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~外出にはマスクをお忘れなく~

今年もこの時期が来てしまった。毎年毎年例に漏れず日本全土に被害を出し、人間の体力気力を奪い、生活を妨げ、人は自らの身を守る為に専用の防具を購入しなければならない。


自然がもたらす兵器、花粉。


私、八王子弥生はちおうじやよいは今年も花粉症が絶賛発症中でここ数週間登校時にマスクを欠かした事はない。私が通う水無高校みずなしこうこう は、山の麓に校舎を建てており、通学路も坂道は少なく非常に学生の体力事情を重んじている高校だなぁと入学当時は思っていた。だがこの一ヶ月でその認識を180度変えるような問題が一つあることに気付いた。


校門付近のスギ並木である。杉綾村すぎあやむらの名に恥じないスギ花粉量。花粉を半径10kmは撒き散らして余りあるであろうスギの数。それが我が水無高校の校門にゾロリと等間隔で建ち並んでいる風景が教室の窓から見ることができる。


そう、『窓から見える』のだ。


1年生の教室は、スギ並木が建ち並ぶ校門をくぐり抜け、グラウンドを横断し、一番近い校舎の二階に1組2組3組の教室がある。水無高校は上空から見ると漢数字の『三』の形をしており、上から2年生の棟、3年生の棟、1年生の棟となっていて、1年生は入学後すぐ花粉の洗礼を受けるものらしい。これは後日OGである私の姉、皐月さつきから聞いた話だ。

花粉様による洗礼の効果は著しく、我が1年2組は5人に4人が花粉症という素晴らしい発症率。1組、3組の生徒も似た様なものだそうだ。かく言う私、五十嵐弥生もついこの間までは花粉症のかの字も知らなかったような女子中学生だった、それが今では花の女子高生ならぬ、鼻の女子高生へと成り下がっている。これは由々しき問題だ、早々に手を打たねば…


花粉の話では無いが、環境が変われば人の行動は変わる。人によって態度を変えることは珍しくないし、変えて当然とも言える。そしてその最たる例は私だ。人との争い事は極力起こさず、平和主義的かつ全方位外交者。よく言えば鮮美透涼、悪く言えば八方美人を心掛けて学校生活を送っている。


そんな事なかれ主義を行動理念とする私の生活環境は、一人の友人によって儚くも崩れ去る。

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