第1話 幽神
要は気が付くと「知らない天井だ」と呟いた。
白い天井、ベッドを囲うように閉ざされたカーテン。
「誰かいませんかー?」と呟くと、誰かが来た。
そこに来たのは看護婦さん。要を見るや直ぐに立ち去った。
数分後、複数の人達が来た。医者、看護婦さん、あと不良仲間の良太と友梨花
あと両親と妹の恵里。
良太曰く、ゲーム中に倒れる音がして店員に強制停止させられ運び出されたとか。
「(あれ、AI美少女と整備士の女性達はいずこへ)」
5時間ほど、意識不明だったと説明され点滴を済ませて家へ返された。
家族にはゲーム禁止と言い渡され、手持ちのゲームも没収された。
夜中にやるゲームが無く、暇を持て余していたが仕方なく寝る事にした。
何か鳴く声が聞こえる。チュンチュン。
目をあけると「青い空」近くで鳥が鳴いていた。
「は?!」
直ぐに起き上がると、見覚えのある風景が広がっていた。
例のVRゲームじゃねえかと。
「やっと起きた、どんだけ寝てんだか」
声のする方へと向くと、整備士の格好した女性が立っていた。
少し前に締め上げた本人だ。
「仕事だ」
腕を引っ張られ、連れてこられたのはロボットの前。
そしてコックピットに押し入れられ、扉が閉まる。
例の操縦席だ。オペレーターと思わしき音声が流れた。
「AI少女だ」
要の発言に怒り気味に少女は答える。
「AI少女って何ですか?私の名前はアルナです。今後ともよろしくねパイロットさん」
あーだこーだ色々説明され、納得いっていないものの戦場へと赴く要。
「これ死んだらどーするつもりだ!」
「多分大丈夫ですよ、気絶した時、カナメさんは消えちゃってましたし」
は?もしかしてと思った矢先、攻撃される。
振動と共に破損のメッセージが表示される。
やられる訳には行かないと、要は操縦して敵を倒していく。
「流石は幽神ですね」
アルナとは別の声の少女が発言した。アルナ曰く、オペレーターは4人体制でやっているとか。
ゆうしん?
「幽霊の幽に神様の神で幽神です、異世界の人々が眠りについたりした時にこちら側へアクセスして戦場へ赴く人を幽神と呼びます。幽神は、こちらで眠りについたり意識が無くなったりして元の場所へ帰るそうです」