好感度の日
この作品は宙来様よりいただきました案を元に作成しております。
編集が作者に注意を行わなかった結果がこれだよ!
【サウズ王国】
《ゼル男爵邸宅》
「…………」100
何だろう、この、違和感。
何と言うか、本当に何と言って良いか。頭の上に何か浮いてる。何か100とか言う数字が浮いてる。
朝起きて辺りを見回しても変化はないが、この頭の上の数字は何だろう。
記憶に思い当たる節もない。はて、この数字は何だろう?
「スズカゼさん、もう朝ですよ」60
「……メイドさんの頭にも浮いてやがる」100
「はい? 何がです?」60
「あ、いえ、メイドさんの髪は今日も綺麗だなーって」100
「あ、あら嫌だ。もう、お上手なんですから!」70
何か上がった。何だこれ。
と言うかメイドさんの反応がおかしい。こんなに顔赤らめないでしょう、普通。
いつもならありがとうございますの一言と微笑みぐらいなのに。何で今回はこんなに顔を赤くしてくねくねしてるんだろう。誰だこれ。
「メイドさんって本当に綺麗ですよね。もう、その髪を撫でたいぐらいです」100
「そんな、綺麗なんて……。スズカゼさんの方が、余程」75
「比べてみますか?」100
スズカゼの手がメイドの服裾へと伸びていく。
頬を赤らめている彼女は、まるで吸い込まれるようにスズカゼの華奢な、白い腕を取った。
そのままベッドに手繰り寄せられ、メイドはーーー……。
「だっ……、駄目ですよ! 早く朝食を食べないと!!」80
「えっ。ちょっとぐらい」100
「駄目です! 駄目ったら駄目ですよ!!」75
メイドは顔を真っ赤にしたまま、何処か逃げ去るように部屋から出て行った。
もう少し、本当にあともう少しだったのだが、好感度が20足りなかったのである。
残念、もう少し会話を積み上げよう!
「いやちょっと待て何だこのナレーション」90
体力は一度に10減ります。貴方の表示は体力です。
その他の人物の表示は好感度でMAXは100。貴方の体力も同様にMAXは100となります。
人々の難易度によって好感度上昇率は変化します。キメに入る時の好感度がそのままパーセンテージとなり、成功率を表すのです。
「……ギャルゲーか!」90
大体あってる。
ただし攻略対象は男女共です。頑張ってね。
「いやいやいやいや、何これ!? 何で私がこんなのやらないと」90
上手くいけば合法的に女性とイチャコラ出来ます。
「っしゃオラァ!! やったるわぁ!!」90
現金ですねぇ。
「起きたか、スズカゼ」60
「あ、おはようございます、ゼルさん。……60か」
「あ? 何が?」60
「いえ、別に」90
「…………」60
「…………」90
「…………」55
「何で下がったし!!」90
貴方の普段の行動からして、無言状態はマイナスになるようですね。
何か企んでいる、若しくは何か厄介事を持ってきたんじゃないのか、と思われているようです。
「あぁ、貴方はナレーションと同時にサポーターでもあるんですね」90
えぇ、まぁ。
「お前、何一人でブツブツ言ってんだ。大丈夫か?」55
「大丈夫ですよ。それよりゼルさん今日もカッコイイですね」90
「……」50→45→40
完全に病気と思われたみたいです。
「あ、冗談ですよ。……これ下手に地雷踏んだらアウトですね」90
ある程度のキャラ改変は起こりますが、基本的にブレません。
先程のメイドさんはチュートリアル含め、非常に解りやすくしています。
「へぇー」90
「冗談で良かった。本当にリドラ呼ぶトコだったぜ……」50
「いや、ははは。……あれ? 体力が」90
あ、言い忘れてましたがキメに入らなければ体力は減りませんよ。
キメとは貴方の直接的行動を言いますので、解りやすいでしょう。
それと体力が0になるとゲームオーバーですのでお気を付けて。
「お、おぉ……。取り敢えず朝食食べますか」90
「だな」50
「それで、今日はどうするんだ」50
「うーん、今日はちょっと外に出て来ます。色々とやりたい事があるんで」90
「そうか。そりゃ構わないが、今日はメイアウス女王に謁見しに行けよ。何か呼びだしくらってんだから」50
「何ですかね? 覚えがないんですけど」90
「どーせロクでもない事した……、って事は無いよな?」50
「心当たりが多すぎて……」90
「……あ、胃が痛い」10
「凄い勢いで下がったんですけど!?」90
地雷の上でタップダンスどころか、地雷原因ダイブすりゃそうなりますって。
取り敢えず日を跨がないと……、ってか貴方の場合、彼の攻略は最高難易度レベルですよ。
「マジで!?」90
マジで。
さぁ、もう諦めて先に進んでください。
この人攻略したいんだったら転生し直さないと無理ですよ。
「そんなレベルで……。仕方ない、解りました。さっさとご飯食べてメイアウス女王の元へ向かいましょう!」90
頑張ってくださいね-。
「何か目の前で居候娘が独り言言って張り切ってる……、あ、もう胃がアカン」0
この人は好感度以前に胃数値が大変な事になってそうだ……。
《第三街東部・住宅街》
「…………」90
「…………」25
「ちょっと待ってファナさんの好感度がおかしい」90
いえ、むしろこれぐらいが妥当じゃないですか。
貴方って彼女の社会的面から見れば出世街道ブチ壊しですし。
と言うか普段の行動からして一桁じゃないのが奇跡ですよ。
「愛があったと!!」90
何処に?
「何だ貴様……、一人で叫んで……」23
「じわりと下がる!? 違うんです、ファナさん! 私は貴女を愛している!!」90
「……」9
ドン引きじゃないですか。
「違う……、違うんですよファナさん……、ちょっ待っ……」90
「周囲の目が痛々しい。もう帰って良いか」7
「……ナレさん、ヘルプ」
ナレさんって私ですか。まぁ、良いですけども。
そうですね、現状の貴方では男に興味ないし女性の地雷原には突っ込むで正直勝ち目がないでしょう。
なので貴方には力を与えたいと思います。
「力?」90
力が……、欲しいか……?
「あ、そういうの良いんで」90
辛辣ですねぇ。
何はともあれ、力というのはチュートリアルであったアレですね。
この力はその人の属性を強化する力なのです。メイドさんなら従順さが強化されてましたね。
さぁ、この力を持って貴方をギャルゲの主人公が如くもうヌルゲーも良いトコまで導きましょう!
「むしろ最近はヌルゲーじゃない方が多くないですか」90
ちょっとメタいんでやめましょうか。
「それ言うと貴方なんて世界観ガン無視ですよ」90
さぁ、世界よ! スズカゼ・クレハにギャルゲー主人公の能力を与えたまえ!!
「無視って強引に進めおったでぇ……」90
「…………」90
はい。
「……何か代わりました?」90
ファナさんの好感度を見てください。
「お、おい。こんな人目に付くところで手を握るなぁっ……」78
「マジか」90
マジです。
彼女の属性はツンデレ。強化された事によりデレが強くなっているんですよ。
「馬鹿、皆が見ているだろう……! あ、愛、愛してるなど……! こんな所で……!!」83
口では嫌がっていようともファナが手を振り払う仕草を見せる事はない。
頬を薄紅色に染めながら、隠しきれない豊満な両胸を腕で支えている。
視線を逸らすのはきっと、直視すれば自身が平常を保てないと解っているからだ。
それ程までに彼女の心は今、眼前の女性に対して惹かれていた。
「……ファナさん」90
スズカゼは静かに、彼女の手に指を添える。
緩やかに絡み合う指が、よりファナの心を躍動させた。
言葉はない。ただ、彼女達を取り巻く世界だけが全てを物語る。
「……さぁ、二人で愛の巣へ」90
「ふざけるな」5
ファナは彼女の腕を振り払い、踵を返して去って行った。
余りに呆気ない幕引き。スズカゼはただ振り払われた手を呆然と眺めて数十分ほど硬直し続けていた。
「……何故だし!!」90
むしろ何でいけると思ったんですか。83から5てアナタ。
「83ですよ!? ほぼ成功みたいなモンじゃないですか!!」90
いやあのですね、そもそも貴方が煩悩に従って動き過ぎなんですよ。
せめて私とずっと友達で居てくださいね、とか。
「何の意味があるというのだ」90
この人は駄目ですね。もう駄目だ。
「繰り返さなくても。……そうかー、一緒に愛を育むのは無理なのかー」90
普通は男性向きですからね、これ。
何で貴方女性に走るんですか。この力使えばゼル・デビットだって落とせますよ。
「落として何になるというのだ」90
この人は駄目ですね。やはり駄目だ。
「ぶっちゃけ男とか落として何になるんですか。女の子だから良いんです。女の子を愛しているから私は生きているんです!!」90
力剥奪して良いですか。
「ファナさんの赤面がメッチャ可愛かったんで他の女の子攻略するまで待って貰ってくださいお願いします」90
欲望に忠実ですねぇ。最後にはどうせフラれるのに。
「それでも進みますよ、私は」90
何で無駄に決めているんだろうか……。
《第二街・大通り》
「あ」90
「あっ」85
「……む」80
ジェイドさんとハドリーさんですか。
ふむ、二人とも貴方に救って貰った経験がある故か、非常に値が高いですね。
それにジェイドさんの属性は誠実。ハドリーさんの属性は純情。さて、これなら、或いはーーー……。
「ハドリーさん!」90
「は、はい」85
「結婚し」90
血迷ったか貴様。
「……は、はい?」83
「あ、いえ、何でもないです。ちょっと気管に唾液が詰まっちゃって」90
何を速攻でキメに行こうとしてるんですか。手順踏めや、手順。
「ぶっちゃけもう赤面姿見えたら良いかな、って。女の子の赤面って最高じゃないですか?」90
頑張ってくださいよ、ホント。何の為に力与えたと思ってんですか。
「人間は生きる為に欲を持つ。良く欲を持つ……、フフッ、皮肉な文字ですね」90
現実に帰って来てください。
「あの、スズカゼさん? どうかしたんですか?」85
「いえ、何でもないんですよ。ただ運命に抗おうかな、と」90
「大丈夫か、姫。色々と」80
「えぇ、大丈夫ですよ。所でお二人は何を?」90
「何、久々の休暇なので街を散策している所だ。昔と違って随分と活気溢れる街になった……。これも姫の御陰だな」90
おっ、上昇しましたよ! これチャンスです!!
「いえいえ、皆さんの御陰ですよ。あの時の私は喚いてただけですから」90
「謙遜するな、姫。その喚きがこの街を、延いては獣人達を救ったのだ。それの有り難さが解らぬほど、俺は馬鹿ではない。……どうだ、姫。今まで礼らしい礼も出来なかった。もし姫さえ良ければ食事にでも」93
おぉ、チャンスチャンス大チャンス!
主人公力の御陰ですよ! 普段のジェイドさんならここまで言いません!!
さぁ、今こそ力の真価を!!
「だったらハドリーさんと行きましょうよ。いつも支えて貰ってるんですから、偶には食事でもすれば良いのに」80
「……む、それもそうだな。どうだ、ハドリー。今度」94
「い、行きます! はい!!」100
「そ、そうか。そんなに張り切る程か。……何にせよ、姫。また気が向いたら言ってくれ。時間があればいつでも良い」94
「はいはーい。頑張ってくださいねー」80
「……頑張る?」94
「こっちの話です」80
あ、あ、あー……、あぁーーー……、行っちゃった。
どうして誘いに乗らなかったんですか? 勿体ない。
折角、キメまで使ったのに。
「……見ました?」80
何をです?
「嫉妬して膨れるハドリーさんメッチャ可愛かった……!!」80
……私はどうしてこの人に力を与えたんですかねぇ。
《第一街東部・王城前》
「あ」80
「おや」50
「あれ?」65
おや、おやおやおや、これはこれは。
「バルドさんにメタルさんじゃないですか。珍しい組み合わせ……、ってワケでもないですかね」80
「まぁ、メタルさんはメイアウス女王の友人ですから。私も彼をもてなす立場にあるんですよ、一応はね」50
「本当に一応なんだぜ、コイツ。今日なんて何しに出て来たと思う? 第一街の様子を見に行きたいから付き合え、だとよ」65
「大変ですねぇ」80
これはグッドタイミングじゃないですか、スズカゼさん!
二人とも好感度はそこそこのようですし、両方男性です!
主人公力が大いに役立ちますよ!!
「えー、この二人ですかぁ」80
まぁまぁ、気が進まないのは解ります。
けれど考えてくださいよ? どちらもメイアウス女王と深い関わりを持つ人物ですよ?
ここで良い関係を作っておけば後々、事が有利に進むかも……。
「お二人とも、ご苦労様です! いやぁ、民のことを想うなんて尊敬しますよ!!」80
うん、段々とこの人の扱いが解ってきました。
「そうかぁ? 照れるなぁ」70
「ははは、ありがとうございます。そういうスズカゼ嬢はどうして第一街に?」50
「メイアウス女王に呼ばれているらしくて。いやぁ、何なんでしょうね?」80
「おいおい、お前なんかやったんじゃないのか?」70
「まっさかー! メタルさんじゃあるまいに」
「お前、俺を何だと思ってんだよ~」72
おぉ、いつもなら呆れられる所がじゃれ合いになってますね!
まぁ、元から気にしない性分なので彼は非情に攻略しやすいキャラクターでしょう!
彼ならば難なく100%に持って行けるはずです!!
「おごふっ」72
メタルを弾き飛ばしたのは鎧だった。
文字通り、街中を転がって来た鎧が彼を石ころのように吹っ飛ばしたのである。
吹っ飛ばされた当人は空中を舞って地面に落下、二回転三回転を繰り返してゴミ箱へと突っ込んで行った。
「…………」80
「…………」50
「……えっ」80
何が起こったんですか、今。
「いやそれ私の台詞」80
「隊長ーーーーーーっ! お怪我はありませんか!?」10
「おや、君は王城守護部隊の隊員だね。先刻のはどういう事かな?」50
「そ、それが運送中の防具が突然転がりだしまして! 大した坂道でもないのに何故、と……」10
「ふむ、謎だな……。まぁ、幸いにも一般人の負傷者は居ない。君は防具を回収して運送に戻りなさい」50
「りょ、了解しました!!」10
こんな緩い坂道で鉄の塊が転がり出すなんて事があるんですねぇ。
……スズカゼさん? どうしました? 難しい顔して。
「メタルさんの属性って、何ですか」80
無邪気と……。
……[不幸]?
「因果律をねじ曲げるレベルの不幸さって事じゃないですかね……」80
えぇーーー……。
「いやはや、大変だったね、スズカゼ嬢。怪我はないかい?」50
「え、えぇ、大丈夫です。というかメタルさんは大丈夫なんですか」80
「彼はあの程度では死なないさ。それよりメイアウス女王に呼ばれているのだったら急いだ方が良いのではないかな? 君の事だから道草ぐらいは食っているんだろう?」50
「は、はぁ、そうですね。解りまし……」80
……す、スズカゼさん?
何でさっきからちょくちょく止まるんですか? 怖いんですけど。
「バルドさんの好感度が変わらない……」
あぁ、そう言えば。
メタルさんは結構変わってたのに、この人は全く変わりませんねぇ。
性格的な問題もあるんでしょうけど……。と言うかこの人の属性が解らないのも、数値が丁度半分の50なのも偶然でしょうか?
「バルドさんって、何かダンディですよね」80
「おや、そうですかね? よくオジサン臭いとはファナに言われた事がありますが」50
「いやぁ、ダンディな男性って格好良くないですか?」80
「ははは、ただ親父臭いだけですよ」50
「いえいえ、憧れますよ」80
「女性が親父臭いことに憧れるなんて珍しいですねぇ」50
鉄壁ですね、この人。
力も働いているはずなのにここまで不動とは、これ以下に……。
「……何か」80
「はい?」50
「あ、いえ、何でもないです」70
何しようとしたんですか。
「逆に下げてみようと思ったんですけど怖いんで止めました」70
しかもキメを使ったんですね馬鹿ですか。
「違うんや、全部この人の不動が悪いんや……」70
「あの、そろそろ私は行っても宜しいかな?」50
「あ、はい。お疲れ様です……」70
何だか物凄い無駄な時間でしたね。
一人は不幸の事故で帰らぬ人に、一人は不動の自己で帰る人に。
「上手いこと言ったつもりですか」70
割と自信はありました。
《王城・広場》
残すはメイアウス女王のみですね。ある意味で本命?
「確かにどんな反応示すか、とか属性は、とか興味ありますけど。……まだ残ってる人が居るじゃないですか」70
残っている人? はて、何方が……。
「ナレさんともあろう方が情けない! ほら、あの人ですよ」70
あ、あぁ! そう言えばまだ会ってない人が居ますね!
これを忘れるとは迂闊でした。いやぁ、面目ない。
「何を一人で騒いでいるのだ、スズカゼ・クレハ。遂に頭が狂ったか」0
ナーゾル大臣さんです。
「ぶっ殺すぞテメェ」70
「な、何だと貴様ぁ!?」
えっ、違うんですか。まだ会ってない男性はこの人だとばかり……。
「確かに会ってないけどこんなオッサン何処に需要あんねんや? なぁ、おい。言うてみ? 言うてみ? こんな脂ぎったオッサンの何処に需要があるねん?」70
「誰が脂ぎったオッサンだ貴様! 身の程を知れ!!」0
「身の程を知るんはアンタやろ。体脂肪率何%やねん」70
「た、体脂肪率? ぱぁせんと? 何を言って居るのだ貴様!!」0
「痩せないと死ぬって事です」70
「あ、暗殺予告か!?」0
「どういう頭してんですか」70
「何処まで馬鹿にっ……! ともかく覚えておけよ貴様!! その調子に乗った顔がいつまで続くか見物だな!!」0
「へいへい、こっち見なけりゃ幾らでもどうぞ」70
うわぁ、険悪ですねぇ。
と言うか好感度0って。マイナスに到る勢いでしたよ。
「あの人とは文字通り犬猿の仲ですから。いや、文字通りだと美豚の仲ですかね」70
それだとあの人が美しい豚になりますが。
「……想像したくねぇ」70
《王城・廊下》
「……あ」70
あ、アレはデイジーさんとサラさんですね。
どうやら何か連絡のためにここを訪れているようですが……。
遠くて何を喋っているか全然聞こえませんね。広間の対線上ですし無理もありませんか。
「デイジーさん!」
「おわぁっ!? スズカゼ殿ッッ!?」75
「あらあら、ついさっきまで数百メートルは離れた所に居たと思ったんですけどおかしいですわねぇ」60
ホント人間やめてんな、この人。
「デイジーさんとサラさん! 会いたかったぁ~~~……!!」
「そ、それは良いのですがスズカゼ殿……、こんな場所で抱き付かれると……」76
「あらあら、うふふ」61
デイジーさんとサラさんの属性は忠誠と母性ですね。
成る程、この二人はスズカゼさんに対する憧れがあるから数値も中々高い!
サラさんはちょっと難しいでしょうけど、デイジーさんなら忠誠という属性を利用してスズカゼさんの望み通りになるかも
「結婚しましょう!!」50
「行こうサラ、今日も仕事が溜まっている」30
「ですわね、うふふ」10
知れなかったと思った私が馬鹿だった。
「何故だしッッッッッッッッッッッッ!!!」50
むしろ何でいけると……、あれ? 何かデジャヴ。
「違うんです。あの人達に会うの期待してたから思わず決めちゃったんですごめんなさい」50
いやもう、ホント反省を生かしませんよね、貴方。
せめて数値を上げようとか思わないんですか。ちょっと優しくするだけでぐんぐん上がったでしょうに。
「……いやね、見えちゃったんですよ」50
見えた?
「確かにあの人達のおっぱいを好き勝手出来ると思うと止まれなかったんです。えぇ、それが理由と言う事もあります。主に九割ほど」50
もうそれが原因じゃないですか。
「ですが、それと共に……。もしデイジーさんを従えたらどうなるかなって考えたら解ったんです。多分、彼女は従順に付き従うでしょう。それじゃ駄目なんです。嫌がってる、若しくは恥ずかしがってる彼女を辱めるから良いんです!!」50
下衆も吃驚だよ。
「でもサラさんに優しく攻められたかったッッッッッッッッッッ!!!」50
……あぁ、そうか。
「こう、耳を舐められながらここが良いんですか? とか言われて優しく撫でられたかった……!! くそっ! どうして暴走した我が欲望!!」50
貴方に男を攻略しろと言う方が無理だったですね……。
《王城・王座謁見の間》
「……さて、ラスボスが待ち構えているワケですが」50
…………。
「ナレさん? どうしました?」50
あのですね。
「はぁ」50
私は悪くないです。
「はい? ……え? ナレさん?」50
誰も居ない王座謁見の間の前で、少女は周囲を見回す。
幾らその者の名を呼ぼうとも返事はなく、姿もない。
彼女は数分ほど周囲を確認すると共にその者の名を呼び続けたが、やがて諦めと共に決心を心に宿らせて、豪華絢爛な扉へ手を掛けた。
「失礼します」50
彼女はそこへ一歩を踏み出す。
いつもと違う意味の、文字通りの挨拶を述べながら。
その先に待つ、自身が知る限り最高の美女を攻略するために。
今、彼女はーーー……。
「ご苦労様、スズカゼ・クレハ」
「はい、メイア……、え?」50
違和感。
今まで見てきた物が、メイアウス女王にはない。
それに入っていきなり労いの言葉というのも妙ではないか。
「あの、好感度……」50
「試験はバッチリのようね。リドラ」
「はい」
彼女の合図と共に出て来たのは、つい先程まで書き物をしていたのか大量の紙束と羽ペンを持ったリドラだった。
彼は未だ何かを書いており、メイアウス女王もそれを待っている。
ただ一人、スズカゼだけが混乱して質問を投げかけていたのだが、誰も反応すら見せない。
やがてリドラのペンが紙を弾いて微かなインクを飛ばし、白衣に染みを作った時。
彼は満足げな表情で猫背のまま、のそりと動いた。
「完成です。良い物が書けました」
「ご苦労様。スズカゼもご苦労様」
「え、ちょ、あの、何が」50
「いや何。最近、研究が行き詰まっていてな……。どうしようかとメイアウス女王に相談したところ、イトー殿から良い薬が送られてきていると仰られた。なのでそれを利用して人の好感度による論文を書いたのだ」
「み、皆さんは……」50
「ジェイドは知っていた。ゼルは胃薬と偽って飲ませた。他の物はジェイドに協力して貰って食事に盛り込んだり、だな。流石は暗殺者、皆気付くことなく協力してくれたぞ」
「え、ちょ、大丈夫なんですか、それ」50
「問題はない。約一名が不慮の事故によって病院送りになったが、何ら問題はない」
「大ありじゃないですか」50
「ともかく、これで実験は終了した。ご苦労だったな」
「……メイアウス女王攻略は」50
「そんな物ないわよ」
唖然とする少女を他所に、女王は立ち上がり私室へ、リドラは資料を纏めて自宅へ。
やがて残された彼女を迎えるのは何とも虚しい空気だったという。
読んでいただきありが「これで終わりと思うなよ! 私のイチャラブの日々はどうなるんや!? 責任者出せゴラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
読んでいただきありがとうございました