4話 魔王の家に泊まろう
とりあえず着いたけど...
「バルフォス... これが魔王の家?」
「はい、こちらが魔王様の家に御座います」
「これが魔王の住む家ねぇ...」
俺の目の前に飛び込んで来たのは、
まぁ、ごくごく一般的な一軒家
本当にこんな所に魔王が住んでいるんだろうか?
てか、ここ異世界なんだよな
こう言う家見ると異世界感が余り感じられない...
う~ん...
騙されてる感が凄いけど...
ここまで来てしまったからな
他に行く宛も無いし入るしかあるまい
「じゃあ、インターホン押すぞ」
俺がインターホンを押した直後、家の中から若い女性の声が聴こえて来る
「は~い、今開けるから待っててちょうだい」
「バルフォス、家の中から女性の声が聴こえてきたんだけど、もしかして、魔王って女性なのか?」
「そうで御座います、言ってませんでしたっけ?」
「言ってねぇよ‼︎」
俺がバルフォスにそんな事を言っている間にドアが開き中から人が出て来る。
「三千年ぶりで御座います、魔王様」
「え?!もしかしてバルフォス?」
そう言って出て来たのは、髪の毛は腰の所まで伸ていて色は銀髪
背なんかもバルフォスと大差ない位に高い
それに透き通る様な肌をしており
胸も大きいし
目も赤い綺麗な瞳をしている。
「で、バルフォスそちらの横のお兄さんは誰なのかしら?」
「こちらは、わたくしの今の主人空様に御座います」
「へぇ~、君がバルフォスの今の主人なのね、結構可愛い顔をしているのね」
魔王はそう言いながら顔を近づけてくる。
俺は、いきなりの事に少し驚き照れる。
まさか、俺の人生において綺麗な女性に可愛い顔してるのねなんて言われるもんだから照れたりもする。
「とりあえず、色々話したい事も有るし、ここで立ち話もあれだから中に入って頂戴」
「はい、それでは失礼致します、空様も早く中に入りましょう」
「お、おう」
「すまんな、狭い家でとりあえずここに座ってくれ今、お茶出すから」
魔王は俺達を茶の間に座らせて、奥の台所の方へ行ってしまった。
しかし、落ち着かない女性の家に来たのが初めてってのも有るけどよそ様の家に来た事が無い為
妙にそわそわする。
俺の横で座っているバルフォスは、何時もの変わらず落ち着いた感じで待っているがこういった事に慣れているのだと思われる。
俺が挙動不審になっていると魔王が台所から戻ってくる。
「ごめん、待たせたね、」
「魔王様、あの勇者の一件があってから魔王軍が壊滅してその後、魔王様が大変な思いをしているのにも関わらず魔王軍の幹部であるわたくしが魔王様の前から姿を消して、今更、現れてなんだと思われていることでしょう、ですからわたくしはどんな処分も受ける覚悟でここに参りました、ですが最後にどうかわたくしのお願いを聞き入れて貰えないでしょうか...」
バルフォスは、魔王に深々と土下座をする。
魔王はそれに対して少し間を置いてから口を開く
「バルフォス、あの時の事はもう気にしなくて良いんだよだから、頭を上げてくれ」
「それで私にお願いしたい事ってのはあれだろお前達の仲間になれって事で良いんだろ」
どうやら、魔王には全てお見通しの様だ。
「良いよ別にここ数千年は、本当に暇でさ特にすることも無かったから仲間になってあげる
それにそこの君にも少し興味があるしね」
魔王は、俺の方を見ながらそう答える。
「俺!?」
「そう、君には何か特別なものを感じるんだよ」
そう言うと魔王が俺の方へ近づいて来て俺の持っているドックフードを見て少し驚きながら俺に質問をしてくる。
「まさかそれ、無限印のドックフードじゃないか?」
「無限印? ああ~確かによく見るとドックフードのパッケージに無限印って書いてある」
「それを何処で見つけたの?」
「これは、俺をここに無理やり送り込んだ神に渡されたんだけどこれが何か凄いやつとか? 」
「それは、ただのドックフードじゃないんだ
そのドックフードは魔力が込められててね、魔力を回復したり体力とかスキルなんかも少しだけど強くしてくれる物なんだよ」
まさか、このドックフードにそんな効果が有るとは......
「でも、何故ドックフードにそんな効果を?
誰がこのドックフード魔力を込めたんだ?」
「私もよくは知らないんだけど、どっかの神様が遊びで造った物らしくてね、この世界じゃあそのドックフードは売れば相当な金になる代物さ
それに千年前はそれが原因で大きな戦争があったぐらいだからね」
嘘だろ......
ドックフード一個で戦争って凄いな
よし、これは危険すぎる
バルフォスに預かってもらうお
俺が持ってたら、絶対誰かに持っていかれる
「バルフォス、このドックフード預かってくれ」
「かしこまりました」
バルフォスは、ドックフードを預かると空中に穴を開けその中にしまう。
それにしてもバルフォス、毎回物をしまう時に空中に穴を開けて閉まってるけどこれも魔法なんだろうか魔法なんだとしたら凄く便利な魔法もあるもんだな
「そう言えば、まだ自己紹介がまだだったね
私の名前はアミルタだ、これから宜しく頼む」
「俺の方も自己紹介しますね、俺の名前は草壁 空って言います」
「うむ、空これから宜しく頼む、それで今日はどうする? もう外も暗くなって来たし今日は私の家に泊まって明日から色々な事を決めないか?」
窓の外を見ると確かに外は夜になっていた。
確かに今、出歩けばかなりの高確率でモンスターに遭遇する事になるだろう。
「はい、今日は泊まって明日からにしましょう」
「全く空、お前は堅苦しい奴だな、敬語なんて要らない気軽に話してくれ、バルフォスお前もだ
私は、魔王とは言え元なんだから敬語なんて使わなくて良いんだ」
「そう、ならそうさせてもらうよ、俺的にはこっちの方が喋りやすいし」
「いや、わたくしはこちらの方が合っていますので」
「そうか... バルフォスがそう言うならそれでも良いが」
「そうだ、お前達お腹は空いていないか?」
そういえば俺、ここに来てドックフードしか食べてなかったっけ
確かに言われてみれば腹が空いていた。
「確かに結構空いてるかも」
「よし、久しぶりの客人だからな、うんとご馳走を作ってやるからな」
魔王はかなり張り切っている様で俺もどんな料理が出てくるか楽しみである。
「魔王様、ここにくる道中魔物の肉を手に入れたのですがこちらも一緒に使ってください」
「お‼︎ 流石、バルフォスいい肉を持っているじゃないか」
それから俺達は食事を済ませその後に魔王の話してもとい自慢話を寝るギリギリまで聞かされる事になる。
「いや~、こんなに楽しい夜は何年ぶりだろうか」
「そ、そうだね、俺も楽しいよ」
うぉ~まじで何時間喋り続けるつもりなんだ...
流石に眠い、しかし魔王の凄く楽しそうに話してるしここで眠いから寝させてと言うのも悪いし
どうしたら
「魔王様、そろそろ時間もあれなので寝ませんか?」
言ったー‼︎ バルフォスよく言ってくれた
お前が切り出さなかったら永遠と朝まで聞かされる所だった。
「そうか、もうそんな時間か、じゃあそろそろ寝るとするか、寝る時は押入れの中に布団が有るからそれを使ってくれ」
「ありがとう、アミルタそれじゃあ俺達は先に寝させてもらうよ」
「ああ、ゆっくり休んで明日と言うか今日だな、
それにしっかり備えてくれ」
笑いながらそう言うと魔王は自分の部屋に向かっていく
俺達も押入れのから布団を出し寝る準備をして
布団の中に入る。
本当にここ異世界なんですのね
布団って、まぁ、いいかもう眠いしとりあえず寝よ
「では、明かりを消しますね」
「ありがとバルフォス、頼むよ」
はぁ~今日は、本当に色々な事があった日だな
俺の家にはバルフォスが来るし
その後に神にも会って
異世界には無理やり連れて来られてそこで魔物と遭遇
で、まさかのドックフードが凄いお宝だったなんて正直、最初はこんな所に連れて来られてこれからどうしようと思ったけど今は、この世界も悪くないと思い始めている。
「ありがと」
「え? 空様何か言いましたか?」
「な、何でもねぇよ、ほら寝ようぜ今日も早い事だし」
俺達が寝てから3時間後の事、俺はふと目を覚ます。
俺の横には一冊の本が置いてあり
気になった俺はその本を開くすると、本の中に吸い込まれてしまった。
「いってて」
気づけばそこは本と本棚が沢山並ぶ場所に俺は居た。
周りを確認するがやはり有るのは大量の本
「何だここ、本ばっかり並んでるけど」
「誰じゃ、誰かおるのか?」
奥の方から年老いた男性の声が聞こえて来る。
「すみません、なんか本を開いたら吸い込まれて
ここに入って来てしまったみたいで」
俺は、その声のした方に大きな声で話しかける。
すると一人の老人が俺の目の前に姿を現わす。
「ほぉ~、わしの作った空間に入って来れる者が居るとはな」
「お主、名前は何と言うんじゃ?」
「え? 名前ですか? 名前は草壁 空です、それでここは一体何処なんですか?」
「ここか? ここは、わしが今まで色々な世界から集めたありとあらゆる本が保管して有る、わしお手製の図書館じゃよ」
なるほど、だからこんなに沢山の本が
前の俺ならいきなりこんな所に連れて来られたら
動揺していただろうがここに来るまでに色々な体験をして来たからな
耐性が付いたのか全然驚かない
それどころかどんな本が有るか少しも見たいくらいだ
「草壁とやらいきなりこんな所に来てしまったのに動揺1つ見せないどころか落ち着いているようじゃな」
「まぁ、ここに来るまでに色々、有りましたから...」
「ほぉ~、その話聞かせてくれぬか? 久しく人と会話なぞしておらんもんでな退屈しておったとこなんじゃよ」
「別にいいですけど、あんまり面白くないですよ?」
「よいよい、聞かせてくれ」
その後、今までに起きた出来事を老人に話し始める。
老人は、俺の話を食い入る様に聞いてくれた。
「そうか、ここまで来るのにそんな大変な思いをして来たのじゃな」
「はい、そうなんですよ、訳も分からず連れて来られて、でも今は少し楽しみでも有るんです
これからどんな事が待っているか」
「お主は、強い心の持ち主なんじゃな、
そうじゃ、そんなお主にわしから良い物をやろう、目を瞑るのじゃ」
「こうですか?」
俺は、その老人に言われた通りに目を瞑る。
「では、いくぞ」
その声の後、妙に体が暖かくなるのを感じた。
さっきまであんなに疲れていたのにその疲れも徐々に消える。
「もう、目を開けても良いぞ」
俺は、そっと目を開け老人の方を見る。
「今のは?」
「そのうち分かる事じゃ、さぁ、そろそろ戻らんとお主の仲間達も心配するじゃろうて、わしが元の場所まで送ってやろ、わしの前に立つが良い」
「あ、はい」
言われるがまま老人の前に立つ俺
すると地面が光りだす。
「では、お主の無事をここで祈っておるからの
頑張るのじゃぞ、もし又会う事が有ったのならばその時は、またお主の話を聞かせてくれ」
「はい、その時は嫌ってほど話をしてあげますよ
そうだった、おじいさん名前はなんて言うんですか?」
「わしか? わしは、全能神ゼウスじゃ」
その声を最後に気づけば俺は、布団の中に居た。
俺は、夢でも見ていたのだろうとまた布団の中に入り眠りについた。