3話 異世界到着
視界が徐々にはっきりし始める。
どうやら神様が言っていた異世界とやらに着いたみたいだ。
だが、朝から何も食べていない俺はどうにも歩く気力が湧かない
しかし手元に有るのはドックフードのみ
でも、贅沢も言っていられる状況でも無い
「他に食う物も無いしドックフード食ってみるか...」
俺は意を決して、ドックフードの封を開け中に手を突っ込み
中のドックフードを鷲掴みにして口に運ぶ
これが何と意外といけるじゃないか
味もそこまで不味くないし食感もスナックを食べている様な感じだ。
しかも、このドックフードいくら食べても減らないのだ。
ドックフードだけだがとりあえず食料は確保した。
てかかバルフォスの姿も見えないし
何処へ行ったのやら...
しかしながら流石にドックフードだけっての味気ない
これにせめて水が有れば良いのだが...
俺、なんか急激に犬化が進んでる気がする。
「空様、ドックフードがお好きだったのですか?」
その声は俺の後ろから聞こえてきた。
「え?」
後ろを振り向くとそこにはバルフォスがこちらを覗き込んでいた。
「何だよ、バルフォスお前の姿が見えないから俺を置いて居なくなったかと思っただろ」
「これは、失礼いたしました、少々周辺の探索をしていたものですから」
「そうだったのか、で、何か良いものでも見つけて来たのか?」
バルフォスの話によるとここいら一帯はしばらく森林地帯が続いているらしく
かなりの距離を歩かなければ森林地帯を抜けれないのだとか
しばらくは野宿生活が続きそうだ
「困ったなぁ」
これからどうしようか...
神には何も教えてもらえなかったし
かと言って無駄に歩き回るのも効率が悪い
それにバルフォスの話では夜になると危険なモンスターまで出てくると言う話だし
そう、ここはもう俺の知る世界とは違う
異世界なのだからいつ何が起きるか分からない
早めに今の状況を打破して安全な寝床を確保せねば
「とりあえず、ドックフード食べて腹ごしらいしてから考えるか、お腹が空いてちゃ良い考えも出ないだろうし」
「でしたら、わたくしの昔の上司である魔王様に会われるのはいかがでしょうか?」
「ん? 魔王ってあの魔王?」
「はい、魔王軍のトップにして魔の王であらせられる、あの魔王様に御座います」
どうやら、バルフォスは今は神の側で仕事をしているが三千年前まではこの世界で魔王軍の幹部をしていたらしく
その時に勇者に責められ仲間のほとんどは倒され残ったのがバルフォスと魔王だけらしい
で、その魔王が今のいる場所から20㎞程歩いた所にある家にいるのだとか
そこで、魔王に仲間になってもらうとバルフォスが提案して来た。
それにしても魔王って普通城とかに住んでるってイメージだけど家って最近の魔王も色々有るみたいだ。
しかも、バルフォスが魔王軍の幹部だったとは
やはり人間じゃなくて魔族って事なのか
「話は分かったけど、魔王がそんなに簡単に俺達の仲間になってくれるとは思えないけど」
てか、そもそも魔王を仲間にするとか有りなのか?
俺の心配をよそにバルフォスは魔王が住む方角に向かって歩き出す。
「空様、早く来なければ置いていきますよ」
「わ、分かったよ、今行くから置いて行くなよ」
俺は、他にも目標もないのでバルフォスに騙されているだろと思いつつ
渋々ついて行くことにした。
しかし、あれだな本当に森ばっかりだな
流石に同じ風景ばっかりだと飽きてくる。
「バルフォス、聞きたい事が有るんだけどいいか?」
「ええ、構いませんよ、わたかしが答えれる範囲で有ればお答え致します」
「じゃあさ、結局神が俺にして欲しかった事って何だったの?」
「それは、お答え出来ません...」
何だよ、結局分からないままかよ
「分かった、じゃあバルフォスって何か能力とかその魔法みたいなの出来るのか?」
「魔法なら幾つか所有しております、でしたらここでお見せ致しましょうか?」
「いや、いざって時に見せてもらうよ、頼りにしてるぜ、バルフォス」
「はい、空様の期待にお応えできるよ、誠心誠意頑張らさせてもらいます」
あれからどの位の距離を歩いたのか
いつまで経っても目的地の場所に着かない
どう見ても20キロは歩いたと思われる。
「バルフォス、まだ着かないのか? そろそろ疲れたから休もうぜ...」
「空様、どうやら早速わたくしの魔法をお見せする時が来たようです」
辺りを見ると周りには狼の様な獣がこちらを見ながら睨みつけてきている。
10匹いや、15匹位に囲まれていた。
「バルフォス、まさかとは思うがあれこっちをを狙ってないか?」
バルフォスは、手を前に出し何かを唱え始める。
それを見た狼達も威嚇をしながらこちらの様子を伺っている。
「空様、わたくしの後ろへ、直ぐに終わらせますので」
その瞬間、狼達は一斉に俺達の方に飛びかかってくる。
「汚らわしき者共よ、わたくしが居る前で空様に近づけるなど思うなよ‼︎」
「弾けろ‼︎」
バルフォスの掛け声と同時に前に出した手を握ると狼達の頭が弾け飛び
肉片を辺りに撒き散らしながら次々と倒れていく
俺は、目の前で起きた事が衝撃的過ぎて何が起こったのか理解できない
「今、弾け飛んだよね、パーンってえーっと
どういう事?...」
「空様、お待たせ致しました、雑魚共の処理は済みましたので先へ進みましょう」
「バ、バルフォス?... 今のが魔法?...」
「はい、私の得意とする魔法の1つで爆砕魔法で御座います、」
爆砕恐るべし
これが魔法なのかと...
とりあえず一言、バルフォスさん凄すぎだろぉぉ‼︎
「ほぉ~、魔法ね、いや~まぁあれ位の魔法、俺のサポートするなら出来、当然だよね...」
俺は平然を装っていたが...
何あのかっこいい魔法、カッコ良過ぎるだろ‼︎
しかも何だよ、弾けろ‼︎
って、中二心くすぐるなぁ...
「いえいえ、この程度お安い御用で御座いますから」
いや~それにしてもバルフォスが居て良かったよもしバルフォスが居なかったら
今頃... 想像もしたく無いな
だか、周りが狼の頭の肉片てえげつない事になっている。
しかもさっきバルフォスが頭を吹き飛ばした狼の体漁ってるし見てて吐きそうになるなこれは...
「バルフォス、何してるの?」
「これですか? これは今こうやって死体を漁って売れそうな素材とか食べられそうな所がないか探している所で御座います。」
「なるほどね...」
漁ってる理由は分かったが
せめてバルフォス、その笑顔で死体を漁るのだけは本当に勘弁して頂きたい
さっきのバルフォスが放った魔法を見た後でその笑顔は怖さを増される。
「空様も一緒に漁りますか?」
「漁らねぇよ‼︎」
「そうで御座いますか...」
露骨にガッカリしている。
いや、これに関しては少しばかり俺にはハードルが高すぎる...
普通のゲームとかなら敵を倒した直後にアイテムが手に入るってのが俺の生きてきた中での普通だったけど...
流石に現実でこれはきつい...
でも、これもこの世界で生きて行くための事なんだよな...
「バルフォス、やっぱり俺も手伝うよ」
「はい‼︎ 一緒に死体を漁りましょう‼︎」
その後、俺とバルフォスは何匹か狼の死体を漁り
幾つか、金になりそうな素材とお肉を確保する事に成功した。
すると俺の体が何故か光りだす。
「バルフォス、なんか俺の体光りだしたんだけど
これどういう事?」
「空様‼︎ おめでとう御座います‼︎ レベルアップしたので御座います。」
どうやら、俺はレベルアップしたみたいでその影響で体が光っているらしい
流石、異世界言ったところかレベルの概念まであるとは
「レベルアップしたのは良いけど、どうやってレベルとかって確認できるんだ?」
「それは、こちらのステータス帳で確認の方が出来るので御座います」
バルフォス、俺にステータス帳を渡してくる。
俺が受け取った瞬間さっきまで何も書かれていなかったのに徐々に文字が浮かび上がってくる。
名前
草壁 空
レベル
2
種族
人間
武器
無し
ステータス
体力、G+
筋力、G
防御力、G
俊敏性、E+
賢さ、F−
精神力、G
運、E−
職業
無職
所持スキルポイント数
0
所有スキル
現在、所有していません
魔法
現在、所有していません
ランキング
ランキング外
所属チーム
無し
はははははは...
見た感じ雑魚ですね分かります...
これが今の所の俺のステータス...
「どうでしたか空様? ステータスの方は表示されましたか?」
「あぁ... 表示されたよ、酷い有様だよ... それより何このランキングとかチームって」
「これはですね、この世界に転生や転移された者達でチームを組んだり、その組んだチームでランキング戦をしたり出来るのです」
「へぇ~、そいつは面白そうだけど、今の俺じゃあどのチームにも入れてもらえないだろうな...
こんな雑魚誰も要らないだろうし...」
「空様‼︎ わたくしが居るでは有りませんか‼︎ 空様と私でチームを組みましょう‼︎ そうすれば何の問題も御座いません」
「ありがとうバルフォス、そう言ってもらえると嬉しいよ」
「てか、バルフォスも持ってるんだろ?
ステータス帳見せてくれ」
「私のですか? 構いませんよ」
そこには、力の差を痛感する事が書いてあった...
名前
バルフォス
レベル
590
種族
魔族
武器
魔刀・夜火瞑
ステータス
体力、SS+
筋力、SSS
防御力、SS
俊敏性、SS+
賢さ、S−
精神力、SSS+
運、S−
職業
魔法剣士
所持スキルポイント数
89,542
所有スキル
即時回復
物理吸収
魔法吸収
エンチャント
etc.
魔法
爆砕魔法
火属性魔法
水属性魔法
闇属性魔法
土属性魔法
氷属性魔法
etc.
ランキング
ランキング外
所属チーム
無し
もう、何も言う事はあるまい
見て貰えば分かる通り...
クソチートじゃねぇか‼︎
泣いて良いですか?
こんなの反則だろ‼︎
しかも、薄々勘付いては居たが...
こいつやはり魔族か‼︎
だが、今はバルフォスが俺の仲間
これ程心強い仲間が居るだろうか?
いや、まぁまだこの世界の人達がどの位強いのか分からないから断言は出来んが
バルフォスが相当強い事には変わりないだろう
「ありがとう、バルフォスこれ返すよ」
「もう、宜しいのですか?」
「うん...とりあえずバルフォスがクソチー...
いや、凄く頼りになる奴だって確認できて安心したよ、だからさ早く魔王に会いに行こうぜ」
「左様で御座いますか、では、参りましょう」