表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

徒然短編

ありがとう

作者: 紅夜 真斗

 2年2ヶ月。

 長いようで短くて、短いようで長かった。


 まずはありがとう。

 そして、楽しかったよ。


 君がいた跡を見ると、やっぱりまだ悲しくて

 感情が痛むよ。


 君が悪戯したタオルもまだ、残ってる。

 それもいつか捨てないとね……

 ボロボロになりすぎて、君の匂いがタップリ残ってる。

 多分、洗っても落ちないんだろうな。

 

 初めて家に来たとき、電車の中で怖がってた。

 見知らぬ場所で不安に思ってた。


 それが慣れた後は全身で存在を示して、

 外に出たいと登っては、途中で自分から手を離して

 ぽてっと小さな音を立てては不服そうにアピールしてた。


 掃除するときは「なにしやがる」って声が聞こえてくるほど、

 小屋に突っ込んで、チップの山を見つけては掘り返してた。

 小屋に入ったら入ったで、不思議そうに自分の匂いを探してたね。

 そりゃ、掃除したあとの真新しいチップに君の匂いはないよ。


 楽しかったよ。

 ありがとう。


 もう、ケージに足を引っ掛ける事もないし、

 それにイラだって自分の足を噛み切ろうとしなくてもいいし……


 天国では好きなだけ遊んで、好きなだけ食べてなさい。

 外敵もいないし、暑くてグッタリする事もないし

 寒くて震えることもないし。

 きっと、お気に入りのプリンも好きなだけ食べれるよ。

 ひまわりのタネも、やわらかかぼちゃも。

 好きなものたくさん食べれるよ。


 その代わり、僕はもう君の姿を見ることは出来ない。

 君が僕の手に乗る事もない。

 もちろん、この手から君にエサを上げることも……


 今もまだ、

 空っぽの小屋には慣れない。

 それでも逝ってしまった以上、君が小屋に帰ってくることはない。

 ちゃんと分かってるよ。

 ただ、もう少しだけ……


 そうしたら、自分の中のチグハグな気持ちもキッチリおさまるから。


 楽しかったよ。

 ありがとう。


 どうか、安らかに……

何分、初のペットで自分が思ってた以上に思い入れがあったのと、カタチにしておきたかったのがあります。


もう少しだけ、一緒にいたかった……

でも、ジャンガリアンで2年ちょいは本当に、大往生だったね。

どうか、安らかに……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ペットへの愛を書いたのですね。 その鼠がくれた悲しみ、強くなるための悲しみです。大切にしてください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ