2話 神様とドックフード…
「大丈夫ですか、空様?」
バルフォスが俺に問いかける。
「う、うん、何とかね...」
現在、俺は真っ暗な空間をバルフォスの案内の元に進んでる真っ最中である。
どうやら、この空間は普通の人間には少し体への負荷が掛かるらしく
その影響で今の俺は、乗り物酔いの状態になっている。
「もう直ぐで着きますのでもう暫くの辛抱を」
さっきまでずっと暗かった空間の先の方に小さな光が見えて来た。
「あの光、もしかして出口か?」
「左様で御座います。」
やっとこの嫌な気持ち悪さから解放される。
「お疲れ様です、こちらが神様のお部屋となっております。」
着いた場所は、何処までも白い空間が広がる場所だった。
その奥には豪華な椅子が置いてあるだけで他には何も無い
「では、少しの間耳を塞いで頂けますか?」
(耳を塞げって今から何を始めるんだ?)
俺は、バルフォス言う通りに両手で耳を塞ぐ
バルフォスは静かに息を吐き
その後に思いっきり吸い始める。
次の瞬間、吸って膨らんだ胸の空気と一緒に声を出す。
「グォォォォォ...」
凄まじく大きな声は空間全体に広がっていき
その声で地面を揺らし空間も振動させる。
(な、なんて声してるだ... 耳を塞いでても耳が痛い)
俺は、その大きな声に気絶しそうになりながらも必死に耐える。
それから、20秒位してからバルフォスは俺の肩を軽く数回叩く
(ん? 終わったのか?)
俺は、両耳を塞いでいた手を退けて
バルフォスの方へ目線を向ける。
「空様、耳の方は大丈夫ですか?」
「何とかね、まだ耳鳴りがするけどね...」
などとバルフォスと会話をしていると
白い空間の奥の方から凄いスピードで何かがこちらに向かって来ているのが見える。
「バルフォス、何かがこっちに来てるんだけど...
てか、なんか俺の方に向かって来てる気がするんですけど」
と、バルフォスに問いかけるが返事が無い
辺りを見渡して見るが
さっきまで居たバルフォス姿が見えない
だが、今はバルフォスを探すよりも先に今向かって来てる物から逃げないとならないな
あんな早いスピードで向かって来てる物と接触なんてした日にはモザイク処理でもしないと見せられない程の事に成りかねない
だが、どう逃げる?
あんなスピード逃げても直ぐに捕まるに決まっている。
なら、どうする?
(そうだ、ギリギリまで引きつけて横に逃げよう
大丈夫‼︎ 俺なら出来る、やらなきゃ死ぬだろうし多分...)
俺は、中腰になり向かって来るものに備える。
「さぁ、来いや‼︎」
大きな声を出して気合を入れ
遂にそれは、近くまで来た...
全神経を集中させ避ける。
見事避ける成功した俺は避けた勢いでそのまま横へ転がる。
「あぶねぇ~」
その俺に突っ込んで来た物は急ブレーキを掛け
俺の方に向かって来る。
それは、綺麗な女性だった。
髪の毛は肩まであり色鮮やか金髪で
服はtシャツだけとまぁ、何とも童貞の俺には刺激が強すぎて直視出来ない
更には、胸なんかもデカイししかも、幼女と来た日には色んな妄想をしないのは逆に失礼ではなかろうか?
しかも、パンツを履いていない... だと...
さては、変態か‼︎
などと、変態ワールドを展開していると
「何で避けたの? 受け止めてよ‼︎」
「いや、あのまま受け止めてたら流石にまずいと言いますかなんと言いますか...」
(怒られた... つまり受け止めて死ねと...
はははは... 冗談きついぜお嬢さん...)
「まぁ、良いわ、許してあげる感謝しなさい」
ちょっと、何を言っているんだこの幼女は
俺は幼女のペースに流されていた。
「この、神である私が感謝しなさいって言ってるのに感謝しないなんて貴方、罰が落ちるわよ」
「え?今、神って言いました?」
これが神だと...
どうやら世界は狂っているらしい...
「そうよ、私が神よ‼︎ すっごく偉いんだから」
神様は胸を張りながら自信満々に答える。
「そうだったわ、バルフォス‼︎ バルフォス‼︎
隠れてないで、早く出て来なさい、出て来ないと消滅させるわよ」
まぁ、なんとも怖い神様だ
出て来ないと消滅させるとか
洒落で言ってると思いたい...
神様は、辺りを見ながら大きな声でバルフォス
を呼び掛ける。
すると、すぐさま目の前にバルフォスが現れた。
「お呼びでしょうか? 神様」
「全くバルフォス‼︎ 貴方の声は大きいんだから
その呼び出し方は辞めてって何時も言ってるでしょ?」
「ですが、こんなに広い空間で神様を呼ぶとなりますとこの方法しか御座いません」
バルフォスは、不満気に答える。
「ちょっと、良いですか? なんか俺、完全に空気みたいになっちゃってるんですけど...」
俺は、申し訳なさそうに会話の途中に割り込む
このままでは一生この二人のやり取りを見せさせられるに違いない
「これは、失礼いたしました、空様」
「あっ‼︎」
神様が自分で持っていた金色に光る懐中時計を見て声を上げる
「もう‼︎ 最悪だわ、時間がもう無いじゃない‼︎」
そう言うと神様は空中から刀とドックフード出し準備を始める。
「とりあえず、もう説明してる時間が無いから貴方にはいや、空、異世界で頑張りなさい」
「え? 異世界頑張りなさいって? 意味が分からないんですけど...」
「それとバルフォス、貴方も空について行ってサポートをお願い、貴方の刀も渡しておくわ」
「はははは... 俺はガン無視かい‼︎」
「承知致しました。全力で空様のサポートをさせて頂きます。」
バルフォスはそう言いながら俺の横に立ち何かを唱え始める。
次の瞬間、当たりが光に包まれ始め次第にその光は眩しさを増しいく
俺は、神に文句を言うが聞こえてない様で
神は、俺とバルフォスににっこりしながら手を振っている。
そして眩しさから俺は目を開けて居られず目を瞑る。
結局、神が俺に何を頼みたかったのか何1つ教えてもらえず
急に時間が無いからと半ば強引に異世界で頑張れと言われ
神から貰えた物といえば、バルフォスかっこいい刀に対して俺はドックフードだけ...
てか、ドックフードって何だよ
普通こう言うのは強いスキルとか能力とか武器じゃないのか?
なのにドックフードって...
このドックフードで何をすれば良いんだよ...
あれかドックフードでモンスターでも手懐けろってか?
はははははは... 笑える...
...笑えねぇよ‼︎
てか、要件済んだら帰してくれるって言ってたけど
これ絶対家に帰れない奴じゃん...
結局、何を俺はすれば良いんだよ‼︎