プロローグ
このお話はフィクションです。
神話、精霊、世界観、すべて作者のフィクションです。
ですから精霊や神の名前が違うとか、そういうのは無しで。
ご理解いただける方々のみ、お読み下さい。
なろう初投稿です。
どうかどうか温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。
精霊とは何なのか、説明するのは難しいものです。そもそも姿形のあるものかどうかも分かりません。
ですが、神々は、自分の精霊達をそれはそれは愛していらっしゃいました。それぞれの方の好む性が強く凝縮したような精霊達は、大変愛らしい半面、少々いたずら好きであったり、ワガママであったりしましたが、神々の下では大した問題とはなりませんでした。一つ、有るとすれば、他との交流を得意としないところでしょうか。
そこで神々は話し合って、ある世界をお創りになりました。
誰も居ない世界を。
神々の世界から見れば、それは小さな箱庭のようなものだったかもしれません。
ですが、中に入ってみれば、自然豊かな、美しい世界です。精霊達が気に入らないはずがありません。精霊達はその世界で遊び回るようになりました。
始めは恐る恐るであったとしても、やがては楽しくて仕方がないという風に。
日の壮大さ、月の優しさ、風の心地よさ、水の穏やかさ。特に木の精霊は他の精霊達の素晴らしさを知って慕うようになり、日と月の精霊と、風の精霊と、水の精霊も、自分達の力を受けて、殊更に瑞々しく輝く木の精霊を愛らしく思うようになりました。
世界は大変美しく色づいていき、神々は大層満足されていました。
ところが、最も愛されていた木の精霊は、世界中を巡る他の精霊達の話を聞いているうちに、羨ましくなってきてしまったのです。自由に駆け巡ることのない自分の性を強く意識するようになり、少しずつワガママに振る舞うようになりました。初めてこの世界に『闇』と呼ばれるものが生まれました。
それはひとつの小さなキッカケでしかありませんでした。ですが木の精霊の闇は、日や風や水の精霊との間ではなく、少し苦手に感じていた火の精霊と交流しないという形で現れました。
どうしてそうなったのか、神々にも分かりません。それが『闇』の本質なのかもしれません。
やがて、多くの精霊達は、好ましく感じる性とやや苦手に感じる性があることを知り、イタズラ程度であったものは駆け引きや騙し合いとなり、友の取り合いが始まりました。
神々は大層悲しみました。特に、すべてを見ていた日と月の神様は、自らの明かりが陰を生み出すのだろうと嘆きました。元々、孤高の性があるものですから、他の者達と交わることの良さよりも責任を感じてしまわれたのでしょうか。
世界から自分の精霊を呼び戻してしまいました。
続いて、火の精霊も去り、やがて風と水の精霊も去り、木の精霊も去ることになりました。
こうして精霊の居なくなった世界でしたが、世界の美しさには変わりがなく、精霊達の残した痕跡から、やがて独自に生命が生まれました。
長い年月を経て、進化を始めた世界は、同じように進化から生まれた人間のものとなりましたが、かつて生まれた闇は確かに人間達の中にあり、やがてかつての精霊達のように、争いをするようになりました。
木の精霊は、自分の過ちを悔いて、一部の人間に加護を与えました。
木の力を得たその一族は国を作りました。
それが古の『モクシータス王国』。
かの大国であったと言われています。
稚拙な文章、読んでいただきありがとうございます。
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