旅立ち
僕は今、大変困った状況下に置かれている。というのも僕は勇者になるために首都に来た。だがしかし、この国で一番大きな学園の裏学科である暗殺学科に入学してしまっている。何故そんな事になったのか、僕も分からない。取り敢えず樹海辺からの記憶を思い出して整理してみよう。
村を出てどのくらい時間がたったのだろうか、全く見当もつかない。でもきっと、一週間くらいたったのではないかと思う。というのも、僕は今リバウム樹海という大森林の中にいて、空は木々に隠され見えず、常に夜の状態になっているからである。昔はこのような事は無かったが、ある日を境に突然変異して今のような状態になったらしい。おかげで、方向はほぼカンで今どこにいるかしら怪しい。それに先程述べたように時間も不明だ。
だが、ただ一つ助けになったのは、数分ほど前に見つけたリバウム樹海の調査団が立てたと思われる看板である。看板には、現在地と東西南北それぞれの行き先・着くまでにかかるとされている平均時間が書き込まれていた。僕が目指している首都までは、まだ1ヶ月くらいの日数が必要となりそうだったが、迷子にならなければきっと大丈夫だろう。そう信じて僕は前へと進んだ。
何か変だ。さっきから僕は同じ道をただグルグルと回っているような気がする。これは、不味いことになった。明らかに迷子だ。後数日で首都に着けると思っていたのに。これでは首都に着く前に死んでしまうではないか。あの時、看板通りに進んでいれば大丈夫などと思った自分が如何に馬鹿だったのかと思い知らされた。こんな事になるなら看板の付近で、定期的に見回りに来る調査団を待っていれば良かった。
ああ、情けないことに涙まで出てきてしまった。しかも目の前の茂みが滲みユサユサと揺れる様に見えるほどの量である。このザマで、村の人達を助けようと思っていた自分に吐き気がしてきた。何が首都に行って勇者になるだ。アホらしい。食料も底を尽き絶食状態の自分にもう未来はないだろう。泣いたおかげで力も入らなくなってきた。目の前が段々とブラックアウトしていく。
さよなら…無知で馬鹿な僕……。
という様な感じで1度意識を失った。ここまでは、まあ覚えている。しかし、その後から学園に入学し今に当たるまでを全く思い出せない。何故だろう。村長には記憶力が良いと何時も褒められていたのに。きっと目の前でニコニコしている彼女達が何かしたのだろうと、何となく察しはつくが……。しかし、口に出したら殺されそうだ。ニコニコしている姿は普通に見れば、「可愛らしい」とそう思うだろう。だが今は、変な凄みを増しているだけで僕に恐怖しか与えていない。彼女達はそのことに気付いているだろうか。気付いていたとしたらなんて奴らだ。恐ろしい。今まで思い出す事と彼女達に夢中で忘れていたが、僕は拘束されている。取り敢えず紐をといて頂く術を考え無ければ。色々考えていたので精神的に疲れてきた、はぁ……僕はこれからどうなるのだろう……。
誤字脱字等、申し訳ございません。無くなるように精進いたします。また、より読みやすくなるように改行等も改善していきます。