ムカシガタリのうた
キィイイイイ
酒場の木の扉が左右に開き、ボロボロのマントを巻いた、背の高い青年が入ってきた
主人「なにを飲む?」
?「では、ミルクを」
主人「はは!酒場で酒を頼まないのか!」
?「ええ、ここには酒を飲みに来たのではなく、語りに来たのですから」
主人「へぇ、吟遊詩人たぁめずらしい。おい、だれかリクエストしないか?」
主人は酒場に入り浸っている炭鉱夫たちにやけに白い歯を見せて、あたりを見回す
そんななか、愛らしい幼子が詩人のほうへ歩み寄っていった
手には絵本を持っており、その絵本を詩人に差し出した
詩人「リクエストがないようなので、この絵本の真実がたりでもしましょう」
酒場の全員に主人から酒のサービスと詩人にミルクがいきわたったところで詩人は弦楽器を取り出し
弾き語りを始めた
「戦乱から平和へ
その陰に見え隠れした英雄たち
平和から戦乱へ
その裏でうごめく魑魅魍魎たち
ほろんだ国の王子とお付きメイドがおりなす
戦乱の最中、平和へと国を導く旅の物語
そのなかで人は何を望み、何を選び、何を掴み、何を捨てるのか
幸せとは?願いとは?
後世には伝わらなかった名もなきこの物語、いま語りあかそう」