第七話 未来
[新緑の14日]
きちんとした文章がかけるかどうか分からないけれど、事実を整理するためにも、なんとか落ち着いて、書いてみようと思います。
やはり昨夜も一昨日と同じ様な、断片的な、でも側で見ているような感じの夢を見たのです。
夢は、朝私がビシューお兄様に、過去に風の精霊様に祝福を受けた者のことを知っているかどうかを尋ねていて。始めは、笑顔で話をしていたお兄様が、急に、「この話はこれ以上するな。」と言われました。
「確かに過去に居られた祝福されし者たちは村に繁栄をもたらした。だが、俺は決してお前にはその立場に立って欲しくない。」と。
次の場面は、アルがアルのお父様と一緒に村長に呼ばれて。マーと村長に何かを聞かれてて。
次の場面は、…黒い長衣を着た人が丘の上に立っていて。
フードを被っていたから誰だか解らないまま見ていたら、アークが飛んできて左腕に止まりました。伝書を読んだその人は、しばらくそのまま封書を睨んでいて。
息が白く空気は澄んでいて寒い時期だったと思います。
意を決したように懐から道具を取り出して、返書をしたためて首に取り付け、アークを労い、「すまないな。」と呟き空に放ちました。
空気は張り詰めて、絶望と決意が支配していました。
そしてアークが完全に見えなくなったのを確認してから、なんとその人が飛び上がりアークの消えた方向へ飛んでいったの。
間もなくしてどこかの街が見えてきて、その人は街の中心にある時計塔の屋根に降り立ち、直ぐに両手を動かしました。まるでアークに指示を出しているかのように。フードを目深に被っていて、やはり顔は見えなかったけれど。月の光に反射して、涙が落ちるのが見えたの。
次の場面は。思い出すだけで辛いわ。
ほんとうに辛い。でも書くと決めたの。
街が滅茶苦茶に壊されていて、多くの人が横たわり、生き残った人も皆、血を流していました。
子供達も沢山いて。
どうしてなの?
あれはアルなの?
これはただの夢だと言えたら、どんなに良いでしょう。
でも、私に宿った風の力が私に教えているのです。これは未来のかけらである、と。
それでも分かったこともあります。
最初の夢は、私自身がお兄様に尋ねに行くところから始まっていました。
私は昨夜眠る前、今日になったらお兄様かお父様にアルのことを相談しようかと考えていて、
でもアルが風使いになったことを言ってもいいかどうか迷っていました。
だからきっとあのような質問をしていたのだわ。そうしてあの未来へと繋がって…。
夢は、風は、私に教えてくれている。
アルが風使いになったことをマーに知られてはいけないの。
どうすればいいの?
これからアルに会いに行きます。
どうか間に合って。
この風の力はアルの為に。
風と共に。
セリーナ・アミエ
稚拙な文章、最後まで読んでいただきありがとうございます。
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セリーが引き続き頑張ります。できたらもうちょっとだけ、夢日記にお付き合いください。アルは何をやっているんだ…?