて発見された薄緑色の個体で、通常のスライムの数倍の大きさ。特異スライムは武装解除能力を有している可能性が高いので注意が必要。ただし、対象モンスターの一部を証拠としてギルドマスターに提出しなければ、報酬が与えられない』だってさ」
ヴェルヴィアが見つけたスライムは深緑色で、大きさも普通のスライムと大差はない。
つまりはハズレということだ。
魔力の流れとやらが違うというのは気になるが、精々ちょっと珍しいくらいだろう。
無駄足だったかと俺が落胆していた時だった。
「じゃあ、あのスライムを特異スライムって事にしてギルドに渡せばいいじゃない」
隣で依頼書を覗き込んでいたメルティナが、そんな意味不明な事を言い始めたのは。
「……いやいやいや。なにいきなりパンが無ければライス食べればいいじゃないみたいなこと言い出してんの? 百歩譲ってアレを討伐したとして、証拠として一部をライアーに渡さなきゃならないんだぞ? 流石に色が違い過ぎてバレるだろ⁉」
「そんなの池の水で薄めて出せばきっとバレないわよ。これだけ探し回たのに何の成果も得られませんでしたになるよりは、あの珍しい色のスライムを特異種スライムだって渡して大金を手に入れる方がいいのは明らかじゃない!」
金に目が眩んだ瞳で、メルティナが顔を近づける。
この自称聖女、偽装する気満々だ。
「ああ、神よ……。こんなチャンスを恵んで下さった貴女に感謝を……。 あっ、リューンさんとヴェルちゃんはどこかで休んでていいわよ? ヴェルちゃんの魔法だとスライムが消し飛んじゃいそうだし、リューンさんは役に立たなさそうだしね。 さぁ、行くわよフレステ!」
「うえぇ⁉ あーしもっすか⁉ さすがに詐欺の片棒は担ぎたくないんっすけどー⁉」
天使のような笑顔で物騒なことを言うメルティナに引っ張られながら、フレステ達がスライムの群れに突撃して行く。
まぁ、エンチャントが使える二人なら放っておいても問題は無いだろう。
「……さて。戦力外通告された俺達はどうしたもんかな……」
「うむぉ。ふぃまふぁふぃふぁふぉいふぇふぇもふぃふぁめめみふぁふぁ?」
「なんて?」
突然意味不明な言語を喋り始めたヴェルヴィアの方を振り向くと、そこには口一杯にポティティを貯め込んでハムスターみたいになったヴェルヴィアの姿。
静かだと思ったら、ずっと食ってたのか。
「飲み込んでから喋れ。あと服で手を拭く癖をやめろ。服がポティティの油と塩でベッタベタじゃねーか」
「んぐっ……。それなら、共にあの池を調べてみんかや? わっちの勘では、あの池には何がかあると思うんじゃ!」
やけにキラキラした目でそう提案してくるヴェルヴィア。
そう言えば、この池は水質が変とかフレステが言ってたな。
「まぁ、特にすることがある訳じゃないし。行ってみるか」
「うむうむ! 主ならそう言ってくれると思っておったぞ! ほれ、早う行くぞ! お宝がわっちを呼んでおる!」
「……お宝?」