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ブルーフレア  作者: 氷見山流々
札付き
163/253

凶刃

 銀次に先導されて辿り着いたのは、公園のスタッフたちを閉じ込めていた管理センターだった。中に入るや否や、夜凪は絶句してしまった。

「ぎゃあああ! あ、兄貴、何をやってるンすか!」

 胴と首が分離された人々の死体の中心に、修羅がいた。銀次の声に気付き、修羅は振り返る。

「ただ殺しているだけだ。それ以上喚くなら、貴様も殺す」

 額に生えた2本の角の間から1枚の札が垂れ下がっている。札が少し靡いて、見えた両眼から鋭い視線が銀次と夜凪を貫いた。

 夜凪はその射殺すような視線で却って息を吹き返した

「に、逃げ出す心配をしていたのですか? 妖狐たちを見張りに付けていましたが……」

「奴らは殺した」

「なっ!?」

 再び、夜凪は閉口してしまった。修羅は手に持った大鉈に残る血を見ながら呟いた。

「肉の感触、殺す快感……変わりようがない。加えて憎悪も糧となる。まだ足りない」

 修羅は夜凪を横切り、管理センターから出ていこうとした。夜凪は遅れて、修羅の方へ振り替える。

「何処へ行くつもりですか」

「花満ちる丘。そこにもいるのだろう? 人間が」

 管理センターだけではなく、コスモスの丘の上にも人間たちを捕縛していた。修羅はそこにいる人間たちも殺すつもりなのだろう。

「待ちなさい。貴方たちが殺すべきは天音様だけです。余計な殺生をされるのは困ります」

「私が殺したいのは人間だ。脳天に響く煩わしい痛みが引かぬ限り、狐狩りに興じられん」

 修羅は聞く耳を持たず、管理センターを去っていった。

「修羅の兄貴は自由すぎるなあ。こうなったら、誰も止められやせンよ」

「大事にされたら困ると言ったでしょうに! これ以上、彼に好きにされたら計画そのものが失敗してしまうかもしれない。後を追いますよ。彼を説得して天音様の所へと向かわせるのです」

「だから、止められないって……」

「黙りなさい! 命に代えても修羅に天音様を殺させるのです」

 夜凪に急かされて、銀次も修羅を追う。露骨に苛立ちを見せる夜凪に、銀次は冷や冷やしていた。

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