レベルアップ!!
「よし! これで後一体!」
レベルアップに必要なモンスター(ゴブリン)を倒し始めて1時間程が経過した。
倒すのは簡単だが、いかんせん姿を見せる事が少ない。
普通モンスターって、そこら中に群れを作っているって印象だったんだけどな。
とまぁ、そう言うことで後一体だ。
「早く出てこないかなぁ?」
そんな事を言っている今も全力疾走だ。
今の俺なら100メートル9秒きれるぜ!
「はよ出てこい!」
ガサッ!
きた!
「流石に10回目も同じ登場の仕方じゃあ飽きるぞ!」
草から出てきたのはやはりゴブリン。この森にはゴブリンしかいないのか?
「出てきて早々に悪いけどご退場だ! 『影槌』!」
影が形を変え、自分の背丈(170cm)程の大きなハンマーになる。この大きさだが、重さは俺には感じられない。
この影は使用者には重さは感じられないが、使った自分の影の分だけそのまま俺の体重が加算されていく。つまり、今のハンマーの重さは60kg弱ある。
そんなものを喰らったらゴブリンはひとたまりもない。現にこのゴブリンの前にもハンマーを使ったが、一瞬でペチャンコになってしまっていた。
「うら!」
「ギャッ!」
ハンマーを振りかぶる。
ゴブリンは声をあげることしか出来なかった。
「これで10体目!」
いい忘れていたが、ただ、モンスターを倒すだけでは%は貯まらない。
倒したモンスターの影に自分の影を一部分でも重ねなくてはならない。
まるで広がった水に雑巾を置いたときのように吸いとられていく。
「よし、これでレベルアップができてるはず! 『ステータス』」
セイヤ・カゲノ 16才 異世界転生者
武器:なし
防具:ボロボロの制服
魔法:使用不可
能力:【影】Lv.2
能力スキル:【影伸縮】
「お! 新しい項目が増えてる! 能力スキル……スキルだ!」
レベルアップすればスキルが増えるんだ! これはレベルアップが楽しくなってくる!
「えーと、新しく増えたスキルは……と、影伸縮?」
影…伸縮? 影が伸び縮みするのか?
「助けてヘルプー」
影伸縮
影が伸び縮みする。
最高1m伸びる。
縮むと言うより凝縮する。
「流石ヘルプ先生ー。でも、まんまだな」
でも、これってあのハンマーに掛ければ270cm位に伸びるのかな?
「試してみましょう! 『影槌』」
すぐさま形が変わる。
「あれ? なんかさっきより色濃くない?」
ほんの少しだけど色が濃くなっている気がする。
「これもレベルアップのお陰か? まぁ、いいや。よし、伸びろ!」
むくむくと、柄の部分が1m伸びる。
「うわ! ホントに伸びた。これ重さどうなっているんだろう?」
しかし、これこの森じゃあ振り回し難いだろ。
「よし、次は縮め!」
柄の部分が、一気に2m程縮む。
「あぁ、良いくらいの長さだ。うん、これを影小槌と名付けよう」
しかも、さっきよりもまた色が濃くなっている。凝縮しているからか?
「よし! 実験もこれくらいにして早く村か町に行かないとな」
そう言って全速力で走って行った。